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2014
10.04

恋の名残は?(残されし恋には)Que reste-t-il de nos amours ?

Charles Trenet Que reste-t-il de nos amours


シャルル・トレネCharles Trenetの曲で、もっとも世界的に歌われてきたのは、Que reste-t-il de nos amours ?ではないでしょうか。名曲中の名曲だと思います。この曲は1942年にトレネが作詞し、トレネがレオ・ショーリアックLéo Chauriacとともに作曲。1967年のフランソワ・トリュフォーFrançois Roland Truffautの映画「夜霧の恋人たちBaisers volés」の主題歌になりました。
原題を直訳すると「私たちの恋のなにが残っているのか?」となりますので、それを簡略化して「恋の名残は?」と名づけることにしました。「残されし恋には」というちょっと意味不明な既存の邦題は副題としました。



いろんな歌手のカヴァーがあり、シャンソン歌手でYouTubeで見られるものだけざっと挙げると、
レオ・フェレLéo Ferréリュシエンヌ・ボワイエLucienne Boyer パトリシア・カースPatricia Kaas ダリダDalidaサッシャ・ディステルSacha Distel ナナ・ムスクーリNana Mouskouriステーシー・ケントStacey Kentアンリ・サルヴァドールHenri Salvador & Rosa Passosパトリック・ブリュエルPatrick Bruel & Nolwenn Leroyフランソワーズ・アルディー&アラン・バシュングFrançoise Hardy & Alain Bashung
YouTube にはありませんが、ジャン・サブロンJean Sablon、ジュリエット・グレコJuliette Gréco, ザズZazも歌っています。

グロリア・リンGloria LynneがI wish you loveのタイトルで英語で歌ってヒットさせたのち、マンハッタン・トランスファーThe Manhattan Transferのジャニス・シーゲルJanis Siegelがカヴァー。ナット・キング・コールNat King Coleフランク・シナトラFrank Sinatraロッド・ステュアートRod Stewartナタリー・コールNatalie Coleなども歌い、ジャズ・ヴォーカルと思われるほどに定着しました。

マルレーネ・ディートリッヒMarlene Dietrich - I Wish You Love



Que reste-t-il de nos amours ?      恋の名残は?(残されし恋には)
Charles Trenet                 シャルル・トレネ


Ce soir, le vent qui frappe à ma porte
Me parle des amours mortes 注1
Devant le feu qui s'éteint
Ce soir, c'est une chanson d'automne
Dans la maison qui frissonne
Et je pense aux jours lointains

  今宵、戸を叩いた風が
  僕に過ぎし恋を語る
  消えゆく暖炉の火の前で
  今宵、秋の歌が
  寒気に震える家のなかで 聴こえてきて
  僕は遠い日々を想う

cheminee.jpg


{Refrain:}
Que reste-t-il de nos amours ? 注2
Que reste-t-il de ces beaux jours ?
Une photo, vieille photo de ma jeunesse
Que reste-t-il des billets doux,
Des mois d'avril, des rendez-vous ?
Un souvenir qui me poursuit sans cesse
Bonheur fané, cheveux au vent
Baisers volés, rêves mouvants 注3
Que reste-t-il de tout cela ?
Dites-le-moi
Un petit village, un vieux clocher
Un paysage si bien caché
Et dans un nuage, le cher visage de mon passé

  僕たちの恋のなにが残っているというのか?
  あの美しい日々のなにが残っているというのか?
  一枚の写真、青春時代の古びた写真
  何枚ものラブレターの、
  何度もの4月の月の、何回ものデートの、
  なにが残っているというのか?
  たえずつきまとうひとつの想い出
  色あせたしあわせ、風になびく髪
  奪った口づけ、とりとめのない夢
  そうしたもののなにが残っているというのか?
  教えてくれ
  小さな村、古い鐘楼
  人里離れた風景
  そして雲間に浮かぶのは、昔のいとしい面影

vieille photo1


Les mots, les mots tendres qu'on murmure
Les caresses les plus pures
Les serments au fond des bois
Les fleurs qu'on retrouve dans un livre 注4
Dont le parfum vous enivre
Se sont envolés, pourquoi ?

