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2018
08.11

バラの記憶De mémoire de rose

Julos Beaucarne De mémoire de rose


ジュロ・ボーカルヌJulos Beaucarneの「バラの記憶De mémoire de rose」です。1974年のアルバム:Chandeleur septante cinqに収録されています。ボーカルヌは「私は弱かったJ'étais fragile」を先に取り上げています。
“de mémoire de rose”というフレーズは、フランスの著述家ベルナール・フォントネルBernard le Bouyer de Fontenelleの、多宇宙論の啓蒙書「世界の複数性についての対話Entretiens sur la pluralité des mondes」(1686年)の第5夜→Wikisource [132]にあります。
これは、フォントネルが、ある侯爵夫人に天文学などについて語り合うという筋立ての科学啓蒙書で、自分たちの惑星や太陽が宇宙から見るとほんのひとかけらでしかなく、天空は不変ではなく、太陽が消えたり、また新たな星が生まれたりすることもあることを、分かりやすいたとえを用いて説明します。ここでは、個々の人間を1日しか咲かないバラに、宇宙を庭師に例え、私たちが宇宙を永遠で不変のものと見ている視点を説明しています。逆に言うと、長い宇宙の歴史から見ると人の一生はほんの一瞬だということです。後年のドゥニ・ディドロDenis Diderotの「ダランベールの夢Le rêve d’Alembert」(1769年)にも同様のフレーズが見られます。
けれど、ボーカルヌはマダムにそして失恋した娘に何を言いたいのでしょう。現在の自分の視点が絶対的なものではないのだからそれから自由になれということでしょうか。あるいは、一瞬一瞬が永遠だと…。いえ、皆さんそれぞれでお考えください。



De mémoire de rose バラの記憶
Julos Beaucarne  ジュロ・ボーカルヌ


{Refrain:}
De mémoire de rose
On n'a vu mourir un jardinier
Si rien qu'une pause 注1
Ne peut vous suffire
Madame, laissez
Le temps s'étirer
Et sans le maudire, patientez,
Laissez-vous glisser dans le vent léger
Patience, patientez.

 バラの記憶には
 庭師が死んだことなど映りはしなかった
 ひと時の休止にすぎないものは
 あなたを苦しませることはできないのだから
 マダム、そのまま
 時が続いていくままになさい
 そして呪ったりしないで、じっと待つんだ、
 そよ風に身を委ね
 辛抱だ、じっと待つんだ。

rose21.jpg


Si l'amour s'envole
Ne t'en prends qu'à toi 注2
Tu as fui l'école
Pour le lit d'un roi
Si sa voile blanche
N'est plus que brouillard
Te pends pas à la branche
Dès qu'il fera noir
Te pends pas à la branche
Dès qu'il fera noir, car

 もしも恋が消え去ったら
 自分だけを責めるんじゃない
 君は学校を逃げ出して
 王様のベッドに向かった
 もしも王様の白いヴェールが
 霧にすぎなくとも
 日が暮れるやいなや
 枝に身を吊るすんじゃない
 日が暮れるやいなや
 枝に身を吊るすんじゃない、なぜなら

{au Refrain}
De mémoire de rose...
 
 バラの記憶には…

Garde tout au fond,
Tout au fond de toi
Un vide, un endroit
Derrière les fêtes
Où poser la tête
Dans le vent du soir
Bercer ces vieux rêves
Même s'il fait noir
Bercer ces vieux rêves
Même s'il fait noir, car

 保つんだ奥底に、
 君の奥底に
 一つの空間を、一つの場所を
 お祭り騒ぎの背後に
 そこで頭を休めるんだ
 夕べの風のなかで
 その古い夢どもをなだめるんだ
 日が暮れても
 その古い夢どもをなだめるんだ
 日が暮れても、なぜなら

julos_beaucarne172x171.jpg


{au Refrain}
De mémoire de rose...
 
