2014
12.31

いつの日にかUn jour, tu verras

Mouloudji Un jour, tu verras


今回は、「サンフランシスコの6枚の枯葉Six feuilles mortes de San Francisco」でご紹介したムルージMouloudjiの「いつの日にかUn jour, tu verras」という美しい歌。1954年に彼自身が作り、同年、映画「寝台の秘密Secret d’alcôve」のなかで歌っています。これは寝台にまつわる4つのエピソードを集めたオムニバス映画で、ムルージが登場するのは第3話の「リヴィエラ急行トラック」。

ムルージ



映画でムルージがトラックを運転しながら歌っているシーンはクリックしてご覧ください。

カナダの女性シャンソン歌手ファビエンヌ・チボーFabienne Thibeaultとのデュエット



ジャクリーヌ・フランソワJacqueline François ミッシェル・デルペッシュMichel Delpechなども歌っています。

Un jour, tu verras            いつの日にか
Mouloudji                ムルージ


Un jour tu verras
On se rencontrera
Quelque part, n’importe où
Guidés par le hasard
Un jour, tu verras1
  いつの日にか君はわかるよ
  僕たちは巡り会う
  どこかで、どこだっていい
  偶然にみちびかれて

Nous nous regarderons
Et nous nous sourirons
Et la main dans la main
Par les rues nous irons

  僕たちは見つめ合い
  微笑み合い
  手に手をとって
  街を行くんだ

Le temps passe si vite
Le soir cachera bien
Nos cœurs, ces deux voleurs
Qui gardent leur bonheur

  時の過ぎるのは速い
  夜はうまく隠してくれるよ
  僕たちの気持ちを、幸福をせしめようとする
  二人の盗っ人を

Puis nous arriverons
Sur une place grise
Où les pavés seront doux
A nos âmes grises

  そして僕たちは
  灰色の広場に着く
  そこの舗石は優しいことだろう
  僕たちの灰色の心には

Un jour, tu verras2


Il y aura un bal
Très pauvre et très banal
Sous un ciel plein de brume
Et de mélancolie

  とてもつましくとても平凡な
  ダンスパーティーが開かれるだろう
  霧と憂鬱がたちこめた空のもとで

Un aveugle jouera
D’l’orgue de Barbarie
Cet air pour nous sera
Le plus beau, le plus joli

  盲の人が
  手回しオルガンを演奏する
  その旋律は僕たちには
  もっとも美しく、もっともすてきだ

Puis je t’inviterai
Ta taille je prendrai
Nous danserons tranquilles
Loin des bruits de la ville

  そして僕は君を誘って
  君の腰を抱き
  僕たちは静かに踊る
  街の喧騒から遠くはなれて
Un jour, tu verras3
Nous danserons l’amour
Les yeux au fond des yeux
Vers une fin du monde
Vers une nuit profonde

  僕たちは愛のダンスをする
  見つめ合いながら
  世界の果てへと
  夜の深い闇へと向かって

Un jour tu verras
On se rencontrera
Quelque part, n’importe où
Guidés par le hasard

  いつの日にか
  僕たちは巡り会う
  どこかで、どこだっていい
  偶然にみちびかれて

Nous nous regarderons
Et nous nous sourirons
Et la main dans la main
Par les rues nous irons

  僕たちは見つめ合い
  微笑み合い
  手に手をとって
  街を行くんだ



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2014
12.30

スカーフL'écharpe

Maurice Fanon


モーリス・ファノンMaurice Fanonは、1929年にフランス国内で生まれ1991年に亡くなりました。
もとはリセの英語教師をしていましたが、1950年代後半にデヴューし、彼の未来の妻となる、歌手のピア・コロンボPia Colomboに出会います。1963年、ふたりは離婚。彼はこのとき、彼の最も有名な曲、「スカーフL'écharpe」を書きます。
彼のキャリアはたいへん地味なものでしたが、ジュリエット・グレコJulietteGrécoは、1972年にひとつのアルバムをまるごと彼に捧げていますし、「スカーフL'écharpe」などの曲はいまだに人気を保っています。



「スカーフL'écharpe」は、はっきり言って、めめしい内容の歌詞ですが、恋人の残していったスカーフを首に巻いている男性の姿を思い描くと、母性愛をくすぐられるような気も…。語るような虚飾のない歌い方にも好感がもてます。

この曲を捧げられたピア・コロンボ自身も歌っています。女性の立場でもそのまま歌える歌詞で、邦訳歌詞も女性歌手が好んで歌っています。



コラ・ヴォケールCora Vaucaire カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageエルヴェ・ヴィラールHervé Vilard らも歌っています。
また、新しいアプローチとしては、1997年にロベールRobertがアルバム「Princesse de rien」に加えています。これはmusicMeで聴けます。

L'écharpe            スカーフ
Maurice Fanon          モーリス・ファノン


Si je porte à mon cou
En souvenir de toi 注1
Ce souvenir de soie
Qui se souvient de nous
Ce n'est pas qu'il fasse froid
Le fond de l'air est doux 注2
C'est qu'encore une fois
J'ai voulu comme un fou 注3
Me souvenir de toi
De tes doigts sur mon cou
Me souvenir de nous
Quand on se disait vous 注4

  僕たちのことを覚えている
  この絹の想い出の品を
  君の想い出にと
  首に巻くのは
  寒いからじゃない
  気温は暖かい
  それはもう一度
  むしょうに君を
  僕の首に触れる君の指を
  想い出したいから
  あなたと呼び合っていたあの頃の
  僕たちのことを想い出したいからだ

écharpe1


Si je porte à mon cou
En souvenir de toi
Ce sourire de soie
Qui sourit comme nous
Sourions autrefois
Quand on se disait vous
En regardant le soir
Tomber sur nos genoux
C'est encore une fois
J'ai voulu revoir
Comment tombe le soir
Quand on s'aime à genoux

  夜のとばりが僕たちの膝もとに
  おりるのを見ながら
  あなたと呼び合っていたあの頃に
  僕たちがかつて微笑んだのと
  おなじように微笑む
  この絹の微笑みを
  君の想い出にと
  首に巻くのは
  それはもう一度
  僕たちがひざまづいて愛し合うときに
  どんな風に日が暮れたかを
  また見たいからだ

Si je porte à mon cou
En souvenir de toi
Ce soupir de soie
Qui soupire après nous 注5
C'n'est pas pour que tu voies
Comme je m'ennuie sans toi
C'est qu'il y a toujours
L'empreinte sur mon cou
L'empreinte de tes doigts
De tes doigts qui se nouent
L'empreinte de ce jour
Où les doigts se dénouent

  僕たちのことを振り返ってもらす
  この絹のため息を
  君の想い出にと
  首に巻くのは
  君がいなくて僕がどんなに憂鬱か
  君に分かってもらうためではなく
  僕の首にはいつも
  跡が残っているからだ
  絡まった君の指の
  君の指の跡が
  指が去ってしまった
  あの日の痕跡が

écharpe4


Si je porte à mon cou
En souvenir de toi
Cette écharpe de soie
Que tu portais chez nous
C'n'est pas pour que tu voies
Comme je m'ennuie sans toi
Ce n'est pas qu'il fasse froid
Le fond de l'air est doux

  僕たちの家で君がつけていた
  この絹のスカーフを
  君の想い出にと
  首に巻くのは
  君がいなくて僕がどんなに憂鬱か
  君に分かってもらうためではなく
  寒いからでもない
  気温は暖かい

[注] モーリス・ファノンの曲として男性の立場の訳語にした。タイトルになっているécharpeは一般的には「マフラー」と訳し、foulardが「スカーフ」だが、écharpeが「スカーフ」を指すこともある。ここでは絹製だし、相手の女性がもともと家でつけていたというので、一般の邦題どおり「スカーフ」でいいだろう。なお、スカーフは本来男性のアイテムで、ネクタイやアスコットタイがまだ無かった時代には、世の紳士達は細長いスカーフ状のものを使って首元を飾っていたともいわれる。用いた画像は、écharpe自体より人物の雰囲気のほうを重視して選択した。
1 en souvenir de qn/qc「(…の)思い出として」
2 fond de l'air「(風や日差しの影響を考慮に入れない)実際の温度、本来の気温」
3 comme un fou「猛烈に、がむしゃらに」
4 se dire「たがいに言い合う」。dire vousは本来は「vousと呼ぶ」だが、vousはon(実質上nous)の補語なので、dire tu(=tutoyer)のtuを複数にしたものと考えられる。訳語は「あなた」で問題ないだろう。
5 aprèsは、動詞とともに、追求、愛着の対象を示す。



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2014
12.29

恋はジタンのかおりL'amour c'est comme une cigarette

Sylvie Vartan Lamour cest comme une cigarette


2005年にサントリーのチューハイの、そして2008年にソフトバンクモバイルのCMソングに使われた曲ってご存知でしょうか?それは、1980年にイギリスのフロリー・パーマーFlorrie Palmerが作りスコットランド出身のシーナ・イーストンSheena Eastonが歌った「モーニング・トレイン(9時から5時まで)Morning Train (Nine To Five)」です。歌詞の内容は、どうってことありません。夫が9時の列車に乗って仕事に行き、5時に家に帰って来るという、平凡だけど幸せな生活を描いたものです。



この曲を、翌81年にミッシェル・マロリーMichel Malloryがフランス語に翻案してシルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanが歌ったのがこちら。



L'amour c'est comme une cigaretteという曲名を直訳すると「恋はタバコみたい」ですが、「恋はジタンのかおり」という邦題で知られています。これはなかなかインパクトがあっていいと思います。ただし、この「ジタン」というタバコの銘柄名は、「ジタンヌ」とされるべきです。でもこれは、日本専売公社、じゃなかった、日本たばこ産業株式会社の責任でしょうね。
この曲を持ち出したのは、けっして喫煙を勧めるためではありません。私は正直に言って昔は喫煙しておりましたが、大事な人を喫煙が原因で亡くし、今は喫煙に大反対の立場です。タバコは絶対に身体に悪いです。けれどあえてこの曲を取り上がるのは、歌詞の出来が大変よくて、あの平凡な内容がこんなにみごとに変身したことは評価すべきだと思うからです。また、「嗅ぎたばこ」は王権の象徴、「パイプたばこ」は革命の象徴。ナポレオンのシンボルは「葉巻」といったように、フランスの歴史とタバコは密接な関係を持っていますし、それに、「ジタン」などのフランスタバコの愛好者は、フランス文化の担い手たちでしたから、かれらに敬意を表してこの曲を取り上げましょう。
来年2月21日のプティコンセール《アダモ&ヴァルタンを歌う》で、私はこれを歌います。練習していて吸いたくならないかちょっと心配。

L'amour c'est comme une cigarette    恋はジタンのかおり
Sylvie Vartan                 シルヴィー・ヴァルタン


Quand tu es dans la lune 注1
Les idées en panne
Je me voudrais brune
Comme une gitane 注2
Me glisser entre tes doigts
Et puis me brûler
Me consumer pour toi
N'être que fumée
Quand tu es dans ce monde
Où tes rêves t'entraînent
Je me voudrais blonde
Comme une américaine
Être douce et sage ou sucrée
T'emmener sur mon nuage de fumée

  あなたがうわの空で
  頭が働かない時
  赤毛になるわ
  ジプシー女みたいに
  私をあなたの指のあいだに滑り込ませ
  私を燃やし
  私をあなたのために焼き尽くすの
  煙になるだけ
  夢があなたを駆り立てるこの世に
  あなたがいるあいだ
  金髪になるわ
  アメリカ女のように
  おとなしくてお利口で優しくしているわ
  あなたを私の煙の雲の上に連れてったげる

cigarette2.jpg


L'amour c'est comme une cigarette
Ça brûle et ça monte à la tête
Quand on ne peut plus s'en passer 注3
Tout ça s'envole en fumée.
L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.

  恋はタバコみたいなもの
  燃えて頭に昇っていく
  なしで済ませられなくなった時には
  煙になって消えていく
  恋はタバコみたいなもの
  マッチのように燃え
  目を刺激して泣かせ
  そして煙になって消えていく

Je peux être française
En robe bleue 注4
Anglaise,
Si tu le veux
Ou être à la menthe
En bague dorée
Ne crois-pas que je mente
Tout n'est que fumée

  フランス女になれるわ
  青いドレスを着て
  イギリス女に、
  お望みならね
  あるいはメンソール入りに
  金色のバンド付きに
  私がウソをつくと思わないで
  ぜんぶ煙でしかないんだから

cigarette7.jpg


L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée

  恋はタバコみたいなもの
  マッチのように燃え
  目を刺激して泣かせ
  そして煙になって消えていく

On fait tout un tabac
Quand l'amour s'en vient ou s'en va
On est les cigarettes
Qu'il roule quand il a envie
Et je deviens fumée
Pour t'intoxiquer
De moi
Blonde ou brune
Brune ou blonde
Je le serai pour toi

  人はみなタバコを吸う
  恋が訪れた時も 去った時も
  私は
  彼が気が向くと巻くタバコよ
  そして私は煙になるわ
  あなたを私に
  病み付きにさせるために
  金髪か赤毛に
  赤毛か金髪に
  あなたのために私はなるの

cigarette5.jpg


L'amour c'est comme une cigarette
Ça brûle et ça monte à la tête
Quand on ne peut plus s'en passer
Tout ça s'envole en fumée
L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.

  恋はタバコみたいなもの
  燃えて頭に昇っていく
  それなしで済ませられなくなった時には
  煙になって消えていく
  恋はタバコみたいなもの
  マッチのように燃え
  目を刺激して泣かせ
  そして煙になって消えていく

L'amour c'est comme une cigarette
Ça flambe comme une allumette
Ça pique les yeux ça fait pleurer
Et ça s'envole en fumée.

  恋はタバコみたいなもの
  マッチのように燃え
  目を刺激して泣かせ
  そして煙になって消えていく

[注]
1 être dans la lune「うわの空である」
cigarette1.jpg2 gitaneは「スペインのジプシー女」の意味だが、フランスの紙巻タバコのGitanes(ジタン、正しくはジタンヌ)を指している。その青いパッケージには扇を持ったジプシー女のシルエットが描かれている。基本的には煙草の葉を乾燥させ、更に堆積発酵させた黒い葉のタバコでクセが強いが、何種類かある。愛好者として知られている有名人は、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourg、アラン・ドロンAlain Delon、アルベール・カミュAlbert Camus、ジョニー・アリディーJohnny Hallyday、ジャック・プレヴェールJacques Prévert、ルイス・ブニュエルLuis Buñuel、サミュエル・ベケットSamuel Beckett、ジャン・レノJean Reno、ジョン・レノンJohn Lennon、ジム・モリソンJim Morrisonなど多数。
3 s'en passer「なしで済ませる」
cigarette4.jpg4 française en robe bleue「青いドレスを着たフランス女」は、青いパッケージのフランスの紙巻タバコの銘柄ゴロワーズGauloisesのこと。gauloiseとは、ケルト人のうち、ガリアに移住しガリア語を話したガリア人のことをフランス語でゴール人gauloisと言い、その女性形である。Gitanes同様、発酵させた黒い葉のタバコで、愛好者として知られている有名人は、ジャン.ギャバンJean Gabin、ジャン=ポール・サルトルJean-Paul Sartre、ジョージ・オーウェルGeorge Orwell、アラン・バシュングAlain Bashungなど。





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2014
12.28

赤い風船Les ballons rouges

Serge Lama Les ballons rouges


セルジュ・ラマSerge Lama が1967年に作った「赤い風船Les ballons rouges」(作詞:Serge Lama、作曲:Yves Gilbert)は、ラマの子供の頃を歌った自伝的内容の歌だといわれ、この曲を含むアルバムで彼はディスク大賞を受賞しました。たいへん率直な歌詞内容が邦訳歌詞では完全消毒されていて残念です。

この曲名は1956年のパスカル・ラモリスPascal Lamorisse監督のフランス映画 「Le ballon rouge」からとられたようです。この映画は、人間の心がわかる赤い風船と小さな男の子が友だちになる話です。
PART 1はこちら。続き (PART4まで) もYouTubeで見られます。



セルジュ・ラマの動画は、映画「赤い風船」の1シーンから始まり、ラマは、そんな「赤い風船」を子供の頃の自分は持っていなかったと歌います。



出だしのメロディーが、私の大好きなミッシェル・デルペッシュMichel Delpechの「ロレットの店でChez Laurette」(1965年)にとても似ていると、私は思うのですが、皆さんいかがですか?