  ことば、ささやかれる愛のことば
  とてもひたすらな愛撫
  森の奥での愛の誓い
  本のなかに挟まれていた花
  その香りは心を酔わせるが
  すべて消え去ってしまった、なぜに?

village.jpg


{au Refrain}

[注]
1 parler de qc「…のことを話す」。前置詞deのあとの不定冠詞複数形のdes は省略されて、d’amours mortesとなるのが普通。
2 rester~de+n.「…のうちから残る」
3 volé「奪われた」であって「飛び去った」ではない。男性の側から言えば、「奪った」となるか。rêves mouvantsは、夢の内容が変化することを言っている。
4 本に挟まれた押し花。



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2014
10.03

恋は切なくEmportez mon amour

Lucienne Delyle Emportez mon amour


「恋は切なく」という邦題で呼ばれている曲があります。1953年にアンリ・コンテHenri Contetが作詞し、エミール・ステルンEmile Sternが作曲、リュシエンヌ・ドリールLucienne Delyleが歌ったEmportez mon amourです。原題の意味は、「恋を持っていって」で、恋が終わってしまった時、その名残を私に何も残さないでぜんぶ持っていってと歌います。未練がましい言葉よりもかえって破局の辛さがよく表れている歌詞だと思います。

リュシエンヌ・ドリールの歌がYouTubeになかったので、今回、自分で作成しました。



美輪明宏Akihiro Miwaも素晴らしいです。



Emportez mon amour             恋は切なく
Lucienne Delyle                リュシエンヌ・ドリール


Emportez mon amour
Emportez mes beaux jours
Brisez le reste
N´ayez pas de beau geste
Emportez mon bonheur
Et partez de bon cœur 注1
Prenez la peine 注2
De brûler nos "Je t´aime"
Ne laissez rien qui traîne
Emportez mon amour

  私の恋を持っていって
  私の楽しかった日々も持っていって
  残りも壊してしまって
  尤もらしいふりはしないで
  私のしあわせを持っていって
  そして潔く出ていって
  どうかお願い
  私たちの「愛の言葉」を燃やしてしまって
  後を引くものを何も残さないで
  私の恋を持っていって

Emportez ma joie
Et ce foulard de soie
Et cette bague au doigt
Prenez mille choses
Moi je vous propose
De ne laisser que moi

  私の喜びを持っていって
  そしてこの絹のスカーフも
  そしてこの指に嵌めた指輪も
  何もかも取って
  私はあなたに言いたいの
  この私だけしか残さないでと

Emportez mon amour2


Emportez ma vie brisée
Les soleils de mon passé
Et mes lendemains fanés
Mon chagrin
Mes deux mains

  私の壊れてしまった人生を持っていって
  かつて輝いていた太陽も
  そしてしぼんでしまった明日も
  私の嘆きも
  私の両の手も

Emportez mon amour
Emportez mes beaux jours
Tournez la page 注3
Effacez mon visage
Emportez mon bonheur
Et partez de bon cœur
Brûlez vous-même
Mon dernier "Je vous aime" 注4
Ne laissez rien qui traîne
Emportez mon amour
Emportez mes beaux jours

  私の恋を持っていって
  私の楽しかった日々も持っていって
  過去は忘れてやり直して
  私の面影を消して
  私のしあわせを持っていって
  そして潔く出ていって
  あなた自身で燃やして
  私の最後の「愛の言葉」を
  後を引くものを何も残さないで
  私の恋を持っていって
  私の楽しかった日々も

Emportez mon amour16


Et partez pour toujours

  そして永遠にさよならして

[注]
1 de bon cœur「快く、喜んで」
2 prendre la peine de+inf.「…する労をとる、わざわざ…する」
3 tourner la page「ページをめくる、(過去のことは忘れて)新しいことに移る」
4 1節目では、nos "Je t´aime"と、愛し合っていた頃の表現を示していたが、歌詞全体でvousと呼び、ここも"Je vous aime"と変え、別れる相手であることを表している。



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2014
10.02

凪L'embellie

Jean Ferrat Lembellie


ジャン・フェラJean Ferratの「ふるさとの山La montagne」を9月21日に取り上げましたが、今回は彼の「凪L'embellie」という美しい曲。1980年のアルバムFerrat 80に収録されています。

embellieという語は、「一時の晴れ間」「(暴風雨)の小やみ、凪」という意味で、繁忙な生活のなかで美しいものに心を向けたり過去を懐かしんだりする、短いひとときをフェラはこの言葉であらわしています。「美しくなった女」という邦題がつけられているのは、embellir「美しくする」という動詞の過去分詞の女性形と捉えてのことでしょうが、歌詞の内容とまったく合いません。でも「美しい時間」といったニュアンスも含めた題名だとは思います。また「夕なぎ」という邦題も正確ではなく、「凪」の一語にしたいと思います。