 バラの記憶には…

[注]
1 si「…だから」
2 s'en prendre à「…を非難する、責める」



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2018
08.05

マルジョレーヌMarjolaine

Francis Lemarque L’air de Paris


今回は、フランシス・ルマルクFrancis Lemarqueの「マルジョレーヌMarjolaine」です。1957年に、先にご紹介した「パリの唄L’air de Paris」といっしょに収録されました。その5年前の1952年に作った「兵隊が戦争に行くときQuand un soldat」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-332.html は、戦争に行く兵隊のことを歌った曲でしたが、こちらは戦争から帰ってきた兵隊を歌っています。ドイツ語の「リリー・マルレーンLily Marlene」(1939年)と似た雰囲気の曲です。こちらは戦争に行っているあいだ恋人を思う内容です。
Marjolaineとはフランスの一般的な女性名ですが、17~18 世紀から存在する古いマーチ「ディジョン街道でSur la route de Dijon」に、兵隊たちが出会った女性の名前として出てきますので、ルマルクはそれを意識して用いたのかもしれません。あるいは(Lily) Marleneを置き換えたのかも。

Marjolaineはハーブのマジョラムのことでもあり、お菓子の名前にも用いられています。そう、NHKの朝の連続ドラマ「まれ」に登場した「マルジョレーヌMarjolaine」です。これ、すなわち「ガトー・マルジョレーヌGâteau Marjolaine」はもともと、フランスのRhône-Alpes地方圏のIsère県のヴィエンヌVienneの町にある「レストラン・ドゥ・ラ・ピラミッドRestaurant de la Pyamide」で作られていたデザート菓子。



ダリダDalidaも歌っています。聴くと歌いたくなりますね。




Marjolaine     マルジョレーヌ
Francis Lemarque フランシス・ルマルク


Un inconnu et sa guitare
Dans une rue pleine de brouillard
Chantait, chantait une chanson
Que répétaient deux autres compagnons

 見知らぬ人がギターを抱え
 霧の立ち込めた通りで
 歌っていた、歌を歌っていた
 二人の連れが繰り返していた

Marjolaine, toi si jolie
Marjolaine, le printemps fleurit
Marjolaine, j'étais soldat
Mais aujourd'hui
Je reviens près de toi

 マルジョレーヌ、君はとてもきれいだ
 マルジョレーヌ、春爛漫だ
 マルジョレーヌ、僕は兵隊だ
 だが今日
 僕は君のもとに帰る

Marjolaine1.jpg


Tu m'avais dit: "Je t'attendrai"
Je t'avais dit: "Je reviendrai"
J'étais parti encore enfant
Suis revenu un homme maintenant

 君は僕に言った「あなたを待つわ」と
 僕は君に言った「僕は帰って来るよ」と
 まだ子どものまま僕は出発した
 今はひとりの男として戻って来た

Marjolaine, toi si jolie
Marjolaine, je n'ai pas menti
Marjolaine, j'étais soldat
Mais aujourd'hui
Je reviens près de toi

 マルジョレーヌ、君はとてもきれいだ
 マルジョレーヌ、僕は嘘をつかなかった
 マルジョレーヌ、僕は兵隊だった
 だが今日
 僕は君のもとに帰る

J'étais parti pour dix années
Mais dix années ont tout changé
Rien n'est pareil et dans ta rue
A part le ciel, je n'ai rien reconnu

 僕は10年のあいだ不在だった
 だが10年の月日はすべてを変えた
 なにも元のままじゃないし君の通りじゃ
 空のほかは、なにも見覚えがない

Marjolaine2.jpg


Marjolaine, toi si jolie
Marjolaine, le printemps s'enfuit
Marjolaine, je sais trop bien
Qu'amour perdu
Plus jamais ne revient

 マルジョレーヌ、君はとてもきれいだ
 マルジョレーヌ、春は去った
 マルジョレーヌ、僕にはよく分かる
 恋は失われ
 もうけっして戻っては来ないと

Un inconnu et sa guitare
Ont disparu dans le brouillard
Et avec lui ses compagnons
Sont repartis, emportant leur chanson

 見知らぬ人がギターを抱え
 霧のなかに消えた
 そして彼とともに連れたちも
 戻って行った、歌をたずさえながら

Marjolaine, toi si jolie
Marjolaine, le printemps fleurit
Marjolaine, j'étais soldat

 マルジョレーヌ、君はとてもきれいだ
 マルジョレーヌ、春爛漫だ
 マルジョレーヌ、僕は兵隊だった

[注] 1人称で語られる部分と、3人称で語られる部分とがある。1人称の部分は歌っていた歌の歌詞だろう。



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2018
07.25

白い天国Le paradis blanc

Michel Berger Ça ne tient pas debout


ミッシェル・ベルジェMichel Bergerの「白い天国Le paradis blanc」は1990年のアルバム:Ça ne tient pas deboutに収録されている曲。
鯨(正確にはシャチ)の鳴き声で始まります。Le paradis blanc(白い天国)とは、白い大陸すなわち南極大陸のことのようで、汚れた文明社会を離れて清らかな別天地に向かうのです。それは「新生」なのですがparadis(天国)というからには、「死」という概念も重なっていて、その2年後1992年のベルジェの突然の死を予告していたように感じられます。