Les ballons rouges             赤い風船
Serge Lama                セルジュ・ラマ


Je n'ai pas eu de ballon rouge
Quand j'étais gosse dans mon quartier
Dans ces provinces où rien ne bouge
Tous mes ballons étaient crevés
Je n'ai pas eu de vrai vacances
Seul, face à face avec la mer
Quand le cœur rythme la cadence 注1
Des mouettes qui nagent dans l'air

  僕は赤い風船を持っていなかった
  僕がこの近辺の子供だったとき
  なにも変化しないこの地方で
  僕の風船はみなパンクしていた
  僕はちゃんとした夏休みを持ってなかった
  ひとり、海と向き合っていた
  そのとき心臓は鼓動していた
  空を渡るカモメたちのリズムに合わせて

Les ballons rouges2


{Refrain:}
J'ai rien d'mandé, je n'ai rien eu
J'ai rien donné, j'ai rien reçu

  僕は何も要求せず、何も持たなかった
  僕は何も与えず、何も受け取らなかった

Je n'ai jamais joué aux billes
Quand j'étais gosse dans mon quartier
J'étais cloué dans ma famille
Comme un martyr à son bûcher
Je n'ai pas eu de promenade
Seul, face à face avec le vent
Je lisais le Marquis de Sade 注2
Et j'aimais déjà les divans 注3
{au Refrain}

  僕はビー玉で遊んだことはなかった
  僕がこの近辺の子供だったとき
  僕は家のなかに縛り付けられていた
  殉教者が火刑に処せられるみたいに
  僕は散歩をしなかった
  ひとり、風と向かい合っていた
  僕はマルキ・ド・サドを読んでいた
  そしてすでにソファーベッドを愛用していた

Les ballons rouges5


Les fées n'étaient pas du voyage 注4
Quand j'étais gosse dans mon quartier
Elles vivaient de leurs avantages 注5
Elles étaient toutes syndiquées
Je n'ai pas vu dans les étoiles
Le carrosse de Cendrillon
La mienne avait une robe sale
Mais elle n'avait pas de chaussons 注6
{au Refrain}

  妖精たちは旅回りじゃなかった
  僕がこの近辺の子供だったとき
  彼女たちは女性としての魅力によって生き
  彼女たちはみな組織されていた
  僕は星々のあいだに見かけなかった
  サンドリオンの馬車を
  僕のサンドリオンは汚い服を着ていた
  でも彼女は靴を履いていなかった

Les ballons rouges6


Pourtant j'avais déjà la chance
Quand j'étais gosse dans mon quartier
De ne pas attacher d'importance
A ce que les autres pensaient
Et je n'ai pas vu dans l'Histoire
Quelque guerrier ou quelque roi
Assoiffé de règne ou de gloire
Qui soit plus orgueilleux que moi

  でも僕はすでに幸運を得ていた
  僕がこの近辺の子供だったとき
  ほかのやつらが考えることを
  重視しないという幸運を
  そして僕は歴史のなかに
  支配と栄光を渇望する
  戦士たちや王たちで
  僕以上に誇り高い者を
  見ることはなかった

J'ai rien d'mandé, je n'ai rien eu
Mais j'ai fait ... ce que j'ai voulu ...

  僕は何も要求せず、何も持たなかった
  僕はやった…自分の望むことを…

[注]
1 rythmer「リズムに合わせる、拍子をとる」cadence「リズム、拍子」
2 le Marquis de Sadeサド侯爵(1740-1814)が獄中で記したエロティックな著作。異常性欲の一種とされるサディズムの語源となった。ウィキペディアの記事参照。
3 les divans「ソファーベッド」を愛用していたというのは、女性と関係を持っていたという意味。
4 les féesは娼婦たちのこと。
5 vivre de ses avantages「色香によって生きる」すなわち、体を売って生きること。
6 chausson「上履き、スリッパ」。シャルル・ペローCharles Perraultの「サンドリオンCendrillon」=「シンデレラ」でも、ガラスの靴ではなく、pantoufle「上履き、スリッパ」となっている。




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2014
12.27

チョコレート女La femme chocolat

Olivia Ruiz La femme chocolat


今回は、「チョコレート女La femme chocolat」というユニークな曲を取り上げます。2005年に出た、オリヴィア・ルイズOlivia Ruizの同名のセカンド・アルバムに収録された曲で、このアルバムは翌年、110万枚の売り上げでダイアモンド・ディスクを得ました。
彼女は、1980年に、カルカッソンヌで生まれ、マルセイエットという村で育ちました。スペイン系の家系で、家族でカフェを営んでいたそうです。父親も歌手で、音楽的な素養を養える環境で育ちました。大学ではパフォーミング・アーツを専攻し、ダンスも学びました。15歳の頃からバンドに入って歌い始めたことから始まった彼女の音楽活動は、フレエルFréhel、イヴ・モンタンYves Montand、ジルベール・ベコーGilbert Bécauなどの曲も歌いながら新しい世代の歌もスペインのスタンダード曲なども歌うという幅広いものでした。また、父親とのデュオでフランスとスペインの歌の融合にも取り組みました。
2001年に、テレビのオーディション番組Star Academyに出演しデヴューしました。2006年に、この曲La femme chocolatで、複数の賞にノミネートされながらも逃し、翌2007年に、ヴィクトール賞の女性歌手賞など4つの賞を受賞しました。また、昨年2010年にも、Elle Paniqueという曲でヴィクトール賞などの4つの賞を受賞しました。フランスの現役女性歌手としてはミレーヌ・ファルメールMylène Farmerに次ぐ人気です。

歌詞の内容が活かされた面白い動画です。



La femme chocolat         チョコレート女
Olivia Ruiz               オリヴィア・ルイズ


Taille-moi les hanches à la hache
J'ai trop mangé de chocolat
Croque moi la peau, s'il-te-plaît
Croque moi les os, s'il le faut

  わたしのお尻を斧で切ってよ
  チョトレート食べ過ぎちゃったの
  肌をかじって、お願い
  骨もかじって、必要なら

C'est le temps des grandes métamorphoses

  さぁ大変身の時よ

La femme chocolat3


Au bout de mes tout petits seins
S'insinuent, pointues et dodues
Deux noisettes, crac! Tu les manges 注1

  わたしのとってもちっちゃなおっぱいの先っちょに
  入り込んだ、とんがってふっくらした
  2つのヘーゼルナッツ、カリッ!あなたはそれを食べる

C'est le temps des grandes métamorphoses

  さぁ大変身の時よ

Au bout de mes lèvres entrouvertes
pousse un framboisier rouge argenté
Pourrais-tu m'embrasser pour me le couper...

  うっすら開いたわたしの唇の端に
  銀色に光る赤い木イチゴが生えているわ
  あなた キスしてそれを取ることできる…

La femme chocolat2


Pétris-moi les hanches de baisers
Je deviens la femme chocolat
Laisse fondre mes hanches Nutella 注2
Le sang qui coule en moi c'est du chocolat chaud...

  キスでわたしのお尻を捏ねて
  わたし チョコレート女になるわ
  チョコレート・ペーストのお尻を溶かして
  わたしのなかを流れる血 それは熱いチョコレート…

Un jour je vais m'envoler
A travers le ciel à force de gonfler... 注3
Et je baillerai des éclairs 注4
Une comète plantée entre les dents
Mais sur terre, en attendant 注5
Je me transformerai en la femme chocolat...

  いつかわたしは 膨らんでいって
  空を飛ぶんだわ…
  そして稲妻(エクレア)みたいなあくびをするわ
  歯のあいだに彗星をひとつ植えつけられて
  でも今のところは、地上で
  わたしはチョコレート女に変身するのよ…

La femme chocolat0


Taille-moi les hanches à la hache
J'ai trop mangé de chocolat...

  わたしのお尻を斧で切ってよ
  チョトレート食べ過ぎちゃったの…

[注]
1 noisette「ハシバミ、ヘーゼルナッツ」。加工前の実は、どんぐりに似て、先が尖って丸い形。
2 Nutella「ヌテラ」は、イタリアのフェレロ社の登録商標。ヘーゼルナッツペーストをベースに砂糖、ココア、脱脂粉乳、香料、乳化剤などの材料を混ぜ合わせた、チョコレート風味の甘いスプレッド。
3 à force de「…したので(すれば)」
4 éclair「稲妻」。そのほかに、お菓子の「エクレア」の意味もある。チョコレートが稲妻の形にかけられているからだという。カスタード・クリームを入れるため、横に切り目が入っていて、それもあくびのイメージにつながるかもしれない。
5 en attendant「とりあえず、今のところ」




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2014
12.26

酔いしれてJ’ai bu

Georges Ulmer Pigalle


忘年会シーズンなので、、、今回はジョルジュ・ユルメールGeorges Ulmerの「酔いしれてJ’ai bu」を。この曲の歌詞は、無名時代のシャルル・アズナヴールCharles Aznavourが「ロッシュとアズナヴールRoche et Aznavour」というデュオで共に歌っていたピアニストのピエール・ロッシュPierre Rocheが作曲しました。アズナヴールもこの曲を歌っています。1945年に出たユルメールのレコードは1947年のACCディスク大賞を受賞しました。

シンガー・ソングライターで俳優でもあったユルメールは、1919年にデンマークのコペンハーゲンで生まれ、スペインで育ちました。映画の制作や出演に携わっていましたが、1938年にフランスに移り、第2次大戦中に楽団に入りギターを演奏するようになりました。1942年に南仏のニースで歌手としてデヴュー。そして1944年に「ピギャールPigalle」を発表して、これがたいへんなセンセーションを引き起こします。ちょうど新宿の歌舞伎町のような界隈の情景を歌った歌詞で、当初はラジオ放送を禁じられたりしました。しかし人気は高まっていき、その後も、多くの歌手に歌われました。

ユルメールはその後、1950年代までは人気を保っていましたが、イヴ・モンタンの人気に押されて次第に影が薄くなっていき、1981年に故郷のコペンハーゲンでさよなら公演をおこない、89年に亡くなりました。



シャルル・アズナヴール



J’ai bu               酔いしれて
Georges Ulmer          ジョルジュ・ユルメール


J’ai bu
J’ai joué et j’ai tout mis sur le tapis
A la roulette de la vie
T’as tout gagné moi j’ai perdu
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は賭け、掛金をぜんぶ置いた
  人生のルーレットの台に
  君は全勝し僕は負けちまった
  そこで僕は呑んだ

J’ai bu1


J’ai bu
J’ai dit les mots qui passaient dans mon âme
Mais toi dans ta p’tite tête de femme
T’as pas compris qu’j’étais perdu
J’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は自分の心の奥から出てきた言葉を言った
  だが君はね 女のちっちゃな頭で
  君は僕が負けたことを分かろうとしなかった
  僕は呑んだ

Et fou
J’ai senti malgré ma tristesse
Dans la chaleur de mon ivresse
Que tu mentais

  そしていかれちまった
  僕は悲しい気持ちにもかかわらず
  酔いのせいで熱くなって
  君が嘘をついていると感じたんだ

J’ai bu
Pourtant je t’aimais d’un amour sincère
Mais un jour malgré mes prières
Tu m’as quitté, n’en parlons plus
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  けれど心からの愛情で君を愛していたんだ
  でもある日僕の祈りにもかかわらず
  君は僕を捨てた、その話はやめよう
  そこで僕は呑んだ

Fine, whisky, gin 注1
Tous les alcools me sont permis
Ce qui m’chagrine
Si des barmen je suis l’ami
Des réverbères je suis l’enn’mi

  ブランデー、ウイスキー、ジン
  どんなアルコールでもOK
  悲しいことに
  バーテンには僕は友だちだが
  街灯には僕は敵だ

J’ai bu2


Sur le palier
Le trou d’serrure joue à cache-cache 注2
Avec ma clef
Ma maison a une drôle de mine
Tous les objets font philippine 注3

  踊り場で
  鍵穴はかくれんぼごっこをやっている
  僕の鍵と
  僕の家は様子が変だ
  物がぜんぶフィリピーヌ遊びをやっている

J’ai bu
J’ai joué et j’ai tout mis sur le tapis
A la roulette de la vie
T’as tout gagné moi j’ai perdu
Alors j’ai bu

  僕は呑んだ
  僕は賭け、掛金をぜんぶ置いた
  人生のルーレットの台に
  君は全勝し僕は負けちまった
  そこで僕は呑んだ

J’ai bu
J’ai dit les mots qui passaient dans mon âme
Mais toi dans ta p’tite tête de femme
T’as pas compris qu’j’étais perdu
J’ai bu

  僕は呑んだ
  けれど心からの愛情で君を愛していたんだ
  でもある日僕の祈りにもかかわらず
  君は僕を捨てた、その話はやめよう
  そこで僕は呑んだ

Et saoul 注4
J’ai vite oublié tes caresses
Je m’plais bien mieux dans mon ivresse
Et loin de toi

  そして酔っぱらった
  僕は君の愛撫をとっくに忘れた
  僕は酔っぱらってるほうが
  そして君から離れているほうがずっといいんだ

Je bois
Le trottoir n’est plus assez grand pour moi
En titubant, j’crie à pleine voix
Les flics sont des p’tits potes à moi
Oulàlàlàlà, j’ai bu

  僕は呑む
  舗道は僕には十分な広さじゃない
  千鳥足で、僕は声をかぎりに叫ぶ
  おまわりさんは僕にはだいじな友達さ
  オーララララ、僕は呑んだ

J’ai bu3


J’ai bu
La radio joue un Ave Maria
Elle est marrante cette chanson-là
Les paroles sont en auvergnat 注5
J’ai bu

  僕は呑んだ
  ラジオからアヴェ・マリアが聞こえる
  この歌は滑稽だね
  言葉がオーヴェルニュ方言だ
  僕は呑んだ

Je bois
Je suis heureux et ce qui fait ma joie
Je n’penserai plus jamais à toi
Tralalala
Et c’est pour ça
Que j’bois

  僕は呑む
  僕はしあわせだし飲むと楽しくなる
  もう君のことなんか絶対に考えない
  トララララ
  そのためさ
  僕が呑むのは

[注]
1 fine (champagne)=Eau-de-vie「ブランデー」
2 ouer à cache-cache「隠れん坊をする、(互いに)行き違いになる」
3 philippine「フィリピーヌ遊び」とは、アーモンドに核がふたつあるとき、核をふたりで分け合い、次に会ったとき、先に「ボンジュール・フィリピーヌ」と言ったほうが贈り物をもらうというゲームとのこと。ここでは、酔いのせいで、家じゅうのものが勝手に動いているように思えることを言っている。
4 saoul=soûl話し言葉で「酔った」の意味。
5 auvergnat「オーヴェルニュ方言」は、ロワール川以南で話されていたオック語langue d’ocのひとつ。ここでは、酔っぱらっているせいか、変に聞こえて聞きとりにくいことを言っている。




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2014
12.25

わが人生、それを選んだのは私Ma vie c’est moi qui l’ai choisie

Sylvie vartan Ma vie c’est moi qui l’ai choisie


前回の、クロード・フランソワClaude Francoisの「いつものようにComme d'habitude」はフランク・シナトラの「マイ・ウェイMy way」の原曲でしたが、その「マイ・ウェイMy way」の歌詞内容をエリック・シュムニーEric Chemouny がフランス語に翻案した、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「わが人生、それを選んだのは私Ma vie c’est moi qui l’ai choisie」(2011年)をご紹介しましょう。いわば、フランス版「マイ・ウェイ」!