L'embellie                    凪
Jean Ferrat                   ジャン・フェラ


Ecris quelque chose de joli
Des vers peut-être ou de la prose
Un instant de rêve et de pause
Dans le tumulte de la vie
Ecris quelque chose de joli
Quelques mots de bleu et de rose
Un moment de métamorphose
Que tu nommerais l´embellie

  なにか素敵なことを書いてよ
  詩でもいいしあるいは散文でも
  人生の繁忙のなかの
  夢とやすらぎの瞬間
  なにか素敵なことを書いてよ
  青いろかバラいろの言葉を
  変容のひと時
  それを君は凪と名付けるだろう

Lembellie3.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

Verse un peu de joie dans nos cœurs
Avec des riens qui vous délivrent 注1
Un peu d´espoir et de douceur
On en a tant besoin pour vivre

  僕たちの心に少しばかりの喜びを注いでよ
  ひとの気持ちを解きほぐすような些細なことがらで
  少しばかりの希望と優しさ
  生きるためにそれらがとても必要だ

Ecris quelque chose de joli
L´odeur des lilas et des roses
Chante-nous la beauté des choses
Dans les yeux de l´homme ébloui 注2
Ecris quelque chose de joli
L´aube entre nos bras qui repose
La seconde où lèvres mi-closes
Le plaisir vient comme la pluie

  なにか素敵なことを書いてよ
  リラやバラの香り
  魅了された者の目に映る
  ものの美しさを僕たちに歌ってよ
  なにか素敵なことを書いてよ
  夜明けは僕たちの腕のあいだにとどまり
  唇をなかば閉じた瞬間
  喜びが雨のように降りそそぐ

Lembellie1.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

Ces mots à peine murmurés
Dans la tendresse qu´on devine
Baigné de musique angevine 注3
Le temps sur nous s´est refermé

  これらの言葉はほとんど囁かれない
  愛が感じとれた際には
  アンジューの音楽に浸りつ
  時は僕たちの上で再び閉ざされた

Je l´aurais voulu si joli
Ce poème en bleu et en rose
Cet instant de rêve et de pause
Dans le tumulte de la vie
Je l´aurais voulu si joli
Mon amour en qui tout repose
Et que nul ne puisse ni n´ose
Douter que tu es dans ma vie

  僕は望んだ 青いろとバラいろのこの詩が
  人生の繁忙のなかの
  夢と安らぎのこの瞬間が
  とても素敵であってほしいと
  僕は望んだ すべての拠り所である僕の恋人が
  とても素敵であってほしいと
  そして僕の人生に君がいることを
  誰も疑い得ず疑おうとなどしないようにと

Lembellie2.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

[注]
1 相手をtuと呼んでいる歌詞なので、このvousは「不特定な人」。
2 l´hommeは「人間一般」か、あるいは「男」すなわち自分のことで、その目に映っている「ものの美しさ」を相手(彼女)が二人のために歌うということか。
3 angevine「アンジェの、アンジュー地方の」。アンジェAngersはフランス西方のアンジュー地方Maine-et-Loireの都市。アンジューの音楽とは、ダンスのための民族音楽だろう。



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2014
10.01

千拍子のワルツLa valse à mille temps

Jacques Brel La valse à mille temps


ジャック・ブレルJacques Brelの「千拍子のワルツLa valse à mille temps」は、1959年の同名のアルバムに収録されています。のんびりと始まって、ちょうどラヴェルのボレロのように次第に高まって行く曲調で、クライマックスのまま、ぽしゃることなく終わるのがいいですね。でも、そうとう口が回る人でないと千拍子まではついて行けません。宝塚歌劇の公演の題目ともなった「華麗なる千拍子」という邦題が知られていますが、直訳の題名にいたしました。

12月6日(土)のプティ・コンセール《ブレル&グレコを歌う》で、私はこの曲を歌う予定で、ただいま特訓中です。trois cent trente-trois fois l'tempsが一番難しい。三百三十三回、いえ千回練習しなきゃ!私としては大挑戦なので、皆さまどうか応援ください。

若いブレルが踊っているカップルの傍らに座って歌っています。そして最後に、ブレル自身が曲作りに関して述べています。



アンドレ・クラヴォーAndré Claveauも歌っています。



ジャン・ポワレJean Poiretが作ったパロディー「千フランの牛La vache à mille francs」



La valse à mille temps                 千拍子のワルツ
Jacques Brel                       ジャック・ブレル