フランス・ギャルFrance Gall



ヴェロニク・サンソンVéronique Samson



Le paradis blanc 白い天国
Michel Berger  ミッシェル・ベルジェ


Il y a tant de vagues et de fumée
Qu'on arrive plus à distinguer
Le blanc du noir
Et l'énergie du désespoir
Le téléphone pourra sonner
Il n'y aura plus d'abonné 注1
Et plus d'idée
Que le silence pour respirer
Recommencer là où le monde a commencé 注2

 たくさんの波と煙が立ち
 もう見分けがつかないほどだ
 暗闇の白
 そして絶望のエネルギー
 電話が鳴るかもしれないが
 電話を取る人はいないだろう
 そして一息つくための静寂が
 世界が始まったところでまた始まるという
 ことしかもう考えられないだろう

Le paradis blanc1


Je m'en irai dormir dans le paradis blanc
Où les nuits sont si longues qu'on en oublie le temps
Tout seul avec le vent
Comme dans mes rêves d'enfant
Je m'en irai courir dans le paradis blanc
Loin des regards de haine
Et des combats de sang
Retrouver les baleines
Parler aux poissons d'argent
Comme, comme, comme avant 注3

 僕は白い天国に眠りに行く
 そこでは夜は時を忘れるほど長い
 風とともにたった一人で
 子どもの頃に夢に見たように
 僕は白い天国に走りに行く
 憎悪の視線からも
 そして血肉の争いからも遠く離れて
 鯨たちにまた会い
 銀色の魚たちに話しかけに
 まるで、まるで、まるで以前のように

Y a tant de vagues, et tant d'idées
Qu'on arrive plus à décider
Le faux du vrai
Et qui aimer ou condamner
Le jour où j'aurai tout donné
Que mes claviers seront usés
D'avoir osé
Toujours vouloir tout essayer
Et recommencer là où le monde a commencé

 たくさんの波、そしてたくさんの考えが起こり
 もう決められない
 真実の虚偽を
 そして愛してくれるあるいは非難する人
 僕がすべてを捧げ終える日
 僕のピアノが使いつぶされる日
 すべてをやってみようと
 あえて常に望んだせいで
 世界が始まったその場所でまたやり始めよう

Le paradis blanc5


Je m'en irai dormir dans le paradis blanc
Où les manchots s'amusent dès le soleil levant
Et jouent en nous montrant
Ce que c'est d'être vivant
Je m'en irai dormir dans le paradis blanc
Où l'air reste si pur
Qu'on se baigne dedans
A jouer avec le vent
Comme dans mes rêves d'enfant
Comme, comme, comme avant
Parler aux poissons d'argent
Et jouer avec le vent
Comme dans mes rêves d'enfant

Comme avant

 僕は白い天国に眠りに行く
 そこではペンギンたちが日の出とともに遊びまわり
 僕たちにいのちに溢れたものを
 見せつつ戯れる
 僕は白い天国に眠りに行く
 そこでは空気はいまだ澄み渡り
 僕たちはそこのなかにひたる
 風と戯れつ
 子どもの頃に夢に見たように
 まるで、まるで、まるで以前のように
 銀色の魚たちに話しかける
 まるで、まるで、まるで以前のように
 そして風と戯れる
 子どもの頃に夢に見たように
 まるで以前のように

 まるで以前のように

Le paradis blanc4


[注]
1 abonné「電話の加入者、ガス電気などの使用者など定期契約の顧客」。ミッシェル・ジョナスMichel Jonaszの「君を待っているJe voulais te dire que je t'attends」にも出てきた言葉。
2 où le monde a commencé「世界が始まったところ」という表現は、南極大陸の長い歴史を物語っている。カンブリア紀(約5億4200万年前~約4億8830万年前)、南極大陸は超大陸ゴンドワナの一部であった。現在の西南極に相当する地域は北半球に位置し,東南極に相当する地域は赤道上にあった。1億8000万年前頃からゴンドワナは徐々に分裂し、南極大陸の現在の形は約2500万年前に形成された。2億6000万年以上前の木の化石が発見されているが、南極に氷がなかった最後の時代は紀元前4000年頃とされる。また、グーグルアースで古代遺跡かと思われる最大直径170mほどの造形が発見されて話題になっている(下の画像)。
3 comme avantというフレーズは、バルバラBarbaraの「黒いワシL'aigle noir」のなかで繰り返されていた。ミッシェル・ベルジェはそれを意識しているように思える。