シルヴィーは歌わず語っていますが、この歌詞で歌うことはできます。ぜひ試されるといいでしょう。



フランク・シナトラの「マイ・ウェイMy way」は、前回の「いつものようにComme d'habitude」の記事に動画を出しています。その動画に歌詞も出ていますので参照ください。

ジプシー・キングズGipsy Kings のA Mi Manera。スペイン語です。



Ma vie c’est moi qui l’ai choisie    わが人生、それを選んだのは私
Sylvie Vartan               シルヴィー・ヴァルタン


Voila… quand vient la nuit
Je me retrouve face à moi-même
Il y a, mes chers amis,
Une seule chose dont je sois certaine
Si pleine a été ma vie
Sur toutes les routes j’ai tant voyagé
Mais plus que tout,je me dis
Ma vie, c’est moi qui l’ai choisie
Ma vie c’est moi qui l’ai choisie1

  いまここで…夜が訪れるとき
  私は自身に向かい合う自分を見出す
  わが友たち、
  私が確かだと思うことがたった一つある
  私の人生はとても豊かだった
  あらゆる道を通り私はたくさん旅してきた
  でも何にもまして、私は思う
  私の人生、それを選んだのは私なんだと

Oh bien sur, j’ai des regrets
Mais pas un seul qui ne s’efface 注1
J’ai fait tout ce qu’il fallait
Même quand j’avais le cœur à marée basse 注2
Et puis,chacune des heures de ma vie
Je l’ai donnée sans jamais compter
Mais plus que tout, je me dis
Ma vie c’est moi qui l’ai choisie

  ああもちろん、私は後悔もしたが
  消えずに残るものは一つもない
  やるべきことはすべてやった
  心が低迷する時でさえ
  そして、人生のその時その時を
  私はけっして惜しまずに傾けた
  でも何にもまして、私は思う
  私の人生、それを選んだのは私なんだと

Alors, c’est vrai, parfois le doute
M’a fait trembler, jusqu’à tomber
Mais finalement,finalement,quoi qu’il en coute
J’ai toujours su me relever
Oui, j’ai toujours su me relever
Pour aimer plus fort et chanter
Ma vie, c’est moi qui l’ai choisie

  そう、たしかに、時には疑問が
  私を身震いさせた、倒れるまでに
  でも結局は、結局は、
  私は常に起き上がれた
  もっと強い愛を持ち歌うために
  私の人生、それを選んだのは私なの
Ma vie c’est moi qui l’ai choisie4
C’est vrai, j’ai ri et un peu pleuré
L’amour qui s’en va, la solitude
Et puis les larme sont seche
Et c’est envolée ma lassitude
C’est drôle mais tout ça me semble aujourd’hui
Bien plus irréel qu’on ne peut rêver
Comment résumer ma vie ?
Ma vie c’est moi qui l’ai choisie

  たしかに、私は笑ったしちょっぴり泣きもした
  恋が行ってしまい、孤独になった
  それから涙が乾いた
  そして無気力は吹っ飛んだ
  おかしなものよ、でもすべて今は私には思えるの
  想像しうる以上に非現実なことのように
  私の人生をどう総括するって?
  私の人生、それを選んだのは私なのよ

Et que reste-t-il au bout du compte 注3
Sinon la femme qu’on est vraiment
Et quand il faut retourner dans l’ombre 注4
Sinon la force des sentiments
Oui, la force des sentiments
Je n’ai rien d’autre à vous laisser
Mais ma vie, ma vie c’est moi qui l’ai choisie

  結局のところ何が残っているのか
  実のところ女であるということしか
  そして闇のなかに戻って行かねばならないとき
  気持ちの強さしか
  そう、気持ちの強さしか
  私はあなた方に残すものをほかに何も持っていない
  でも私の人生、私の人生、それを選んだのは私なのよ

[注]
1 pas un seul…ne「ただ一人(一つ)として(…ない)」。ここでは「消え去っていないもの(=残っている後悔)は何もない」すなわち「後悔はすべて消え去った」。
2 marée basse「干潮」。低調であることをたとえた表現。「満潮」はmarée haute。
3 au bout du compte「よく考えた末に、結局のところ、要するに」
4 「闇のなかに戻る」とは、人生を終えること、あるいは現役を退くこと。冒頭の「夜が訪れる」という表現と同義。



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2014
12.24

いつものようにComme d'habitude

cloclo.jpg



今回は、フランク・シナトラFrank Sinatraの「マイ・ウェイMy way」の原曲として知られる、クロード・フランソワClaude Francoisの「いつものようにComme d'habitude」です。クロード・フランソワは、最初はドラマーとしてデヴューし、派手な衣装とパフォーマンスをトレードマークにイエイエ・ブームの時代のスーパー・スターとなり、フランスでは死後30年以上を経た現在でも絶大な人気を誇る歌手です。クロクロClocloという愛称で呼ばれ、熱狂的なファンたちはクロクロ・マニアと呼ばれます。1978年、入浴中に故障した浴室の電灯を直そうとして感電死。39歳の若さでした。

この曲は1967年に、クロード・フランソワとジル・チボーGilles Thibaut が作詞し、クロード・フランソワとジャック・ルヴォーJacques Revaux が作曲。歌詞の内容は、「マイ・ウェイMy way」と正反対と言ってもいいくらいに異なり、「マイ・ウェイ」が前向きな力強いメッセージを込めているのに比して、こちらは、表面上は愛し合う二人の生活の空しい実情を示す、ちょっと元気を削ぐような内容です。恋人だった歌手のフランス・ギャルFrance Gallとの破局の後に作られたということも裏にあるようですが…。これまた、とてもよくできた歌詞で、同じ曲がまったく異種の内容をもつことの面白さを示す好例だと思います。



フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」



Comme d'habitude            いつものように
Claude Francois              クロード・フランソワ


Je me lève et je te bouscule
Tu ne te réveilles pas comme d'habitude
Sur toi je remonte le drap
J'ai peur que tu aies froid comme d'habitude
Ma main caresse tes cheveux
Presque malgré moi comme d'habitude
Mais toi tu me tournes le dos
Comme d'habitude

  僕は起きて君をつっつく
  でも君は目覚めない いつものように
  上掛けを君にかけなおす
  君が風邪をひきはしないか心配になる
  いつものように
  僕の手が君の髪の毛をなでる
  ほとんど心とは裏腹ながら いつものように
  だが君は寝返って僕に背を向ける
  いつものように

Je suis malade3


Alors je m'habille très vite
Je sors de la chambre comme d'habitude
Tout seul je bois mon café
Je suis en retard comme d'habitude
Sans bruit je quitte la maison
Tout est gris dehors comme d'habitude
J'ai froid, je relève mon col
Comme d'habitude

  それから大急ぎで服を着る
  寝室を出る いつものように
  ひとりでコーヒーを飲む
  時間より遅れてしまう いつものように
  音を立てず家を出る
  外は灰色一色だ いつものように
  寒くて、僕は襟を立てる
  いつものように

comme.jpg


Comme d'habitude, toute la journée
Je vais jouer à faire semblant 
Comme d'habitude je vais sourire
Comme d'habitude je vais même rire
Comme d'habitude, enfin je vais vivre
Comme d'habitude

  いつものように、一日中
  そんなふりを演じよう
  いつものように微笑もう
  いつものように笑いさえしよう
  いつものように、つまりは生きよう
  いつものように

Et puis le jour s'en ira
Moi je reviendrai comme d'habitude
Toi, tu seras sortie
Pas encore rentrée comme d'habitude
Tout seul j'irai me coucher
Dans ce grand lit froid comme d'habitude
Mes larmes, je les cacherai
Comme d'habitude

  そうして一日が過ぎるのさ
  僕は帰るだろう いつものように
  君のほうは出かけてしまっていて
  まだ帰っていないだろう いつものように
  たったひとりで寝に行くだろう
  大きな冷たいベッドに いつものように
  流す涙、それは隠すさ
  いつものように

Je suis malade13


Comme d'habitude, même la nuit
Je vais jouer à faire semblant
Comme d'habitude tu rentreras
Comme d'habitude je t'attendrai
Comme d'habitude tu me souriras
Comme d'habitude

  いつものように、夜だって
  僕はそんなふりを演じよう
  いつものように 君は帰ってくるだろう、
  いつものように 僕は君を待つだろう
  いつものように 君は僕に微笑むだろう
  いつものように

Comme d'habitude tu te déshabilleras
Comme d'habitude tu te coucheras
Comme d'habitude on s'embrassera
Comme d'habitude

  いつものように 君は服を脱ぐだろう
  いつものように 君は身を横たえるだろう
  いつものように 二人は互いにキスするだろう
  いつものように

Comme d'habitude on fera semblant
Comme d'habitude on fera l'amour
Comme d'habitude on fera semblant

  いつものように 僕たちはそんなふりをするだろう
  いつものように 僕たちは愛し合うだろう
  いつものように 僕たちはそんなふりをするだろう

[注]  jouer à+inf.は「~ごっこをする」といった意味。faire semblantは「ふりをする」といった意味。同様の意味の表現を重ねている。



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2014
12.23

待ちくたびれてFatiguée d'attendre


Patricia Kaas Fatiguée dattendre


パトリシア・カースPatricia Kaasの「待ちくたびれてFatiguée d'attendre」(作詞J. Kopf作曲M. Amsellem)は、雷雨の音から始まるとても美しい曲で、待ちくたびれて男を完全にあきらめてしまうという内容です。1993年のアルバムJe te dis vousに収録されています。



Fatiguée d'attendre            待ちくたびれて
Patricia Kaas              パトリシア・カース


Oh, oh ...
Fatiguée d'attendre
De toi des mots tendres
Que tu ne diras pas
Toi qui ne penses qu'à toi

  オー、オー …
  待ちくたびれて
  あなたを
  あなたが言うはずのないやさしい言葉を
  自分のことしか考えないあなた

Amour impossible
Quoi de plus terrible 注1
De perdre ou te suivre
Te rêver, ou vivre.

  のぞみのない恋
  それ以上おぞましいものは何なの
  負けることかあなたについて行くことか
  あなたを夢見ることか、あるいは生きていくことなのか。

Patricia Kass1


J'ai tout essayé pourtant
Toutes les armes des femmes
J'ai même versé une larme, seulement
Ai-je aimé nos silences
Ou ta belle indifférence, finalement
Je ne sais plus quoi faire
Moi qui d'ordinaire 注2
Mesurais mon courage
Aux violences des orages
Il me faut faire le deuil 注3
De toi de mon orgueil
Moi j'étais prête à tout
Sauf me pendre à ton cou 注4
J'aurais été avec toi
Jusqu'en Alaska
Qu'importe si je ne supporte pas le froid 注5
J'ai trouvé la chaleur
Près du feu des projecteurs
Loin de toi

  だけど私はすべて試みた
  女の武器を
  涙だって流したが、ただ
  ふたりの間の沈黙を
  あるいはあなたのこのうえない無関心を
  愛しただけだったのか、結局のところ
  もうどうしたらいいのかわからない
  いつもは自分の気丈さを
  嵐の脅威に比べていたこの私
  自尊心からあなたをあきらめなければならない
  すべて覚悟はできているわ
  あなたの首に抱きつくこと以外は
  あなたといっしょに行くところだった
  アラスカまでも
  寒さに耐えられなくても構わなかった
  私はプロジェクターの光のそばで
  心を燃やすものを見出した
  あなたから遠いところで

Amour impossible
Quoi de plus terrible
De perdre ou te suivre
Te rêver, ou vivre.
Je ne veux plus attendre
Je ne veux plus apprendre
Comment briser la glace 注6
Quand ton reflet s'efface
Je ne vais pas t'aimer sans mot dire 注7
J'vais pas te maudire
Oublier ton visage et ta voix
Tu sais pour être femme
On peut bien briser son âme
Plusieurs fois

  のぞみのない恋
  それ以上おぞましいものは何なの
  負けることかあなたについて行くことか
  あなたを夢見ることか、あるいは生きていくことなのか。
  もう待ちたくない
  あなたの影が消えたとき
  どのようにして気持ちをほぐすかなど
  もう学びたくない
  黙々とあなたを愛したりなどしない
  あなたを恨んだりはしない
  あなたの顔や声を忘れるわ
  女であるというのは
  魂を傷つけることにもなるのよ
  何度もね

Patricia Kaas2


Amour impossible
Quoi de plus terrible
De perdre ou te suivre
Te rêver, ou vivre.
Je ne veux plus attendre
Je ne veux plus apprendre
Comment briser la glace
Quand ton reflet s'efface
Je ne vais pas t'aimer sans mot dire
J'vais pas te maudire
Oublier ton visage et ta voix
Tu sais pour être femme
On peut bien briser son âme
Plusieurs fois

  のぞみのない恋
  それ以上おぞましいものは何なの
  負けることかあなたについて行くことか
  あなたを夢見ることか、あるいは生きていくことなのか。
  もう待ちたくない
  あなたの影が消えたとき
  どのようにして気持ちをほぐすかなど
  もう学びたくない
  黙々とあなたを愛したりなどしない
  あなたを恨んだりはしない
  あなたの顔や声を忘れるわ
  女であるというのは
  魂を傷つけることにもなるのよ
  何度もね

[注]
1 Quoi de…?「なにか…なことはないか?」形容詞はdeを介して男性単数形を付ける。
2 d'ordinaire「普通、いつもは」
3 faire le deuil de qc.「…を断念する」
4 se pendre au cou de qn.「…の首に抱きつく、…に媚態を示してうるさがられる」
5 Qu'importe「どうでもいい、かまわない」
6 briser la glace「氷をくだく」だが、「(初対面などの)緊張をほぐす、打ち解けさせる」の意味に用いられる。ここでは、凍りついた自分の気持ちを解きほぐすという意味であろう。ton reflet「あなたの影」が消えた時とあるので、glaceに「鏡」の意味も含めているようだ。
7 sans mot dire「何も言わずに」




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2014
12.22

私を抱いてEmbrasse-moi

Édith Piaf Embrasse-moi


今回は、ジャック・プレヴェールJacques Prévertの詩を歌詞にした曲「私を抱いてEmbrasse-moi」(1940年)です。作曲はワル・ベルグWal-Berg(本名:Voldemar Rosenberg)。エディット・ピアフÉdith Piafとジュリエット・グレコJuliette Grécoが歌っています。この詩は、1946年の詩集「ものがたりHistoires」に収録されました。

エディット・ピアフ



Embrasse-moi         私を抱いて
Édith Piaf            エディット・ピアフ


C'était dans un quartier de la ville Lumière 注1
Où il fait toujours noir où il n'y a jamais d'air 注2
Et l'hiver comme l'été là c'est toujours l'hiver 注3
Elle était dans l'escalier
Lui à côté d'elle elle à côté de lui
C'était la nuit
Ça sentait le soufre
Car on avait tué des punaises dans l’aprés-midi

  光の都パリのある界隈でのことだった
  いつも暗いところで そよとも風が吹かないところ
  そして冬も夏もいつでも冬だ
  彼女は階段にいた
  彼は彼女に寄り添い 彼女は彼に寄り添って
  夜のことだった
  硫黄の臭いがしていた
  それは午後に南京虫退治をしたからだ

Embrasse-moi1.jpg


Et elle lui disait
Ici il fait noir
Il n'y a pas d'air
L'hiver comme l'été c'est toujours l'hiver
Le soleil du bon Dieu ne brille pas de notre côté
Il a bien trop à faire dans les riches quartiers
Serre moi dans tes bras
Embrasse-moi
Embrasse-moi longtemps
Embrasse-moi
Plus tard il sera trop tard
Notre vie c'est maintenant

  で、彼女が彼に言うには
  ここは暗いわ
  そよとも風が吹かないわ
  冬も夏もいつでも冬よ
  おてんとさまも 私たちのところでは輝かない
  裕福な界隈でふるまうことが多過ぎるのよ
  あなたの腕に私を抱きしめて
  私を抱いてよ
  ずっと長いこと抱いていて
  私を抱いて
  あとではもう遅いの
  私たちの人生は今なのよ

Embrasse-moi2.jpg


Ici on crève de tout
De chaud de froid
On gèle on étouffe
On n'a pas d'air
Si tu cessais de m'embrasser
Il me semble que je mourrais étouffée
T'as quinze ans j'ai quinze ans
A nous deux ça fait trente
A trente ans on n'est plus des enfants
On a bien le droit de travailler
On a bien celui de s'embrasser
Plus tard il sera trop tard
Notre vie c'est maintenant
Embrasse-moi

  ここではみんな死んでしまう
  暑さで 寒さで
  凍えるわ 息が詰まるわ
  空気を吸えないわ
  もしあなたが私を抱くのをやめたら
  私は息が詰まって死んじゃいそう
  あなたは15 私も15
  ふたり合わせて30よ
  30の歳ならもう子供じゃない
  私たちは働く権利があるし
  抱き合う権利もある
  あとではもう遅いの
  私たちの人生は今なのよ
  私を抱いて

[注] embrasserは「抱く」と「キスする」の両義があり、現在はもっぱら後者の意味で用いられるが、この歌詞では前者の意味だと判断する。定評ある小笠原豊樹氏訳の「プレヴェール詩集」では「キスして」となっているが。
1 la ville Lumièreは、la Ville lumièreとも表記されるが、「光の都」すなわちパリのこと。
2 il y a de l'airは「風がある」で、その否定形。
3 comme付加の意味で、「…と、及び」。




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2014
12.21

手紙を書き給えÉcris-moi

Tino Rossi Écris-moi


ティノ・ロッシTino Rossiが歌った「手紙を書き給えÉcris-moi」は、1930年に作られたタンゴ調のカンツォーネのScrivimi (Giovanni Raimondo/Enrico Frati)を1938年にルイ・ポトラLouis Poteratがフランス語に翻案した曲。

ニノ・ファンタナNino Fontanaが歌う元歌は、クリックしてYouTubeでお聴きください。



同じ曲をミーナMinaが歌うとガラッと雰囲気が変わります。



ティノ・ロッシの歌うフランス語版



Écris-moi            手紙を書き給え
Tino Rossi            ティノ・ロッシ


Cette rose embaumée
que de toi j'ai gardé
Déjà toute fanée
dans mes doigts va mourir

  残しおいた君からの
  この芳しき薔薇は
  すでに萎れ果て
  私の指のなかで死にゆく

Écris-moi4


Au cours morne des heures
dans ma triste demeure,
ces pétales m'effleurent
Comme des souvenirs

  わが寂しき住処で
  鬱々と時が流れゆくあいだ、
  これらの花びらは
  想い出のごとく
  わが心に触れる

Écris-moi, quelques lignes à peine
loin de toi j'ai tant de peine
qu’un mot me consolera.
Écoute-moi sans haine
même si ta lettre est belle 注1
Écris-moi, ne m'abandonne pas

  私に手紙を書き給え、数行なりとも
  君から遠く離れ私はとても辛い
  ひと言が私をなぐさめてくれよう。
  私の言うことを厭わず聞き給え
  たとえ君の手紙がうわべだけなりとも
  私に手紙を書き給え、私を捨て給うな

Écris-moi2


Qu'il est lourd le silence
de ces nuits où je pense
à ta chère présence
au doux son de ta voix
lorsqu'après tant d'ivresse
de bonheur de tendresse
tout mon cœur en détresse
ne sait plus rien de toi

  君のいとしき姿を
  君の声の甘き響きを
  想う夜の
  静寂のなんと重苦しきこと
  しあわせとやさしさに
  とことん酔いしれたあとだというに
  悲嘆にくれる私の心は
  君のことがもうまったく分からない

Écris-moi quelques mots peu m'importe 注2
afin que ta lettre apporte
du soleil en mon cœur las
je ne peux plus attendre
sans savoir et sans comprendre
Écris-moi ne m'abandonne pas...