Au premier temps de la valse
Toute seule tu souris déjà
Au premier temps de la valse
Je suis seul, je t'aperçois
Et Paris qui bat la mesure 注1
Paris qui mesure notre émoi
Et Paris qui bat la mesure
Me murmure murmure tout bas

  ワルツの最初の一回目
  ひとりぼっちの君はもう微笑んでいる
  ワルツの最初の一回目
  僕はひとりだ、僕は君に気づく
  そして拍子をとるパリは
  僕たちの胸のときめきを察知したパリは
  拍子をとるパリは
  僕にささやくそっとささやく

valse3.jpg


{Refrain :}
Une valse à trois temps
Qui s'offre encore le temps 注2
Qui s'offre encore le temps
De s'offrir des détours
Du côté de l'amour
Comme c'est charmant
Une valse à quatre temps
C'est beaucoup moins dansant
C'est beaucoup moins dansant
Mais tout aussi charmant
Qu'une valse à trois temps
Une valse à quatre temps *
Une valse à vingt temps 注3
C'est beaucoup plus troublant
C'est beaucoup plus troublant
Mais beaucoup plus charmant
Qu'une valse à trois temps
Une valse à vingt temps
Une valse à cent temps
Une valse à cent ans
Une valse ça s'entend
A chaque carrefour
Dans Paris que l'amour
Rafraîchit au printemps**
Une valse à mille temps
Une valse à mille temps
Une valse a mis l'temps
De patienter vingt ans
Pour que tu aies vingt ans
Et pour que j'aie vingt ans
Une valse à mille temps
Une valse à mille temps
Une valse à mille temps
Offre seule aux amants
Trois cent trente-trois fois l'temps
De bâtir un roman***

  三拍子のワルツは
  まだ余裕がある
  まだ 恋のほうに
  回り道する
  余裕がある
  それはなんて素敵なんだろう
  四拍子のワルツは
  ずっと踊りにくい
  ずっと踊りにくい
  けれど 三拍子のワルツと
  まったく同じくらい素敵だ
  四拍子のワルツ
  二十拍子のワルツは
  はるかにもっと厄介だ
  はるかにもっと厄介だ
  けれどはるかにもっと素敵だ
  三拍子のワルツより
  二十拍子のワルツ
  百拍子のワルツ
  百年のワルツ
  春に恋が蘇った
  パリの
  どの街角でも
  聞こえるワルツ
  千拍子のワルツ
  千拍子のワルツ
  時間がかかるワルツ
  君が二十歳になるために
  そして僕が二十歳になるために
  二十年間耐えるように  
  千拍子のワルツ
  千拍子のワルツ
  千拍子のワルツは
  恋人たちにだけ与える
  ロマンスをつくる
  三百三十三回のチャンスを

valse4.jpg


Au deuxième temps de la valse
On est deux, tu es dans mes bras
Au deuxième temps de la valse
Nous comptons tous les deux un’, deux, trois,
Et Paris qui bat la mesure
Paris qui mesure notre émoi
Et Paris qui bat la mesure
Nous fredonne, fredonne déjà

  ワルツの二回目は
  僕たちは二人いっしょ、君は僕の腕のなか
  ワルツの二回目は
  僕たちはいっしょに数えよう、1、2、3、
  そして拍子をとるパリは
  僕たちの胸のときめきを察知するパリは
  拍子をとるパリは
  僕たちに口ずさむ、もう口ずさんでる

{Refrain }

Au troisième temps de la valse
Nous valsons enfin tous les trois
Au troisième temps de la valse
Il y a toi, y a l'amour et y a moi
Et Paris qui bat la mesure
Paris qui mesure notre émoi
Et Paris qui bat la mesure
Laisse enfin éclater sa joie.

  ワルツの三回目は
  とうとう僕たちは三人で踊る
  ワルツの三回目は
  君がいて、恋があり、そして僕がいる
  そして拍子をとるパリは
  僕たちの胸のときめきを察知するパリは
  拍子をとるパリは
  ついに喜びを爆発させる。

{Refrain }

Lalala la lalala

ラララ ラ ラララ

[注] アンドレ・クラヴォーは、ルフランの1回目は*マークまで、2回目は**まで、そして3回目だけ***まで全部歌っています。
1 battre la mesure「拍子をとる」
2 s'offrirは再帰的用法で「…を持つ」くらいの意味合い。
3 à vingt ansとしている歌詞もあるが、文脈からこちらを選んだ。



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