Nankyoku1.png



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2018
07.18

夜のメロディーLa nuit

Salvatore Adamo La nuit


サルヴァトーレ・アダモSalvatore Adamo自作の「夜のメロディーLa nuit」は、「夜」を、つれない恋人のように人格化していますが、もっと具体的なイメージは夜空に浮かぶ月が担っているように私には思えます。ともに女性名詞ですし、おのずと重なり合う語彙なのでしょう。 歌詞に「僕は気が狂う」という表現が繰り返されますが、西洋では月が人間を狂気に引き込むと考えられ、lunatique(英語:lunatic)とは気が狂っていることを表します。
私がこの曲に重ねてしまうのは平安末期の歌人、佐藤義清こと西行のこと、彼は「月」の語の入った歌を数多く詠んでいます。その「月」とは、彼の出家の原因とされる平安版マドンナ、待賢門院璋子(藤原璋子)のことだといわれます。でも、アダモにはまったく無縁の話ですし、この歌詞に描かれている「君」はなんだか、「不思議の国のアリス」に登場するチェシャ猫のようにも思えます。
1965年に「ろくでなしLe mauvais garçon」といっしょに収録されてリリースされました。原題はLa nuitで単に「夜」ですが、「夜のメロディー」という邦題で呼ばれます。



日本語でも歌っています。この歌詞では君は「暗闇」です。



La nuit      夜
Salvatore Adamo サルヴァトーレ・アダモ


Si je t'oublie pendant le jour
Je passe mes nuits à te maudire
Et quand la lune se retire
J'ai l'âme vide et le cœur lourd

 昼のあいだは君を忘れているとしても
 夜毎君を呪って過ごす
 そして月が消えるころ
 僕の魂はうつろで心は重い重い

La nuit tu m'apparais immense
Je tend les bras pour te saisir
Mais tu prends un malin plaisir
A te jouer de mes avances

 夜よ、君は僕に巨大な姿を現す
 僕は君をつかもうと両腕を伸ばす
 だが君は僕の接近を手玉に取って
 たちの悪い楽しみ方をする

La nuit1


La nuit
Je deviens fou
Je deviens fou

 夜よ
 僕は狂う
 僕は狂う

Et puis ton rire fend le noir
Et je ne sais plus où chercher
Quand tout se tait revient l'espoir
Et je me reprends à t'aimer

 それから君の笑いは闇を切り裂き
 僕はもうどこを探せばいいのか分からない
 すべてが静まると希望が戻り
 僕はまた君を愛しはじめる

La nuit3


Tantôt tu me reviens fugace
Et tu m'appelles pour me narguer
Mais chaque fois mon sang se glace
Ton rire vient tout effacer

 つかの間僕のところに戻って来るやいなや
 鼻先で嘲笑おうと僕を呼ぶ
 だがその都度僕の血は凍りつき
 君の笑いがすべてを消し去る

La nuit
Je deviens fou
Je deviens fou

 夜よ
 僕は狂う
 僕は狂う

Le jour dissipe ton image
Et tu repars, je ne sais où
Vers celui qui te tient en cage
Celui qui va me rendre fou