  どんな言葉でもいいから書き給え
  君の手紙が私の疲れた心に
  太陽を運んでくれるよう
  何も知らず何も分からずに
  待つことなど私にはもうできぬ
  私に手紙を書き給え、私を捨て給うな

Écris-moi3


je ne peux plus attendre
sans savoir et sans comprendre
Écris-moi ne m'abandonne pas...

  何も知らず何も分からずに
  待つことなど私にはもうできぬ
  私に手紙を書き給え、私を捨て給うな

[注] 邦題に合わせ、少々古めかしい訳語を用いた。
1 belle (beauの女性形)本来は「美しい、素晴らしい」の意味だが、反語的な用い方で「結構な、立派な」ひいては「上辺だけの、嘘の」の意味で用いられる。
2 quelques mots peu m'importe直訳すると「私にとって重要ではない何がしかの言葉」だが意訳した。



・・・・・・イタリア語原詞・・・・・・

Scrivimi

Quando tu sei partito
mi hai donato una rosa
oggi è triste e sfiorita
come questo mio cuor
l'ho bagnata di pianto
per ridarle la vita
ma il tuo amore soltanto
la può far rifiorir.

Amore scrivimi
non lasciarmi più in pena
una frase, un rigo appena
calmeranno il mio dolor
sarà forse l'addio
che vuoi dare al cuore mio
scrivimi
non lasciarmi così


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2014
12.20

君の部屋へと登るときQuand je monte chez toi

Henri Salvador Alias Henry Cording


今回取り上げるアンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの「君の部屋へと登るときQuand je monte chez toi」は、前回の「セニョールSeñor」とは逆に、螺旋階段を上がって女性の部屋に行く男の立場の歌です。
作詞:ジャン・ブルソルJean Broussolle、作曲:アンリ・サルヴァドールで、1956年のアルバムAlias Henry Cordingに収録されています。繰り返しの言葉がまるでジュモンのようで面白い曲です。

サルヴァドール



ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisも歌っています。



Aldoという人のカヴァーはなかなかいいです。



Quand je monte chez toi         君の部屋へと登るとき
Henri Salvador             アンリ・サルヴァドール


Quand je monte, je monte, je monte, je monte chez toi
J'ai le cœur qui saute, qui saute, qui saute de joie
Et dans le petit_escalier
Qui n'en finit pas de monter
Oh j'aime, j'aime, j'aime, j'aime venir chez toi
Même, même, même si c'est haut chez toi
Aussi ne t'étonne pas
Si j'ai le cœur qui bat
Quand je monte, je monte, je monte, je monte chez toi

  僕が君の部屋へと登って、登って、登って、登って行くとき
  僕は喜びで心がはずむ、はずむ、はずむ、はずむ
  そしてはてしなく登り続ける
  小さな階段で
  おお君の部屋に行きたい、行きたい、行きたい、行きたい
  たとえ、たとえ、たとえ君の部屋が高いところにあっても
  そしてまた驚かないで
  もし僕の心臓が高鳴っていても
  僕が君の部屋へと登って、登って、登って、登って行くとき

Quand je monte chez toi3


Tu n'as qu'un petit septième de banlieue
Et tout près d'un lit de bois
Un joli carré de ciel toujours bleu
Qui s'allume sur les toits
Là-haut, je sais que tu m'attends
Et je prends tout mon temps 

  君は郊外の小さな7階の部屋しか持っていない
  そして木のベッドのすぐ近くに
  いつも青いままの美しい四角い空があって
  その窓が屋根屋根の上で灯りをともしている
  あの高いところで、君が僕を待っているんだと分かっている
  だから僕は落ち着いていられるんだ

Quand je monte chez toi4



{Break}

Quand je monte, je monte, je monte, je monte chez toi
J'ai le cœur qui saute, qui saute, qui saute de joie
Et dans le petit_escalier
Qui n'en finit pas de monter
Oh j'aime, j'aime, j'aime, j'aime venir chez toi
Même, même, même si c'est haut chez toi
Aussi ne t'étonne pas
Si j'ai le cœur qui bat
Quand je monte, je monte, je monte, je monte
Je monte, je monte, je monte chery quand je monte chez toi

  僕が君の部屋へと登って、登って、登って、登って行くとき
  僕は喜びで心がはずむ、はずむ、はずむ、はずむ
  そしてはてしなく登り続ける
  小さな階段で
  おお君の部屋に行きたい、行きたい、行きたい、行きたい
  たとえ、たとえ、たとえ君の部屋が高いところにあっても
  そしてまた驚かないで
  もし僕の心臓が高鳴っていても
  僕が君の部屋へと
  登って、登って、登って、登って、いとしい人、僕が登って行くとき


[注] prendre tout son temps「慌てず落ち着いてする」



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2014
12.19

セニョ-ル(カタツムリの歌)Señor(Colimasong)

Paris combo Living-Room


パリ・コンボParis Comboは、フランス人女性ヴォーカリストのベル・ドュ・ベリーBelle du Berryを中心に、ギター、打楽器、ピアノおよびトランペット、ベースの国籍の異なる5人で1995年に結成したグループ。コンボComboとは1930年代のジャズを意味する言葉で、従来のジャズやラテンを絶妙にミックスして、古いものから新しいものを生み出すハイブリッドな音楽を特徴とします。1997年にファーストアルバムをリリースし、今年5枚目のニューアルバムが出るはずです。

今回は、1999年の2枚目のアルバムLiving-Roomに収録された「セニョールSeñor」をご紹介しましょう。Colimasongという副題がついていますが、これはフランス語のColimaçon「カタツムリ」あるいは「螺旋階段」に、英語のsong「歌」を引っ掛けているようです。相手のことをセニョ-ルと言っていますから、「私」はラテン系の女性なんでしょう。ずばり言ってしまえば、見知らぬ男を部屋に引き込むお話。とってもおしゃれな曲で、実は私のレパートリーの一つです。



Señor(Colimasong)           セニョ-ル(カタツムリの歌)
Paris Combo              パリ・コンボ


Un jour que j'étais dans mon antre
Où l'on entre sans frapper
Quelqu'un a pris l'escalier
Sur une petite idée de colimaçon
Il était maçon, il avait les mains tendres
Et de quelle façon, il m'a bien fait comprendre
Que de tout l'immeuble, j'étais
La voisine qu'il avait le plus envie d'aimer

  ある日 私は自分の住んでいるところにいた
  そこにはひとはノックもしないで入って来る
  カタツムリの小さなアイデアを拝借した
  階段を 誰かが上がってきた
  彼は職人で、柔らかい手をしていた
  そしてどんな風にしてか、彼は私に納得させた
  アパルトマンのなかで、私が
  彼が最も愛したい隣人だということを

Señor3


Alors, j'ai dit: "Merci...
Merci beaucoup, mais voyez-vous
Je viens d'emménager dans cet appartement
Où je vie seule, tout simplement!"

  そこで、私は言った「ありがとう…
  ほんとうにありがとう、でもねほら
  このアパルトマンに越してきたばっかりで
  ここで私はひとりで暮らしているの、とっても慎ましくね!」

Mais au même moment, j'ai pensé
J'ai pensé, j'ai pensé, j'ai pensé...
Tan tabalan tabalan tabalabalan 注1
Tan tabalan tabalan tabalabalan tan
L'amour a frappé à ma porte
Tabalabalan tan tabalan tabalan tabalabalan tan
J'ai ouvert, que le diable m'emporte
Tan tabalan tabalan tabalabalan
Tan tabalan tabalan tabalabalan tan
Tout mon squelette est ravi 注2
Tabalabalan tan tabalan tabalan tabalabalan tan
Et ça, je l'emporte au paradis a a a a a a

  でも同時に、私は思った
  思った、思った、思った…
  タン タバラン タバラン タバラバラン
  タン タバラン タバラン タバラバラン タン
  恋が私のドアを叩いたのよ
  タバラバラン タン タバラン タバラン タバラバラン タン 
  悪魔が私をあと押しし、私はドアを開いた
  タン タバラン タバラン タバラバラン
  タン タバラン タバラン タバラバラン タン
  全骨格が喜びにふるえる
  タバラバラン タン タバラン タバラン タバラバラン タン 
  そして、私はこの身を天国に連れて行く アアアアアア

Señor1


Mais Señor, ah oui oui Señor, aïe Señor
Et ça, mon vieux je l'emporte au paradis

  でもセニョール、ああそうよセニョール、いえセニョール
  そして、あんた私はこの身を天国に連れて行く

Et Señor, il faut que je m'agace
Pour l'heure, il faut que je ressasse 注3
Tous mes sentiments égarés,
Mes pôles oubliés
Mon ressort abimé
Et oui Señor, il faut que je m'agace
Pour l'heure, il faut que je ressasse
Tout mon squelette en entier
Mes plaies non suturées
En mon cœur isolé

  そしてセニョール、私は苛立つべきね
  今、私は見直さなきゃ
  混乱した気持ちぜんぶと
  おろそかにしてしまった拠り所と
  傷つけられた尊厳を
  ええそうねセニョール、私は苛立つべきね
  今、私は見直さなきゃ
  私の全骨格を
  縫合されていない私の傷口を
  私の孤独な心のなかで

Votre amour tombe à pic 注4
Oh mais moi, je vais tomber de très haut
Si vous n'me laissez pas le temps tactique
De me remettre en selle au galop 注5

  あなたの愛はタイミングよく降って来た
  おおでも私は、とっても高いところから落っこちてしまうわ
  もしも私がすばやく立ち直れるための時間を
  あなたが与えてくれないならば

Señor4


Mais au même moment, j'ai pensé
J'ai pensé, j'ai pensé, j'ai pensé...
Tan tabalan tabalan tabalabalan
Tan tabalan tabalan tabalabalan tan
L'amour a frappé à ma porte
Tabalalan tan tabalan tabalan tabalabalan tan
J'ai ouvert, que le diable m'emporte
Tan tabalan tabalan tabalabalan
Tan tabalan tabalan tabalabalan tan
Tout mon squelette est ravi
Tabalalan tan tabalan tabalan tabalabalan tan
Et ça, je l'emporte au paradis a a a a a a 注6

  でも同時に、私は思った
  思った、思った、思った…
  タン タバラン タバラン タバラバラン
  タン タバラン タバラン タバラバラン タン
  恋が私のドアを叩いた
  タバラバラン タン タバラン タバラン タバラバラン タン 
  悪魔が私をあと押しし、私はドアを開いた
  タン タバラン タバラン タバラバラン
  タン タバラン タバラン タバラバラン タン
  全骨格が喜びにふるえる
  タバラバラン タン タバラン タバラン タバラバラン タン 
  そして、私はこの身を天国に連れて行く アアアアアア

Mais Señor...oui oui Señor
Et ça, mon vieux je l'emporte au paradis...

  でもセニョール…ええそうよセニョール
  そして、あんた私はこの身を天国に連れて行く…

[注]
1 擬音語は、一応聞き取って示した。これは階段を上がる足音か、あるいは胸の高鳴りか?
2 squelette「骨格」というのは珍しい。chair「肉、肉体」というほうが一般的だろう。そう言えば、日本の歌謡曲に「骨まで愛して」というのがあった。
3 pour l'heure「今のところ」
4 tomber à pic「タイミングよくやって来る」
5 se (re)mettre qn. en selle「(再び)馬に乗る、立ち直る」。au galop「ギャロップで、大急ぎで」。
6 事態を見直して修復したいといった表現の延長として、ここと後続部分の au paradis 「天国に」をen enfer「地獄に」に変えてもいいかも。




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2014
12.18

私の兵隊さんMon légionnaire

Marie Dubas Mon légionnaire


「私の兵隊さんMon légionnaire」(作詞:レイモン・アッソRaymond Asso、作曲:マルグリット・モノーMarguerite Monnot)は、1936年にマリー・デュバMarie Dubasが創唱し、エディット・ピアフÉdith Piafも自分のレパートリーとしました。

マリー・デュバ




エディット・ピアフ



その後、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgがファンク調にアレンジして歌いました。女性の立場のままの歌詞で歌うことでホモセクシュアルなイメージをあえて出しているようです。1987年のアルバム:You're Under Arrestに収録。



légionnaireとは外人部隊の兵士のこと。娼婦が一夜をともにした外人部隊の兵士への思いを語る、悲しい歌です。外人部隊すなわち「フランス外国人部隊Légion étrangère」とは、フランス陸軍所属の外国人の志願兵で構成される正規部隊で、1831年に創設されて以来現代まで一貫して存続し、設立初期からアルジェリアでの活動が中心となっていました。1930年のアメリカ映画「モロッコMorocco」(ジョセフ・フォン・スタンバーグJosef von Sternberg 監督)ではゲイリー・クーパーGary Cooperが外人部隊の兵士を、マレーネ・ディートリヒMarlene Dietrichがその恋人を演じ、この映画は当時の外人部隊の姿を忠実に伝えていると賞賛されています。

日本の歌謡曲ですが、エト邦枝の「カスバの女」(1955年)は酒場の女の歌で、その歌詞は「外人部隊の白い服」というフレーズで終わります(→ちあきなおみの歌唱)。これはジャン・ギャバンJean Gabin主演のフランス映画「望郷Pépé le Moko」(ジュリアン・デュヴィヴィエJulien Duvivier監督)を下敷きにして大高ひさをが作詞したそうです。この映画は当時のフランス領アルジェリアの中心都市アルジェの無法地帯であるカスバにたむろする流れ者や犯罪者を描いたもので、Mon légionnaireの作られた1936年に撮影されました。

1998年に製作されたアメリカ映画「レジョネア 戦場の狼たちLegionnaire」(ピーター・マクドナルドPeter MacDonald監督)は、プロボクサーが、マフィアの追及を逃れるために外人部隊に入隊する話で、この映画で、ドイツの女優ウテ・レンパーUte LemperがMon légionnaireを歌っています。
映画「モロッコMorocco」のシーンを用いた動画です。



Mon légionnaire             私の兵隊さん
Marie Dubas              マリー・デュバ


Il avait de grands yeux très clairs
Où parfois passaient des éclairs
Comme au ciel passent des orages.
Il était plein de tatouages
Que j' ai jamais très bien compris.
Son cou portait : "Pas vu, pas pris."
Sur son cœur on lisait : "Personne"
Sur son bras droit un mot : "Raisonne".

  彼はとても澄んだ大きい目をしていた
  その目には時々、光が走った
  空に稲妻が走るみたいに。
  彼はいっぱい刺青をしていて
  私にはその意味があまりよく分からなかった。
  首には「見つからねば捕われぬ。」
  胸には「誰もいない」と読めた。
  右の腕には「考えろ」の一言。

Mon légionnaire2


{Refrain:}
J' sais pas son nom, je n' sais rien d' lui.
Il m' a aimée toute la nuit,
Mon légionnaire!
Et me laissant à mon destin,
Il est parti dans le matin
Plein de lumière!
Il était minc', il était beau,
Il sentait bon le sable chaud,
Mon légionnaire!
Y avait du soleil sur son front
Qui mettait dans ses cheveux blonds
De la lumière!

  名前も知らず、彼のことは何も知らない。
  私を一晩中愛したわ、
  私の兵隊さんは!
  そして私を私の運命にあずけ、朝のうちに
  陽の光あふれるなかを出て行ったわ!
  彼は痩せていて、美しくて、
  熱い砂のようないい匂いがした、
  私の兵隊さんは!
  彼の額の上に輝く太陽が
  金色の髪に
  光を投げかけていた!

Mon légionnaire1


Bonheur perdu, bonheur enfui,
Toujours je pense à cette nuit
Et l' envie de sa peau me ronge.
Parfois je pleure et puis je songe
Que lorsqu' il était sur mon cœur,
J' aurais dû crier mon bonheur...
Mais je n' ai rien osé lui dire.
J' avais peur de le voir sourire!

  失われたしあわせ、消えたしあわせ、
  いつも私はこの夜のことを思いだす
  彼の肌を求める気持ちが私を蝕む。
  時々、私は泣きそして思う
  彼が私の胸にいたとき、
  しあわせだと叫ぶべきだったと…
  でも私は何も彼に言えなかった。
  彼に笑われるのを恐れていたから!

{Refrain}

On l' a trouvé dans le désert.
Il avait ses beaux yeux ouverts.
Dans le ciel, passaient des nuages.
Il a montré ses tatouages
En souriant et il a dit,
Montrant son cou : "Pas vu, pas pris"
Montrant son cœur : "Ici, personne."
Il ne savait pas...Je lui pardonne.

  彼は砂漠で見つかった。
  美しい目を開いたままだった。
  空には、雲が流れていた。
  彼は刺青を見せたわ
  微笑を浮かべつつ、そして彼は言ったのよ、
  首を見せて「見つからねば捕われぬ。」
  胸を見せて「ここには誰もいない。」
  彼は知らなかったのよ…私は彼を許すわ。

Mon légionnaire4


J' rêvais pourtant que le destin
Me ramèn'rait un beau matin
Mon légionnaire,
Qu'on s' en irait seuls tous les deux
Dans quelque pays merveilleux
Plein de lumière!
Il était minc', il était beau,
On l' a mis sous le sable chaud
Mon légionnaire!
Y avait du soleil sur son front
Qui mettait dans ses cheveux blonds
De la lumière!

  でも私は夢見ていた、運命が
  ある朝、私のところに連れてきてくれると
  私の兵隊さんを!
  私たちは二人だけで行くんだと
  光あふれる
  どこかのすばらしい国に!
  彼は熱い砂の下に埋められた
  私の兵隊さんは!
  彼の額の上に輝く太陽が
  金色の髪に
  光を投げかけていた!

[注] Pas vu, pas pris.「悪いことをしても、人に見られなければ捕えられない。」


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2014
12.17

明日は月の上でÀ demain sur la lune

Salvatore Adamo À demain sur la lune


今回はたいへんロマンチックな曲、サルヴァトーレ・アダモSalvatore Adamo自身が作詞・作曲した「明日は月の上でÀ demain sur la lune」(1969年)です。



À demain sur la lune             明日は月の上で
Salvatore Adamo               サルヴァトーレ・アダモ


À demain sur la lune
Aux quatre coins des dieux 注1
À demain sur la lune
À trois bornes des cieux 注2

  明日は月の上で
  世界の四隅で
  明日は月の上で
  天空の三方の果てで

Il y aura un carrosse
Qui nous emmènera
Voir mes rêves de gosse
Et tu t’y reconnaîtras
Et pour toi ma jolie
Le vent, ce magicien
Jouera une symphonie
De mille musiciens

  1台の馬車があらわれ
  僕の子どものころの夢を見せに
  僕たちを連れて行くだろう
  そして君は自分がそこにいることに気づく
  そして 僕の可愛い人 君のため
  風が、この魔術師が
  千人の演奏家の
  一曲のシンフォニーを奏でることだろう

À demain sur la lune...

  明日は月の上で

À demain sur la lune1


Là nous verrons la Terre
Comme une boule de Noël
Se balancer légère
Au grand sapin du ciel
Et d’étoile en étoile
Nos chevaux voleront
À l’heure où le ciel se voile
De mille rêves blancs

  そこから僕たちは見るだろう 地球が
  クリスマスイヴの玉飾りのように
  空の大きなモミの木のうえで軽妙にバランスをとっているのを
  そして空がたくさんの白い夢に
  覆われる時間には
  星から星へと
  僕たちの馬は飛んで行く

À demain sur la lune...

  明日は月の上で…

À demain sur la lune2


Le vent te couvrira
D’un voile de dentelles
Et tu t’endormiras
Dans la nuit la plus belle
Moi moi moi je te bercerai
J’attendrai ton réveil
Puis je t’embrasserai
À la barbe du soleil 注3

  風がレースのヴェールで
  君を覆うだろう
  そして君はまどろむだろう
  もっとも美しい夜に
  僕はね 僕はね 僕はね 僕は君を優しく揺するだろう
  僕は君の目醒めを待ち
  それから君にキスをするだろう
  陽の光のもとで

À demain sur la lune...

  明日は月の上で…

À demain sur la lune...

  明日は月の上で…
  
{ad lib}

[注]
1 aux quatre coins de「…の四隅で、…のいたるところで」。dieuxはdieu「神」の複数形で、ここでは「世界」といった意味。
2 ciel「空」(などの意味)の複数形は、意味によりcielsとcieuxが使い分けられる。ここでは「天、宇宙」といった大きな概念を示す。
3 (au nez et) à la barbe de qn.「…の面前(鼻先)で、…がいるにもかかわらず」





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2014
12.16

あなたなしに(サンバ・プレリュード)Vivre sans vivre

Yves Duteil Sans attendre


バーデン・パウエルBaden Powellが作った「サンバ・エン・プレリュディオSamba em préludio」というポルトガル語のサンバの曲があり、デュオでよく歌われます。後半の女性の歌は2回繰り返され、2回目は、男性が前半の歌詞を女性の歌の間に入れていくという構成です。

これをイヴ・デュテイユYves Duteilが、原曲とほぼ同様の内容でフランス語に翻案したVivre sans vivreを今回取り上げます。2001年のSans attendreというアルバム、2003年のChante pour elleに収録されています。「生きずに生きる」という矛盾した意味の原題ですが、あなたがいなければ生きている意味がないという愛をあらわしています。歌詞に、la vie sans toi「君なき生」、vivre sans toi「君(あなた)なしで生きる」という表現があるので、「あなたなしに」という邦題にしました。

イヴ・デュテイユの動画がYouTubeになかったので、2012年1月28日に私自身が制作してアップしました。その後、ほかの動画も出たようです。Biaという女性歌手と歌っています。



バーデン・パウエルのギター弾き語り



長谷川きよしと加藤登紀子が「サンバ・プレリュード」という曲名で日本語で歌っています。残念ながらYouTubeの動画は見られなくなりました。

実はこの曲、2010年11月に私が初めて人前でマイクを持って歌った2曲のうちの1曲です。もう1曲は、「想い出のサンジェルマン・デ・プレOù Es-tu passé mon Saint-Germain-des-Prés」。ともにマイナーな曲で、新人はもっと歌いやすい曲を選べばよかったのかもしれませんが、その後も歌い込んでいくことを考えれば、いい選曲でした。特にこの曲は、Nonnie et Kazanデュオのレパートリーの一つになりました。明後日18日の《カザンライブ》ではポルトガル語で歌います。

Vivre sans vivre     あなたなしに(サンバ・プレリュード)
Yves Duteil        イヴ・デュテイユ


La vie sans toi
Le cœur à l'envers
C'est l'eau sans la mer
C'est froid comme l'hiver
C'est long comme la nuit
C'est lourd comme l'ennui
La nuit sans l'aurore
C'est long comme la mort…et

  君なき生は
  心乱れ
  あたかも海なき水
  冬のごとく寒く
  夜のごとく長く
  憂いのごとく重苦しい
  黎明なき夜は
  死のごとく長い…そして

Vivre sans vivre4


La vie sans toi
Vers qui et vers quoi
Le sol sous mes pas
Se dérobera
Tout seul sur la Terre
Le cœur en enfer
Dieu me garde de vivre un seul jour 
Sans toi

  君なき生は
  誰に、何に向かうというのか
  足下の土は
  崩れ去るだろう
  地上にただ一人
  心は苦しみにうち塞がれよう
  神よどうか僕が一日たりとて
  君なしで生きることなどないようにさせたまえ

Vivre sans vivre2


Vivre sans vivre
Moi qui n'ai jamais su marcher
Que pour te suivre
Ivre de vivre
Pour respirer l'air que tu respires
Laisser parler nos cœurs sans rien dire

  生きた心地なく生きるというの
  あなたについていくしか
  歩き方を知らなかった私が
  生きることに酔いしれて
  あなたと同じ空気を吸い
  何も言わずに 私たちの心に語らせましょう

Vivre sans vivre5


Vivre ou survivre
Sans plus jamais trouver dans tes yeux
La fin du livre
Vivre sans vivre
Dieu me garde de vivre un seul jour
Sans toi

  生きるあるいは生き続けるというの
  もうあなたの目に
  物語の結末が見いだせぬまま
  生きた心地なく生きるというの
  神よどうか私が一日たりとて
  あなたなしで生きることなどありませんように


[注] Dieu me garde(ou préserve)de +inf.「どうか私が…することなどありませんように」



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2014
12.15

魅惑のワルツFascination

Léo Marjane Fascination


「魅惑のワルツFascination」は、ポーレット・ダルティPaulette Dartyのためにイタリア出身の作曲家フェルモ・マルケッティFermo Marchettiが1904年に作曲しました。ダルティの愛人のモーリス・ド・フェローディMaurice de Féraudyが作詞。オードリー・ヘップバーンAudrey Hepburnとゲーリー・クーパーGary Cooper主演の「昼下がりの情事Love in the Afternoon」(1957年)に使われたことでこの曲は知られるようになりました。

フランス語そして英語で多くが歌手がカヴァーしていますが、レオ・マルジャーヌLéo Marjaneの歌でご紹介します。レオに関しては「今宵ただひとりJe suis seule ce soir」のページでご紹介しています。

歌詞内容は月並みで、正直言って、訳す甲斐がないと私自身は感じてしまいます…が、美しい曲です。

レオ・マルジャーヌLéo Marjane。Je te Diosという曲のあと3:20くらいから始まります。音質はまったくよくないです。



ジャクリーヌ・フランソワはルフラン部分だけを2度繰り返して歌っています。



ナット・キング・コールNat King Cole(英語)



Fascination               魅惑のワルツ
Léo Marjane             レオ・マルジャーヌ


{Refrain :}
Je t’ai rencontrée simplement,
Et tu n’as rien fait pour chercher à me plaire
Je t’aime pourtant,
D’un amour ardent,
Dont rien, je le sens, ne pourra me défaire. 注1
Tu seras toujours mon amant
Et je crois à toi comme au bonheur suprême. 注2
Je te fuis parfois, mais je reviens quand même.
C’est plus fort que moi : Je t’aime.(×2)

  私はただあなたに出会っただけ、
  そしてあなたは私を喜ばせるためにはなにもしなかった
  でも私はあなたを愛している、
  熱烈な愛情で、
  なにも私からその愛を追い出せない、そう感じるわ。
  あなたは永遠に私の恋人よ
  そして私はあなたを最高の幸福を信じるように信じるわ
  私はときどきあなたから逃げるわ、でもちゃんと戻ってくるのよ。
  私自身よりもこの気持ちは強いのよ「あなたを愛しているわ」。

Fascination4.jpg


Lorsque je souffre, il me faut tes yeux
Profonds et joyeux
Afin que j’y meure
Et j’ai besoin pour revivre, amour, 注3
De t’avoir un jour,
Moins qu’un jours, une heure !, 
De me bercer un peu dans tes bras, 
Quand mon coeur est las,
Quand parfois je pleure.
Ah ! crois-le bien, mon chéri, mon aimé, mon Roi,
Je n'ai de bonheur qu'avec toi.

  私が苦しんでいるとき、
  あなたの深くて明るい目が必要なの
  私がそのなかで溺れ死ぬために
  そしてふたたび生き返るために、愛しい人
  いつの日かまたあなたがいてくれることが、
  1日でなくても、1時間でも!
  あなたの腕のなかでやすらぐことが必要になるの、
  私の心がくたびれ切っているとき、
  ときたま私が泣く時に。
  あぁ!そうなのよ、私のいとしい人、私の愛する人、私の王様、
  私はあなたといっしょでなきゃしあわせじゃないの。

Fascination1.jpg


{Refrain}

[注]
1 je le sensは挿入されている。défaire qn. de qc.「(…から…を)排除する、取り除く」。主語はrien。de qc.=dontで、その先行詞はun amour ardent。
2 =comme je crois au bonheur suprême「最高の幸福を信じるのと同じように」。croire à …は、人に対する場合は「…を信頼する…の言うことを信用する」、物に対する場合は「…の存在を信じる、…がありそうだと思う」と、ニュアンスが少々異なるが。
3 pour revivre, amour, は挿入されており、j’ai besoin de t’avoir …とつながる。無冠詞のamourはビルギュルで区切られているので呼びかけと判断した。




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2014
12.14

マミー・ブルーMamy blue

Nicoletta Mamy blue


「マミー・ブルーMamy blue」は、1970 年にユベール・ジローHubert Giraudによってフランス語の歌詞で作られた曲ですが、 1971-72年に、ロス・ポップ・トップスLos Pop Topsというグループによって、英語の翻案歌詞でヒットしました。その後、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語で、世界中で多くの歌手に歌われています。
家を飛び出した私が帰郷したら、母親は亡くなっていて家は荒廃していたという歌詞内容は各国の盤に共通のようです。Mamy blueのblueすなわち「青い」色は、フランスでは「きれいな」というニュアンスで用いられることが多いのですが、この曲では、物悲しい、郷愁を込めたニュアンスで用いられています。
以前、ニコレッタNicolettaの「想い出のサン=ジェルマン=デ=プレOù Es-tu passé mon Saint-Germain-des-Prés」のページで、彼女の母親のことについて触れましたが、彼女にとって「マミー・ブルーMamy blue」は、特別の想いを傾ける曲に違いなく、まさにすごい歌です。

なお、マミーブルーは、日本生まれの競走馬、繁殖牝馬の名前にもなっています。

ニコレッタ



ロス・ポップ・トップス



ヴィッキーVickyは英語で歌っています。ダリダDalidaはイタリア語です。
フランス語では、セリーヌ・ディオンCeline Dionララ・ファビアン Lara Fabian なども歌っています。

Mamy blue  マミー・ブルー
Nicoletta  ニコレッタ


Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Oh mamy mamy
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Oh mamy mamy blue
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Où es tu mamy
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue

  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー
  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー ブルー
  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  あなたはどこマミー
  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー

Je suis partie un soir d'été oh mamy
Sans dire un mot sans t'embrasser oh mamy
Sans un regard sur le passé oh mamy
Le passé blue

  ある夏の夜に私は発った オー マミー
  なにも言わずキスもせず オー マミー
  過去にも目を向けず オー マミー
  過去にも ブルー

Mamy blue7


Dès que j'ai franchi la frontière oh mamy
Le vent soufflait plus fort qu'hier oh mamy
Quand j'étais près de toi ma mère oh mamy
Oh ma mère blue

  国境を越えたら オー マミー
  吹く風は強くなった オー マミー
  かあさんのそばにいた昨日よりも オー マミー
  おおかあさん ブルー

Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Oh mamy mamy blue
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue

  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー ブルー
  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー

Et aujourd'hui je te reviens oh mamy
Et j'ai refait tout le chemin oh mamy
Qui m'avait entraînée si loin oh mamy
Oh si loin blue

  そしてきょう 私はあなたのところへ帰ってくる オー マミー
  私を遠くへと運んだ オー マミー
  道をすべてふたたび辿ってオー マミー
  おおとても遠くへと ブルー

Mamy blue5


Tu n'es plus là pour me sourire oh mamy
Me réchauffer me recueillir oh mamy
Et je n'ai plus qu'a repartir oh mamy
Repartir blue

  私に微笑み私を暖め受け入れてくれるはずの オー マミー
  あなたはそこにはもういない オー マミー
  私はまた出て行くしかない オー マミー
  また出て行くしか ブルー

Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Oh mamy mamy blue
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue

  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー ブルー
  オー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー

La maison a ferme ses yeux oh mamy
Le chat et les chiens sont très vieux oh mamy
Et ils viennent me dire adieu oh mamy
Adieu blue

  家はまぶたを閉ざし オー マミー
  猫も犬たちもとても年老いている オー マミー
  彼らは私にさよならを告げに来る オー マミー
  さよならを ブルー

Mamy blue


Je ne reviendrai plus jamais oh mamy
Dans ce village que j'aimais oh mamy
Où tu reposes à tout jamais oh mamy 
Désormais blue

  わたしはもう戻ってこないだろう オー マミー
  愛していたこの村に オー マミー
  あなたが永遠に眠る村に オー マミー
  今後はもう ブルー

Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Oh mamy mamy
Oh mamy oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue oh mamy mamy
Oh mamy mamy
Oh mamy, oh mamy mamy blue oh mamy blue
Où es tu mamy blue
Oh mamy, oh mamy mamy blue, oh mamy blue
Oh mamy mamy mamy
Oh mamy, oh mamy mamy blue, oh mamy blue
Oh mamy mamy blue...

  オー マミー、 オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー
  オー マミーオー マミー、オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー
  オー マミー、 オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  あなたはどこマミー ブルー
  オー マミー、 オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミ マミー
  オー マミー、 オー マミ マミー ブルー オー マミー ブルー
  オー マミ マミー ブルー…

[注] ニコレッタが歌っている部分を黒字で、コーラスとニコレッタがいっしょに歌っている部分を太字で、コーラスのみの部分をグレーの字で表記したが、コーラスにあらかじめニコレッタの声が入っているところや、男声のみのコーラスの部分もあり、明確には分けられない。
à tout jamais「永遠に」。




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2014
12.13

もしもSi

Zaz Si


ザーズZAZの「もしもSi」という曲は、ジャン=ジャック・ゴールドマンJean-Jacques Goldmanが作り、2013年のアルバムRecto verso(「両面、表裏」の意味)に収録されています。このアルバムではOn iraという曲がヒットしましたが、私はこちらのほうが好きです。



Si          もしも
ZAZ         ザーズ


Si j´étais l´amie du bon Dieu
Si je connaissais les prières
Si j´avais le sang bleu 注1
Le don d´effacer, tout refaire
Si j´étais reine ou magicienne
Princesse, fée, grand capitaine
D´un noble régiment
Si j´avais les pas d´un géant

  もしも私が神様の友達だったら
  もしも私が祈りの言葉を知っていたら
  もしも私が高貴な血筋だったら
  消去し、すべてを作り直す能力を持っていたら
  もしも私が女王あるいは魔術師か
  王女か、妖精か、
  立派な連隊の大隊長だったら
  もしも私が巨人の歩幅を持っていたら

Je mettrais du ciel en misère
Toutes les larmes en rivière
Et fleurirais des sables où file même l´espoir
Je sèmerais des utopies, plier serait interdit
On ne détournerait plus les regards

  私は不幸のなかに大空をもちこみ
  すべての涙を川に流すだろう
  そして希望さえ流れ去る砂漠に花を咲かせるだろう
  私はユートピアの種を蒔くだろう
  屈することは許されない
  私たちはもう目をそむけないだろう

Si1.jpg


Si j´avais des milles et des cents 注2
Le talent, la force ou les charmes
Des maîtres, des puissants
Si j´avais les clés de leurs âmes
Si je savais prendre les armes
Au feu d´une armée de titans 注3

  もしも私が莫大な財産や
  指導者たちや、有力者たちのような
  才能や、力やあるいは魅力を持っていたら
  もしも私が彼らの魂を開く鍵を持っていたら
  もしも私が巨人たちの軍隊の砲火に対し
  武器を取ることができたなら

J´allumerais des flammes
Dans les rêves éteints des enfants
Je mettrais des couleurs aux peines
J´inventerai des Édens
Aux pas de chance, aux pas d´étoile, aux moins que rien 注4

  子供たちの消えゆく夢のなかに
  炎を燃やすだろう
  苦しみに色づけするだろう
  楽園を創り出すだろう
  不運な人々のために、星に恵まれない人々のために、数に入れられない人々のために

Si2.jpg


Mais je n´ai qu´un cœur en guenille
Et deux mains tendues de brindilles
Une voix que le vent chasse au matin
Mais si nos mains nues se rassemblent 注5
Nos millions de cœurs ensembles
Si nos voix s´unissaient
Quels hivers y résisteraient ?

  でも私は、ボロをまとった心と
  小枝から差し伸ばしたふたつの手と
  朝、風が吹き消してしまう声しか持っていない
  でももしも私たちの何も持たない手が集まり
  私たちの100万の心がいっしょになったら
  もしも私たちの声が合わさったら
  どんな厳しい寒さがそれに逆らえるというの?

Un monde frère, une terre âme sœur 注6
Nous bâtirons dans ces cendres
Peu à peu, miette à miette 注7
Goutte à goutte et cœur à cœur

  兄弟となる世界を、魂の姉妹となる地を
  私たちはこうした灰のなかに築くだろう
  少しずつ、ひとかけらずつ、
  ひとしずくずつそして少しずつ心を通じ合って

Si3.jpg


Peu à peu, miette à miette
Goutte à goutte et cœur à cœur

  少しずつ、ひとかけらずつ、
  ひとしずくずつそして少しずつ心を通じ合って

[注]
1 sang bleu「貴族の血」
2 des mille et des cents「多額の(金)、莫大な量」
3 Titan「タイタン」はギリシャ神話に登場する神で、天の神を父とし地の神を母とする。ここは小文字なので「巨人」の意味の普通名詞で、「巨大で力を持つもの」をあらわしている。
4 pas de chance!「ついてないや!」を名詞的に用いている。pas d´étoileも同様。moins que rien「取るに足りない、大したことはない」。
5 les mains nuesは「素手」という訳語が合うが、よく「手袋をしていない」という意味でも用いられる表現。ここでは、les mains vides「(武器も)何も持たない」と同義、というより、ただ「手そのもの」と言いたいのだろう。
6 たいていの歌詞サイトでfortとなっている語がfrèreだと確認できたので訂正する。âme sœurは「分身、伴侶」の意味だが、frère「兄弟」とsœur「姉妹」の併置を重視して訳した。
7 peu à peuとmiette à mietteとgoutte à goutteはすべて「少しずつ」の意味。cœur à cœurは本来は「率直に、胸襟を開いて」の意味だが、これも同様のニュアンスを含むのだろう。




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2014
12.12

アブラカダブラAbracadabra

Sylvie Vartan Abracadabra


今回は、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanの「アブラカダブラAbracadabra」。作詞はジル・チボーGilles Thibaut、作曲はリギニRighiniとロカレッリLocarelli。1969年にシングル盤が出て、70年にイタリア語盤も出ました。そして71年に、アルバムAime-moiに収録されました。

ABRACADABRAは、世界中で広く用いられているアラム語、あるいはヘブライ語の呪文で、「私が言うとおりになる」「この言葉のようにいなくなれ」といった意味で、下のように文字を逆三角形に並べて書いてお守りにし、厄除けなどに用いたようです。

A   B   R   A   C   A   D   A   B   R   A

A   B   R   A   C   A   D   A   B   R

A   B   R   A   C   A   D   A   B

A   B   R   A   C   A   D   A

A   B   R   A   C   A   D

A   B   R   A   C   A

A   B   R   A   C

A   B   R   A

A   B   R

A   B

A


「ハリー・ポッター」では、「死の呪い」として「アバダ・ケダブラ(Avada Kedavra)」が登場します。また、サザンオールスターズにも「アブラカダブラ」と題した曲があるとか。

さて、この歌詞では「わたし」は「あなた」をどう思っているのでしょうか?わたしはちょっとひねった愛情表現のように感じますが…。



イタリア語



Abracadabra              アブラカダブラ
Sylvie Vartan               シルヴィー・ヴァルタン


Je vivais dans un bois dormant
Tu m'éveilles sans raison en passant
J'attendais un prince charmant
Je ne trouve qu'un amant, un passant

  わたしは眠れる森に住んでいた
  あなたは通りがかりにわけもなくわたしを目覚めさせた
  わたしはステキな王子様を待っていた
  わたしは一人の恋人にしか、一人の行きずりの人にしか出会わなかった

Abracadabra3.jpg


{Refrain:}
Abracadabra, abracadabra
Tu as brûlé mes contes, tu as brûlé mes fées mais
Abracadabra, abracadabra
Il reste les sorcières pour me venger

  アブラカダブラ、アブラカダブラ
  あなたはわたしの物語を燃やした、あなたはわたしの妖精たちを燃やした、でも
  アブラカダブラ、アブラカダブラ
  わたしの仇を討ってくれるために魔女たちが残っているわ

Tu es grand, tu es beau,
Elles te feront corbeau
Mais c'est encore trop beau
Elles te feront crapaud

  あなたは背が高い、あなたは美しい、
  魔女たちはあなたをカラスに変えるわ
  でもそれじゃまだ美しすぎる
  魔女たちはあなたをヒキガエルに変えるわ

Abracadabra2.jpg


Abracadabra, abracadabra
Il reste les sorcières pour me venger

  アブラカダブラ、アブラカダブラ
  わたしの仇を討ってくれるために魔女たちが残っているわ

J'étais reine de mes illusions
Et de moi tu as fait Cendrillon 注1
Je rêvais la vie de château
Aujourd'hui, j'ai un lit et c'est trop 注2

  わたしは自分の幻想の世界の女王だった
  そしてあなたはわたしを「灰かぶり」にした
  わたしはお城での生活を夢見ていた
  いま、わたしにはベッドがひとつあり、それでもうたくさん

Abracadabra1.jpg


{au Refrain}

Tu es dur à briser, elles te feront rocher
Mais c'est encore trop doux, elles te feront caillou

  あなたは頑丈で壊せない、魔女たちはあなたを岩に変えるわ
  でもそれではまだ優しすぎる、彼女たちはあなたを砂利に変えるわ

{au Refrain}

[注]
1 faire+名詞+de+名詞「…から…を作る。…を…にする」。Cendrillon「白雪姫」と邦訳されるが、「灰かぶり」という原義に近い訳語が文脈にふさわしい。
2 c'est trop「恐縮です、もうたくさんです」



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2014
12.11

《カザンのソロライブ第1回》

《アミカル・ド・シャンソン》の共同主宰者である宇藤カザンが、12月18日(木)に、赤坂の「レディバード」にて、ソロ・ライブをおこないます。
彼は、私とのデュオのライブは既に何度かおこないましたが、ソロ・ライブは初めて。来年・再来年にかけて計5回のライブで7ヶ国語で計100曲歌う予定で、今回はその第1回。クラシック、シャンソン、ラテンなどの曲目を20曲歌います。私もデュオの1曲で出演します。
本職は水彩画家で、来場された方々に彼の水彩画の作品やポストカードなどを抽選(外れなし)で差し上げるとのことです。
17時半開場、18時開演。前売りチケットはありませんので、当日、直接お越しください。会場の地図等、詳細は下記を参照ください。

Kazanライブ2




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2014
12.11

ひとり星の上にSeul sur son étoile

Gilbert Bécaud Seul sur son étoile


ジルベール・ベコーGilbert Bécaud が1966年に歌った「ひとり星の上にSeul sur son étoile」は、ベコー特有の暖かみのある曲です。「星」って、自分が現在いる地球のこと。「ひとり」というのは、人々のなかにいても孤独だということ。

「この恋に生きてIt must be him」という英語の曲に翻案されてヴィッキー・カーVikki Carrが歌い、たいへんヒットしました。原題は「彼に違いない」という意味で、電話がかかってきて、「きっと彼からだわ」と思うという歌詞内容。ベコーの歌とはまったく異なります。記事の最後にこちらもご紹介しましょう。



Seul sur son étoile           ひとり星の上に
Gilbert Bécaud            ジルベール・ベコー


Quand on est seul sur son étoile
Et qu'on regarde passer les trains 注1
Quand on trinque avec des minables
Qu'on dort avec des "moins que rien" 注2
Quand on ré-écrit à sa mère 注3
Et qu'on pense aux économies
Quand on invente des prières
Pour des Bon Dieu de comédie

  自分の星にひとりでいるとき
  そして列車が通るのを眺めているとき
  ろくでもないやつらと乾杯しているとき
  どうでもいい誰かといっしょに寝ているとき
  母親に返事を書いているとき
  また節約に執心しているとき
  ひょうきんな神さまへの
  祈りの言葉をでっちあげているとき

Seul sur son étoile1


C'est qu'on a besoin
De quelqu'un, de quelque chose
Ou d'un ailleurs
Que l'on n'a pas, que l'on n'a pas
C'est qu'on a besoin
De quelqu'un, ou d'un amour
Ou bien d'un copain
Que l'on attend depuis longtemps

  そのときは必要としているんだ
  誰かを、何かを
  あるいはほかの
  自分が持っていない、自分が持っていないものを
  必要としているんだ
  誰かを、あるいはひとつの愛を
  またあるいは
  ずっと待っていたひとりの友を

Quand on est seul sur son étoile
On ne voit pas le temps courir
On est au chaud et l'on s'installe 注4
Comme un cheval qui va mourir
Quand on raconte son enfance
A des gens qui n'écoutent pas
Quand tu te fais beau, c'est dimanche 注5
Et qu'après tout tu ne sors pas 注6

  自分の星にひとりでいるときは
  過ぎ行く時に目も向けず
  暖かいところにいてそしてじっとしている
  死んでいく馬のように
  子どもの頃のことを
  聞いてくれもしない人たちに話しているとき
  休日だからとめかし込み、
  結局のところ外出しないでいるとき

Seul sur son étoile2


C'est que tu as besoin
De quelqu'un, de quelque chose
D'un quelque part
Que tu n'as pas, que tu n'as pas
C'est que tu as besoin
De quelqu'un, ou d'un amour
Ou bien d'un copain
Que tu attends depuis longtemps

  君はそのとき必要としているんだ
  誰かを、何かを
  ほかの場所を
  君が持っていない、君が持っていないそれらを
  君はそのとき必要としているんだ
  誰かを、あるいはひとつの愛を
  またあるいは
  君がずっと待っていたひとりの友を

Quand on est seul sur son étoile
Y a des fois des coups du Bon Dieu 注7
Et l'on est deux sur son étoile
C'est idiot, mais on est heureux

  自分の星にひとりでいるときには
  時々神さまが助けてくれる
  そして星にふたりでいるときは
  馬鹿げているけど、しあわせだ

Seul sur son étoile3


On n'a plus besoin de quelqu'un
De quelque chose, ou d'un ailleurs
On s'en fout bien! On s'en fout bien! 注8

  もう必要とはしないんだ、誰かを
  何かを、そして他のものを
  まったく平っちゃらさ!まったく平っちゃらさ!

[注]
1 queはquandの代用
2 moins que rien「取るに足りない」。名詞化されて「取るに足りない人」。ここでは一夜を共にする相手を表現する言葉。
3 ré-écrire=récrire「再び手紙を書く、返事を書く」
4 être au chaud「暖かいところにいる」
5 se faire beau「おしゃれをする、めかしこむ」
6 après tout「結局のところ、いずれにせよ」
7 des fois「時々、時たま」
8 s'en foutre「気にしない、無視する」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ヴィッキー・カーVikki Carrの「この恋に生きてIt must be him」



It must be him               この恋に生きて
Vikki Carr                 ヴィッキー・カー


I tell myself what's done is done
I tell myself don't be a fool
Play the field have a lot of fun
It's easy when you play it cool

  過ぎたことは過ぎたことだと自分に言い聞かせる
  しっかりしなくちゃと自分に言い聞かせる
  ゲームは楽しい
  あなたが冷静にプレーするとうまく行くわ

I tell myself don't be a chump
Who cares, let him stay away
That's when the phone rings and I jump
And as I grab the phone I pray

  おろかになっちゃいけないと自分に言い聞かせる
  誰が気にするというの、彼を行かせておくのよ
  電話が鳴って私は飛び上がり
  電話機をつかみ、祈る

Let it please be him, oh dear God
It must be him or I shall die
Or I shall die
Oh hello, hello my dear God
It must be him but it's not him
And then I die
That's when I die

  どうか彼でありますように、おお神よ
  彼に違いない、でなきゃ私は死んじゃう
  でなきゃ私は死んじゃう
  おおハロー、ハロー、神よ
  彼に違いない、でも彼じゃない
  そして私は死んじゃう
  その時死んじゃうのよ

After a while, I'm myself again
I take the pieces off the floor
Put my heart on the shelf again
You'll never hurt me anymore

  しばらくして、私は自分を取り戻す
  床を片付けて
  私の心を再び棚に上げる
  あなたがもうこれ以上私を傷つけることはないわ

I'm not a puppet on a string
I'll find somebody else someday
That's when the phone rings, and once again
I start to pray

  私は操り人形なんかじゃない
  いつか誰かほかの人を見つけるわ
  それは電話が鳴る時、そしてもう一度
  私は始めるわ

Let it please be him, oh dear God
It must be him , it must be him
or I shall die, Or I shall die
Oh hello, hello my dear God
It must be him but it's not him
And then I die
That's when I die

  どうかそれが彼でありますように、おお神よ
  彼に違いない、彼に違いないわ
  でなきゃ私は死んじゃう、でなきゃ私は死んじゃう
  おおハロー、ハロー神よ
  彼に違いない、でも彼じゃない
  そして私は死んじゃう
  その時死んじゃうのよ



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2014
12.10

子守唄Berceuse

Charles Trenet Berceuse


シャルル・トレネCharles Trenetの「子守唄Berceuse」(1947年)は、思春期の兄が小さな弟に歌う、とても優しい歌。なにか事情があって母親が遠くに行ってしまったようですが、両親が離婚したのだろうか、それとも、この2年前の1945年が終戦の年でしたから、なにか戦争に絡んだ事情があったのだろうかなどと…。この曲を聴くと、もっと悲しい話ですが野坂昭如の「火垂るの墓」を思い出すものですから。



Berceuse              子守唄
Charles Trenet          シャルル・トレネ


Dors mon p´tit frère,
Maman n´est pas là.
Elle est en Belgique,
Elle est aux Pays-Bas,
Elle est aux Amériques,
Un jour, elle reviendra.

  お眠り弟よ
  ママンはいない
  ベルギーにいる
  オランダにいる
  アメリカにいる
  いつか、帰ってくる

Berceuse2.jpg


Dors mon p´tit frère.
Quand tu dormiras,
Moi, j´irai voir Lucille.
Elle m´attend en bas.
Moi, j´irai voir Lucille.
Je lui prendrai les bras
Car j´aime bien les filles.
J´ai quinze ans, moi.

  お眠り弟よ。
  君が眠ったら、
  僕はね、ルシールに会いに行く。
  彼女はむこうで僕を待ってる。
  僕はね、ルシールに会いに行く。
  僕は彼女の腕をとる
  だって僕は女の子が好きだからさ。
  僕は15歳なんだ、僕は。

Berceuse1.jpg


Dors mon p´tit frère.
Quand tu seras grand,
Tu iras aux Amériques
Tu verras le Canada,
Et tu iras en Belgique,
Et là-bas, et là-bas,
Tu retrouveras Maman,
En marchant, en marchant,
Tu retrouveras Maman,
En marchant longtemps.

  お眠り弟よ。
  君が大きくなったら、
  アメリカに行くだろう、
  カナダを見るだろう、
  そしてベルギーに行くだろう
  そしてそこで、そしてそこで、
  ママンに会えるよ、
  歩いていたら、歩いていたら、
  ママンに会えるよ、
  長いあいだ歩いていたら。

Berceuse3.jpg


[注] 歌詞サイトの歌詞を、トレネが歌っているとおりに訂正して訳した。その時その時で歌詞を変えて歌っているのかもしれないが。


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2014
12.09

ナントに雨が降るNantes

Barbara Nantes


先に「黒いワシL'Aigle noir」のページで、バルバラBarbaraが自伝のなかで父親との濃密な関係を告白していると書きました。「ナントに雨が降るNantes」は、1959年に亡くなったその父親を悼んで、その葬儀の翌日から書き始め、4年後の1963年に完成させた曲。翌1964年に、アルバム「いつ帰ってくるの?Dis, quand reviendras-tu ?」に収録されました。
そういえば、シルヴィ・ヴァルタンSylvie Vartanが、亡くなった父に捧げた曲「父Mon père」も以前に取り上げましたね。
原題はナントNantesという地名だけですが、歌詞がIl pleut sur Nantesで始まるので「ナントに雨が降る」という邦題で呼ばれます。そう、ダリダDalidaの「雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles」はジャック・ブレルJacques Brelの死を悼む曲でした。



この動画は、歌詞が少し違いますが、歌っているときの眼の表情につい引き込まれてしまいます。



さじき幸代さんは2012年のJ’aime chanterコンクールで、この曲を歌って優勝されました。フランス語の発音が完璧なだけではなく、彼女の歌は心に深く響いてきます。私が最も見習いたい歌い手なので、彼女の歌をご紹介します。



Nantes                ナントに雨が降る
Barbara                バルバラ


Il pleut sur Nantes
Donne-moi la main
Le ciel de Nantes
Rend mon cœur chagrin

  ナントに雨が降っている
  私に手を貸して
  ナントの空は
  私の心を悲しくさせるわ

Un matin comme celui-là
Il y a juste un an déjà
La ville avait ce teint blafard
Lorsque je sortis de la gare
Nantes m'était alors inconnu
Je n'y étais jamais venue
Il avait fallu ce message
Pour que je fasse le voyage:

  今朝と似た朝のこと
  もうちょうど一年も前の
  街もこんなどんよりした色合いを帯びていたわ
  私が駅から降り立ったとき
  その時は私にとってナントは見知らぬ街で
  私は一度も訪れたことはなかった
  このメッセージが
  私に旅を強いたのだった:

Nantes7.jpg


"Madame, soyez au rendez-vous 注1
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Faites vite, il y a peu d'espoir
Il a demandé à vous voir."

  「マダム、面会にお出向きください
  グランジュ・オ・ルー通り25番地です
  お急ぎになって、希望はあまりございません
  彼はあなたに会いたいとおっしゃいました。」

A l'heure de sa dernière heure
Après bien des années d'errance
Il me revenait en plein cœur 注2
Son cri déchirait le silence 注3
Depuis qu'il s'en était allé
Longtemps je l'avais espéré
Ce vagabond, ce disparu
Voilà qu'il m'était revenu

  彼の末期のそのときに
  何年もの放浪ののちに
  彼は私のところにちゃんと戻ってきた
  彼の叫び声が静寂を破ったのよ
  彼が去ってから
  長い間 私は待ち望んでいたわ
  この放浪者、この行方不明者を
  いま彼は私のもとに戻ってきた

Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Je m'en souviens du rendez-vous
Et j'ai gravé dans ma mémoire
Cette chambre au fond d'un couloir

  グランジュ・オ・ルー通り25番地
  私はあの面会を思い出す
  そして私は記憶に刻みつけた
  廊下の突き当りのこの部屋を

Nantes6.jpg


Assis près d'une cheminée
J'ai vu quatre hommes se lever
La lumière était froide et blanche
Ils portaient l'habit du dimanche 注4
Je n'ai pas posé de questions
A ces étranges compagnons
J'ai rien dit, mais à leurs regards
J'ai compris qu'il était trop tard

  4人の男が暖炉のそばに座っていて
  立ち上がるのを私は見た
  照明は冷たくそして白っぽかった
  彼らはきちんとした服装をしていた
  私は質問もしなかった
  この見知らぬ連れ合いたちに
  私は何も言わなかった、けれど彼らの視線で
  すでに遅すぎたのだと私は理解したわ

Pourtant j'étais au rendez-vous
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Mais il ne m'a jamais revu
Il avait déjà disparu

  私は面会に出向いたのよ
  グランジュ・オ・ルー通り25番地に
  なのに、彼は私と会うことはなかった
  彼はすでに逝ってしまっていた

Nantes5.jpg


Voilà, tu la connais, l'histoire
Il était revenu un soir 注5
Et ce fut son dernier voyage
Et ce fut son dernier rivage
Il voulait avant de mourir
Se réchauffer à mon sourire
Mais il mourut à la nuit même
Sans un adieu, sans un "je t'aime"

  そう、あなたはご存じね、その話を
  彼はある夜 戻ってきた
  そして、それは彼の最後の旅だった
  そして、それは彼の最後の岸辺だった
  彼は死ぬ前に望んでいたわ
  私の微笑で温まることを
  だけど彼はその夜死んだ
  さよならもせず、「愛している」とも言わずに

Au chemin qui longe la mer
Couché dans le jardin de pierres 注6
Je veux que tranquille il repose
Je l'ai couché dessous les roses
Mon père, mon père

  海沿いの道にある
  石の庭に身を横たえて
  彼が安らかに憩うよう私は願う
  私は彼をバラの陰に葬ったわ
  お父さん、私のお父さん

Nantes2.jpg


Il pleut sur Nantes
Et je me souviens
Le ciel de Nantes
Rend mon cœur chagrin

  ナントに雨が降り
  私は思い出す
  ナントの空は
  私の心を悲しくさせるわ

[注]
1 rendez-vous「会う約束、会合」のみならず「会合の場所」も示す。être à「(場所)…にいる」。バルバラの父は実際はナントの病院で亡くなり、rue de la Grange-au-Loup「グランジュ・オ・ルー通り」(グランジョルーとしたほうが実際の発音に近い)は架空の名称であったが、この曲に因み、1986年にナントの父親の住んでいた場所に近い通りにこの名前が付けられた。参照→Dailymotionの動画
2 en plein +n.「…のただなかで、真ん中に、」。cœurは「中心」と判断し、en plein cœurは「ど真ん中に、正面切って」の意味に捉えた上で訳語を選んだ。
3 Son cri déchirait le silenceは象徴的な表現。実際に叫んだわけではない。
4 l'habit du dimanche普段着ではないきちんとした服装ということで、「晴れ着」という訳語はふさわしくない。
5 骨になって戻ってきたのである。2行下のrivage「岸辺」は、船旅をする者が辿りつく場所といったニュアンスだろう。
6 le jardin de pierresは「墓地」のこと。



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2014
12.09

ろくでなしLe mauvais garçon

Salvatore Adamo rokudenasi


サルヴァトーレ・アダモSalvatore Adamoの「ろくでなしLe mauvais garçon」という曲は、1964年にアダモ自身が作詞・作曲。原題は「不良少年」という意味ですが、日本で岩谷時子の歌詞で越路吹雪が歌ったものがヒットし、そのタイトル「ろくでなし」がたいへんインパクトがあって受けました。女性の立場の日本語歌詞は、ある程度原曲にある言葉を引き継ごうとしていますが、かなり違います。話し言葉調のこの歌詞、意外に訳すのが難しかったです。



Le mauvais garçon            ろくでなし
Salvatore Adamo             サルヴァトーレ・アダモ


Ce jour-là, dans ce vieux bistrot
Au bout du monde de mes souvenirs 注1
J'avais bu un peu plus qu'il ne faut 注2
Ça me faisait mal de réfléchir
J'étais rond, j'en avais le droit 注3
Elle me quittait à tout jamais 注4
Depuis, on me montre du doigt
Encore un peu, on me pendait

  あの日、この古い酒場で
  なんとか思い出せるかぎりでは
  ちょっとばかり余分に飲み過ぎ
  それで分別がむずかしくなっていた
  僕は酔っぱらっていたさ、だがその権利はあったんだ
  彼女は、僕をあっさりと捨てちまったんだ
  それでもって、ひとに後ろ指をさされ
  さらには、つるし上げられるていたらくさ

Le mauvais garçon5


{Refrain :}
Le mauvais garçon 注5
Le mauvais garçon
Mon Dieu, quelles façons !
Oh oui, quel polisson !

  不良少年め
  不良少年め
  おやまぁ、なんという態度!
  あぁまったく、なんというろくでなし!

Ce fameux jour où j'ai osé 注6
M'endimancher un jour de semaine
Les commères se sont demandé
Pourquoi je me donnais cette peine 注7

  例のあの日、僕は
  週日なのにわざわざ晴れ着を着ていたんだ
  口さがない女たちは言い合っていた
  あいつはなんだってわざわざ着飾ってるのかねと

Et quand le soir je suis passé
En tenant Poupée par la main
Les commères se sont alarmées 注8
Comme si j'avais volé leur pain

  そして夜に僕がまたそこを
  カワイ子ちゃんを連れて通りかかると
  口さがない女たちはざわめいたんだ
  まるで僕がそいつらのパンを盗んだかのように

Le mauvais garçon2


{Refrain }

Déterrons la langue de guerre
Réunissons le comité
Mettons chauffer toutes les cafetières
Excitons la curiosité

  戦闘用語を掘り起こそう
  委員会を招集しよう
  カフェのマスター達をみな奮い立たせよう
  野次馬根性を駆り立てようぜ

Bien que mon quartier soit des plus beaux
Je vais le quitter, je le crains
J'entends plus le chant des oiseaux 注9
Car elles bourdonnent dès le matin

  この辺りがすごくいいところだとしたって
  僕はおさらばするだろうよ、そんなことになるさ
  小鳥の声も聴こえやしない
  だってあいつらが朝っぱらからがなりたてるからさ

{Refrain :}

Papalapampam...

  パパラパンパン…

[注]
1 bout du monde「世界の果て」のほか「最大限、ぎりぎりのところ」の意味がある。
2 il ne faut は、不定詞や中性代名詞leが省略された形で、neは虚辞のne。plus qu'il ne faut「必要以上に」すなわち「よけいに」。(例)Ne parle pas plus qu’il ne faut.「よけいなことはしゃべるな。」
3 rondは「丸い」ではなく「酔っぱらった」の意味。
4 à tout jamais「いつまでも、永遠に」。ここでは「これっきり」というニュアンス。
5 このルフラン部分は女たちの言葉。mauvais garçonは歌詞中では文字通り「不良少年」と訳した。邦題の「ろくでなし」はむしろ、ルフランの最後の語polissonに該当する。
6 fameux 名詞の前に置く場合、しばしば皮肉で「話題の、例の」。名詞の後に置く場合は「有名な」。
7 se donner la peine de+inf.「…する労をとる、わざわざ…する」。間接話法で、主語は1人称になっているが、訳語では3人称に変えた。
8 代名動詞s’alarmer は「(…に)おびえる」だが、ここは、「互いに警報を発する」ということから「騒ぎ立てる」といった意味合い。
9 Je n’entends plus のneが省略されている。


Le mauvais garçon1Le mauvais garçon6

パリ第4区に Rue des Mauvais-Garçonsという通りがあります。また、その通りには、Restaurant Les Mauvais Garçonsというレストランがあります。「ろくでなし通り」の「レストラン・ロクデナシ」と訳してみましょうか。


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2014
12.08

人生は美しいC'est beau la vie

Jean Ferrat Cest beau la vieIsabelle Aubret Cest beau la vie2  


1963年に深刻な交通事故を生き延びた歌手イザベル・オーブレIsabelle Aubretのために、ジャン・フェラJean Ferratが作曲し、Michelle Senlisが作詞したのがこの曲「人生は美しいC'est beau la vie」です。ジャック・ブレルJacques Brelもまた、自分の作った曲「ラ・ファネットLa Fanette」の権利を彼女に捧げています。イザベル・オーブレは1965年から活動を再開。1970年にはこの曲名をタイトルにしたアルバムを出し、また1993年には、Isabelle Aubret chante Ferratという、フェラの曲を歌ったアルバムも出し、自分のレパートリーとして大切にしています。

この曲は、フランソワ・オゾンFrançois Ozon監督のフランス映画「しあわせの雨傘Potiche(飾り壺)」(2010年)のラストシーンで、カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuveが熱唱してふたたび注目を浴びました。この映画の原題のPoticheというのは、暖炉の上などに置かれるただ飾るためだけの壺という意味で、そんな形だけの存在だった女性が突然やってきた苦難を乗り切るために変身していくというお話。
カトリーヌ・ドヌーヴといえば1964年の「シェルブールの雨傘Les Parapluies de Cherbourg」をまず思い出される方が多いでしょう。彼女は、雨傘を売っているという役柄で、本人は歌わず、ダニエル・リカーリDanielle Licariが歌っていました。つまり口パクでしたが、今度の映画では、雨傘を作っている会社の社長夫人の役柄で、本人が歌っています。大物女優は歌手としても一流ですね。

Cest beau la vie


ドヌーヴがバンジャマン・ビオレBenjamin Biolayとデュエットで歌っています。



2009年に亡くなったジャン・フェラ



イザベル・オーブレの1966年のテレビ番組での歌唱です。



C'est beau la vie            人生は美しい
Jean Ferrat              ジャン・フェラ


Le vent dans tes cheveux blonds
Le soleil à l'horizon
Quelques mots d'une chanson
Que c'est beau, c'est beau la vie 注1

  君のブロンドの髪を吹き抜ける風
  地平線の太陽
  シャンソンのいくつかの歌詞
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

Cest beau la vie2


Un oiseau qui fait la roue 注2
Sur un arbre déjà roux
Et son cri par dessus tout 注3
Que c'est beau, c'est beau la vie.

  赤枯れた木の上で
  羽を広げる鳥
  そしてその叫び声はなかんずく
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

Tout ce qui tremble et palpite
Tout ce qui lutte et se bat
Tout ce que j'ai cru trop vite
A jamais perdu pour moi

  震えおののくものすべて
  戦い争うものすべて
  とても速いと思うものすべてが
  僕には永遠に失われている

Pouvoir encore regarder
Pouvoir encore écouter
Et surtout pouvoir chanter
Que c'est beau, c'est beau la vie.

  また見ることができること
  また聴くことができること
  そして特に歌えることは
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

Cest beau la vie1


Le jazz ouvert dans la nuit 注4
Sa trompette qui nous suit
Dans une rue de Paris
Que c'est beau, c'est beau la vie.

  夜なかに始まったジャズ
  パリの通りまで
  僕たちについてくるトランペット
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

La rouge fleur éclatée
D'un néon qui fait trembler
Nos deux ombres étonnées
Que c'est beau, c'est beau la vie.

  輝くネオンの紅い花が
  驚いている僕たちの二つの影を
  震わせる
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

Tout ce que j'ai failli perdre
Tout ce qui m'est redonné
Aujourd'hui me monte aux lèvres
En cette fin de journée

  僕が危うく失いかけたものすべて
  僕にまた与えられたものすべてが
  きょう口元に湧きあがってくる
  この一日の終りに

Pouvoir encore partager
Ma jeunesse, mes idées
Avec l'amour retrouvé
Que c'est beau, c'est beau la vie.

  僕の若さを、僕の思いを
  よみがえった愛に
  ふたたび注ぐことができること
  なんて美しいんだろう、人生は美しい

Cest beau la vie3


Pouvoir encore te parler
Pouvoir encore t'embrasser
Te le dire et le chanter
Oui c'est beau, c'est beau la vie.

  また君に話せること
  また君に接吻できること
  君にこう言えてこう歌えること
  そう、なんて美しいんだろう、人生は美しいと

[注] ジャン・フェラJean Ferratの歌として訳した。
1 Que c'est beau のqueは感嘆をあらわし、「なんと」。ceは先に挙げたことがら。c'est beau la vieのceは文末に置かれた主語(ここではla vie)を予告する働き。c'est+形容詞の形では、ceが指す名詞の性数に関係なく、形容詞を男性単数形にする。したがって、これもbelleとはならない。
2 faire la roue「(クジャクなどが)尾羽を広げる」
3 par dessus tout「特に、とりわけ」
4 ouvertは「開かれた、始まった」の意味でjazzを修飾する。




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2014
12.07

12月のバラLa rose de décembre

Anne Sylvestre Aveu


アンヌ・シルヴェストルAnne Sylvestreは、1934年にリヨンで生まれた大御所のシンガー・ソングライターで、子どものための歌も数多く作っています。80歳になった現在も現役で、昨年も新しいCDを出し魅了ある歌を聞かせています。

1969年のAveuというアルバムに入っているすてきな曲、「12月のバラLa rose de décembre」を取り上げましょう。



La rose de décembre         12月のバラ
Anne Sylvestre             アンヌ・シルヴェストル


En plein décembre, ce matin
Et sous la neige du jardin
J´ai trouvé une rose
Elle s´était trompée de temps
Et n´avait trouvé que le vent
Meurtrie à peine éclose

  12月のさなかに、今朝
  庭の雪のしたに
  一輪のバラを見つけた
  その花は季節を間違えた
  そして風にしか出会わず
  開くやいなや傷ついた

Ô rose, rose bien trop frêle
Déjà meurtrie, ma presque belle 注1
Qui vous dressez malgré le froid 注2
Et contre toute vraisemblance 注3
Croyez que le printemps commence
Rose, vous ressemblez à moi {x2}

  おおバラよ、とってもか弱いバラよ
  すでに傷ついてしまった、私のちょっとした美人さんは
  寒さにも関わらず立ち上がり
  まったくとんでもないことに
  春が始まったと思っている
  バラよ、あなたは私に似ている

La rose de décembre1


En plein décembre j´ai trouvé
La rose qui me ressemblait
Aux pétales de givre
Non pas la rose d´un été
Non pas la rose d´un bouquet
Et de la joie de vivre

  12月のさなかに私は見つけた
  私に似たバラを
  霜の花びらをつけたバラを
  夏のバラではなく
  花束や
  生きる喜びのバラでもない

Mais rose, rose pas très belle
Rose à l´espérance fidèle
Au risque d´y perdre le cœur
Vous qui refusez la tempête
Et redressant toujours la tête
Comme moi, niez le malheur {x2}

  けれどバラよ、あまり美しくないバラよ
  確かな希望を持ち
  気を失う危険も持つバラよ
  あなたは嵐に抗い
  常に頭を起こして
  私のように、不幸を拒む

La rose de décembre2


En plein décembre, je vous ai
Cueillie comme je le pouvais
Et placée dans un verre
Une larme bien oubliée
Du temps où je savais pleurer
A taché ma paupière

  12月のさなか、私はあなたを摘んだ
  私にできたやり方で
  そしてグラスに生けた
  私が泣くことを知っていた頃の
  忘れていた涙が
  まぶたを濡らした

Ô rose, rose de courage
Un peu fripée, un peu sauvage
Les jardiniers riront de nous
Tant pis si le froid me démembre
Je fleurirai même en décembre
Et que me comprennent les fous {x2}

  おおバラよ、雄々しいバラよ
  ちょっとよれよれで、ちょっと野性的
  庭師たちは私たちを笑う
  もしも寒さが私の体を切り刻んでもしょうがない
  私も12月に花を咲かせるわ
  頭のおかしい人たちが私を分かってくれればいい

En plein décembre, ce matin
Et sous la neige du jardin
J´ai trouvé une rose
Une rose

  12月のさなか、今朝
  庭の雪のしたに
  一輪のバラを見つけた
  一輪のバラを

[注]
1 presque+抽象名詞「ほとんど…に近いもの」。意訳した。
2 se dresserは代名動詞。quiの先行詞ma presque belleをvousと呼び替え、vous dressezとしている。
3 contre toute vraisemblance「全くありそうにもない」




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2014
12.06

小さな花Petite fleur

Jacqueline François Petite fleur


「小さな花Petite fleur」は、アメリカのソプラノ・サックスおよびクラリネットの奏者であるシドニー・ベシェSidney Bechet が1952年に妻のために作曲したものですが、パリを中心としたヨーロッパで人気を博し、フランス語の歌詞が付けられてシャンソンとして歌われました。日本ではザ・ピーナッツが「可愛い花」というタイトルでヒットさせました。

シドニー・ベシェの原曲



フランス語の歌としては、ダニエル・ダリュー Danielle Darrieuxの歌が一番知られていますが《アミカル・ド・シャンソン》共同主宰者宇藤カザン氏のブログ:アミカル・ド・シャンソンに紹介されていますので参照ください。

ダニエル・ダリュー



ムルージMouloudjiも同じ歌詞で歌っています。



アンリ・サルヴァドールHenri salvadorとジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisが別の歌詞で歌っています。
私はこちらをレパートリーにしていますので、今回取り上げることにいたしました。
小さな青い花とは私のために輝いてくれた恋人の青い瞳で、その花すなわちその想い出は、花々(実際の恋の成り行き?)が萎れてしまっても私の心にいつまでも咲き続けている…。そんな美しい歌詞です。

アンリ・サルヴァドールHenri Salvador



ジャクリーヌ・フランソワの動画は、私が作成しアップしました。



Petite fleur             小さな花
Jacqueline François        ジャクリーヌ・フランソワ


Si les fleurs
Qui bordent les chemins
Se fanaient tout’s demain
Je garderais au cœur
Celle qui s’allumait dans tes yeux
Lorsque je t’aimais tant,
Au pays merveilleux
De nos seize printemps,
Petite fleur d’amour,
Tu fleuriras toujours
Pour moi
Si les fleurs
Un matin se fanaient
Sur les march’s du palais,
Je garderais.

  道端に咲く
  花々が
  もしも皆あした萎れてしまっても
  わたしは心に留めて置くわ
  わたしがあなたをとっても愛していた頃に
  わたしたちの16歳の春の
  素晴らしい国で、
  あなたの目のなかに輝いていた花を、
  小さな愛の花、
  わたしの心のなかに
  おまえはいつまでも咲いているでしょう
  もしも花々が
  お屋敷の階段で
  ある朝萎れてしまっても
  留めておくわ。

Petite fleur 1


{Refrain :}
Je garderais
La petite fleur bleue
D’autrefois qui brillait dans tes yeux
Pour moi.
Dans mon cœur
Tu fleuriras toujours
Au grand jardin d’amour,
Petite fleur

  留めておくわ
  昔わたしのために
  あなたの目のなかに輝いていた
  小さな青い花を。
  わたしの心のなかに
  おまえはいつまでも咲いているでしょう
  大きな愛の庭に、
  小さな花よ

Petite fleur 2


{Refrain}



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2014
12.05

プティ・コンセール《ブレル&グレコを歌う》

12月6日(土)に、プティ・コンセール《ブレル&グレコを歌う》を開きます。歌手別のフランス語歌唱をメインにしたユニークなコンサートの第6回目で、ジャック・ブレルJacques Brelとジュリエット・グレコJuliette Grécoの曲を7人の歌い手が歌います。当日券あります。

Gréco Brel


曲目をご紹介しましょう。
はブレルの曲、はブレルに捧げた曲、はグレコの曲です。
これらの曲目のち、このブログに掲載していなかった曲を、ここ数日間かけて旧ブログから修正を加えて移しました。「ロマンスRomance」のみ、もっとふさわしい季節に移したいので、旧ブログの記事を書き換えて残しました。
曲名をクリックして紹介記事(邦訳)を開いてご覧ください。

Ne me quitte pas行かないで
Je suis seule ce soir今宵ただひとり
Deshabillez-moi脱がせてちょうだい
Jolie momeジョリ・モーム
Miarkaミアルカ
Il n’y a plus d’apresあとには何もない
La quête見果てぬ夢
Quand on n’a que l’amour愛しかない時
La chanson des vieux amants歳月を経し恋人たちの歌(懐かしき恋人たちの歌)
Voir un ami pleurer涙(友が泣くのを見る)
Les feuilles mortes枯葉
Paris canailleパリ・カナイユ
Valse a mille temps千拍子のワルツ
Bonjour tristesse悲しみよこんにちは
Sans vous aimer愛すことなく
Coin de rue街角
Amsterdamアムステルダム
Romanceロマンス
La javanaiseラ・ジャヴァネーズ
雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles

私は4曲歌いますが、そのうちの1曲「千拍子のワルツValse a mille temps」は私としては一大挑戦となります。《アミカル・ド・シャンソン》の共同主宰者である宇藤カザンも、「涙(友が泣くのを見る)Voir un ami pleurer」のピアノ弾き語りに初挑戦します。応援に来て下さるとうれしいです。

ブレルもグレコも奥の深い歌手です。隠れた宝物のような曲がほかにも数多くあります。たとえば、グレコでは、「あなたがそのつもりでもSi tu t'imagines」、「日曜日はきらいJe hais les dimanches」、「わたしはわたしよ Je suis comme je suis」、「失われた恋Amours perdues」、「失われた恋Les amours perdues」、「枯木の上に Sur l'arbre mort」、「小さな魚と小さな鳥Un petit poisson, un petit oiseau」、「褐色のワルツLa Valse Brune」、「美しい星でÀ la belle étoile」など、そしてブレルでは、「ジョジョJojo」、「子供の頃Mon enfance」、「孤独への道J’arrive」、「平野の国Le plat pays」などなど…。
これらは次の機会のために残し、「歌います」と名乗り出る方を待ちましょう。

次は来年2月21日(土)に《アダモ&ヴァルタンを歌う》を開きます。準備は少しずつ進んできています。日本でも人気の二人ですから楽しいコンサートになりそうです。



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2014
12.05

涙(友が泣くのを見る) Voir un ami pleurer

Jacques Brel Voir un ami pleurer


今回は、ジャック・ブレルJacques Brelの「涙(友が泣くのを見る) Voir un ami pleurer」という素晴らしい曲です。1977年に出した最後のアルバム「偉大なる魂の復活(レ・マルキーズ)Les Marquises」に収められています。たいへん深い内容で、力が及ばないのを自覚しながら精一杯訳しました。ブレルに関しては、「見果てぬ夢La quête」の記事に解説していますので参照ください。
歌詞の2節目は、ブレルが晩年に住んでいたヒバオア島のポリネシア人の友人が 妻に逃げられ、息子の教育に悩んでいたことにインスピレーションを得て書かれたそうですが、他の節は、紛争、金、都市生活、人種など、世界的な社会問題をテーマにしています。個人的な問題、社会的な問題を挙げながら、各節は、タイトルであるVoir un ami pleurer「友が泣くのが目に浮かぶ」で締めくくられます。「愛しかない時Quand on n'a que l'amour」は、こう生きたい、こう行動したい、こうしてあげたいと想ってもそのための手立てを何も持っていない。だけど、その「想い」すなわち「愛」が唯一の「力」となる…という歌詞であると解説しましたが、その肯定的なメッセージがこの「涙」では「友が泣くのが目に浮かぶ」という無力感に変わったようにも感じられます。でも、ブレルの深い愛は同様に、いえ、ますます強く語られています。



他の歌手のカヴァーとしては、ジュリエット・グレコJueliette Gréco(←Daily motion動画)を筆頭に挙げたいです。


モラーヌMaurane




ララ・ファビアンLara Fabian も歌っています。

Voir un ami pleurer                  涙(友が泣くのを見る)
Jacques Brel                      ジャック・ブレル


Bien sûr, il y a les guerres d’Irlande 注1
Et les peuplades sans musique 注2
Bien sûr, tout ce manque de tendre
Et il n’y a plus d’Amérique 注3
Bien sûr, l’argent n’a pas d’odeur 注4
Mais pas d’odeur vous monte au nez 注5
Bien sûr, on marche sur les fleurs
Mais, mais voir un ami pleurer! 注6

  むろん、アイルランドの紛争がある
  そして音楽を持たぬ人々がいる
  むろん、こうしたすべての愛情の欠如がある
  そしてもうアメリカは存在しない
  むろん、金には匂いはない
  だが鼻に感じられる匂いがないというだけだ
  むろん、我々は花々を踏みつけて歩く
  だが、だが友が泣くのが目に浮かぶ!

Voir un ami pleurer1


Bien sûr, il y a nos défaites
Et puis la mort qui est tout au bout
Nos corps inclinent déjà la tête
Étonnés d’être encore debout
Bien sûr, les femmes infidèles
Et les oiseaux assassinés 注7
Bien sûr, nos cœurs perdent leurs ailes
Mais, mais voir un ami pleurer!

  むろん、我々が味わう敗北があり
  そしていちばん最後には死がある
  我々の身体はすでにこうべを傾がせている
  いまだに立っていることに驚きつつ
  むろん、不実な女たちがいる
  そして殺された鳥たちも
  むろん、我々の心は彼らの翼を見失う
  だが、だが友が泣くのが目に浮かぶ!

Voir un ami pleurer2


Bien sûr, ces villes épuisées
Par ces enfants de cinquante ans
Notre impuissance à les aider
Et nos amours qui ont mal aux dents
Bien sûr, le temps qui va trop vite
Ces métros remplis de noyés 注8
La vérité qui nous évite
Mais, mais voir un ami pleurer!

  むろん、50歳の子供たちによって
  疲弊させられたこれらの街がある
  我々の助力の無力さ
  そして歯の疼くような我々の愛情
  むろん、時はあまりにも速く過ぎゆく
  この地下鉄はあぶれた人々でいっぱいだ
  真実は我々から目を逸らせる
  だが、だが友が泣くのが目に浮かぶ!

Voir un ami pleurer5


Bien sûr, nos miroirs sont intègres
Ni le courage d’être juif
Ni l’élégance d’être nègre
On se croit mèche, on n’est que suif 注9
Et tous ces hommes qui sont nos frères
Tellement qu’on n’est plus étonné
Que, par amour, ils nous lacèrent
Mais, mais voir un ami pleurer!

  むろん、われわれの鏡は清明だ
  ユダヤ人であるための勇気も
  二グロであるための優雅さもなく
  我々は自分たちがろうそくの芯だと信じるが、蝋にすぎない
  そして我々の兄弟であるこれらの人々は皆
  これ以上驚くことはないが
  彼らは、愛によって、我々を結びつける
  だが、だが友が泣くのが目に浮かぶ!

Voir un ami pleurer3


[注]
1 les guerres d’Irlandeは、Le conflit nord-irlandais「北アイルランド問題」(英語ではThe Troubles)と呼ばれるものだが、北アイルランドnord-irlandaisの呼称に疑問を持つためにnordを外し、長年にわたり継続している紛争なので複数形にしているのであろう。
2 peuplade「(未開社会における)小部族」。古くは「(未開地への)移民、人の供給、人口増加」だが、「ある種の人々の集団」くらいの意味でとらえた。sans musiqueは、心を癒すものを持たぬという意味か。
3 Amérique「アメリカ大陸」「アメリカ合衆国」は「新世界」「自由」等を象徴しているのだろう。
4 l’argent n’a pas d’odeur「銭に匂いなし」→「不浄な金も金は金」
5 monter au nez「(からしなどが)鼻につんとくる」vous「あなた方の鼻に」ということだが、ここでは不特定な人、人間一般を指す。
6 voir un ami pleurer! 不定詞の文にはいくつかの用法があるが、感嘆詞がついており感嘆を示す。また、voirは「見える、想像する、気づく」などの意味合い。題名であり、歌詞のなかでももっとも重要な部分だが、自分なりに解釈した。邦題には、直訳して副題として加えた。
7 oiseauは、「鳥」とは訳したが、「人」を指す。
8 noyé「溺死者」だが、比喩的に用いられている。
9 mècheは、「ろうそくやランプの芯」。suif「獣脂、油脂」。すなわちchandelle de suif「獣脂ろうそく」の「芯」と「脂」のことで、真ん中に立って主導権を持つ立場と周辺部の受動的な立場とを喩えている。分かりやすいように「脂」を「蝋」とした。



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2014
12.05

ミアルカMiarka

Juliette Gréco Miarka


「ミアルカMiarka」は、1956年のジャン・ルノワールJean Renoir監督の映画「恋多き女Elena et les hommes」のテーマ曲としてルノワール監督自身が作詞し、ジョゼフ・コスマJoseph Kosmaが作曲しました。この映画は、19世紀末のパリを舞台に、イングリッド・バーグマンIngrid Bergmanの演じるポーランド貴族の無邪気な未亡人が、複数の男性と恋愛遊戯を繰り広げる姿を描いた恋愛喜劇です。
ジュリエット・グレコJuliette Grécoはジプシーの歌手ミアルカMiarkaの役で出演し、この歌を歌いました。



Miarka               ミアルカ
Juliette Gréco            ジュリエット・グレコ


Ô nuit, mon amie, je t’attends
Ô nuit, donne-moi un amant
Ô nuit, mêle-toi à ma chevelure
La la la...

  おお夜よ、わが友よ、おまえを待つ
  おお夜よ、わたしに恋人を与えよ
  おお夜よ、わたしの髪に紛れ込め
  ラララ…

Miarka2.jpg


Un amant qui moi seule aimera
Au matin, sans bruit, il partira
La la la...

  恋人は私だけを愛し
  朝になると、音も立てずに、去りゆくだろう
  ラララ…

Ô nuit, dans ton noir firmament
Ô nuit, le signe du croissant
Ô nuit, brillera dans ma chevelure
La la la...

  おお夜よ、おまえの漆黒の空の
  おお夜よ、三日月のしるしが
  おお夜よ、わたしの髪のなかに輝くだろう
  ラララ…

Miarka3.jpg


Un amant que je veux voir souffrir
Un amant que je ferai mourir
Hmm hmm hmm...

  傷つくのを見たい恋人
  わたしが死なせるだろう恋人
  フムフムフム…

Ô nuit, je te fais le serment
Ô nuit, d’oublier mon amant
Ô nuit, lorsque cessera ma brûlure
La la la...

  おお夜よ、おまえに誓う
  おお夜よ、わが恋人を忘れると
  おお夜よ、身を焦がす想いが冷めたときには
  ラララ…
Miarka1.jpg


D’oublier la chaleur du matin
D’oublier les cailloux du chemin
La la la...

  夜明けのほとぼりを忘れると
  道を妨げるものを忘れると
  ラララ…



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