 昼のあいだ君の面影は消え
 君は去る、どこだか知らないが
 君を囲うやつのところへ
 そいつは僕を狂わせるんだ

La nuit2


La nuit
Je deviens fou
Je deviens fou fou fou

 夜よ
 僕は狂う
 僕は狂う 狂う 狂う



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2018
07.07

僕の上で踊れDansez sur moi

Claude Nougaro Toulouse


今回はクロード・ヌガロClaude Nougaro の「僕の上で踊れDansez sur moi 」、ヌガロの代表作「トゥールーズToulouse」と同じアルバム、1967 年の「オー・トゥールーズÔ Toulouse」に収録されています。
先日の歌会で仲間が歌いました。女性だったので、「私の上で踊って」なんてちょっとエロティックなタイトルだと感じてしまいましたが、訳してみると、ミシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「ラーズ家の舞踏会Le bal des Laze」とちょっと近い恨み節で、恋人とその相手に、「僕を踏みつけて踊れ」と言っている訳でした。
すみません。大事なことが抜けていました。この曲の原曲はジャズのGirl Talk:映画「ハーロウHarlow」の主題歌です。1930年代のアイドル女優ジーン・ハーロウJean Harlowの生涯を描いた映画で、歌詞は、女性の日常的なおしゃべりがテーマ。1965年。作詞:ボビー・トゥループBobby Troup、作曲:ニール・ヘフティNeal Hefti) Bridget Maynes。

ボビー・トゥループの奥さんのジュリー・ロンドンが歌っています。動画の上方のタイトルをクリックしてYouTubeでご覧ください。



オスカー・ピーターソンOscar Petersonの演奏でも知られています。



ヌガロはまったく違う歌にしました。



Dansez sur moi  僕の上で踊れ
Claude Nougaro  クロード・ヌガロ


Dansez sur moi dansez sur moi
Le soir de vos fiançailles
Dansez dessus mes vers luisants
Comme un parquet de Versailles
Embrassez-vous, enlacez-vous
Ma voix vous montre la voie
La voie lactée, la voie clarté
Où les pas ne pèsent pas
Dansez sur moi
Dansez sur moi
Dansez sur moi

 僕の上で踊れ 僕の上で踊れ
 君たちの婚約の夕べに
 僕の輝かしい詩のもとで踊れ
 ヴェルサイユの寄せ木細工の床のように
 抱き合え、絡み合え
 僕の声は君たちに道を示す
 ミルキー・ウェイを、光の道を
 そこでは、足取りは重さを持たない
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ

Claude Nougaro2


Dansez sur moi dansez sur moi
Qui tourne comme un astre
Etrennez-vous, étreignez-vous 注1
Pour que vos cœurs s'encastrent
Tel un tapis, tapis volant
Je me tapis sous vos pieds
C'est pour vous tous que sur mes doigts
La nuit je compte mes pieds
Dansez sur moi
Dansez sur moi
Dansez sur moi

 僕の上で踊れ 僕の上で踊れ
 天体のように回転する僕の上で
 デヴューしろ、抱きしめ合え
 君たちの心が融けあうように
 絨毯のように、空飛ぶ絨毯のように
 僕は君たちの足の下に身を潜める
 すべて君たちのためだ
 僕が指折って夜に自分の足を数えるのは
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ

Claude Nougaro1


Dansez sur moi dansez sur moi
Le soir de mes funérailles
Que la vie soit feu d'artifice 注2
Et la mort un feu de paille
Un chant de cygne s'est éteint
Mais un autre a cassé l'œuf
Sous un saphir en vrai saphir
Miroite mon sillon neuf
Dansez sur moi
Dansez sur moi
Dansez sur moi

 僕の上で踊れ 僕の上で踊れ
 僕の葬いの夕べに
 生は花火のようであれ
 そして死はつかの間の炎であれ
 白鳥の歌は消えた
 だが別の男が卵をつぶした
 碧天のもと、まぎれもない碧みのなか
 僕のあらたな皺が光る
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ
 僕の上で踊れ

[注] 
1 etrennerは「初めて使う、下ろす」の意味だが意訳した。s'étreigner「抱きしめ合う」と語呂を合わせている。
2 feu d'artifice「花火」は「華やかなもの、きらびやかなもの」の例えにも用いられる。次行のfeu de pailleは直訳すると「藁の炎」だが「つかの間の輝き(情熱)」の意味に用いられる。




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2018
07.01

パラディウムPalladium

Brigitte Palladium


以前、「バテ・ヴーBattez-vous」をご紹介したブリジットBrigitteというデュオが作詞・作曲し歌っている「パラディウムPalladium」(2017年)は、失恋した友だちを慰める内容の曲で、ジュリアン・クレールJulien Clercの「何でもないさCe n'est rien」の女性版といったところ。また失恋して友だちのところに戻っていく立場の曲としては、アニー・フィリップAnnie Philippe「友だち、仲間(若草の恋)Mes amis, mes copains」がありましたね。
タイトルのPalladium「パラディウム」はもともとは、ギリシア神話やローマ神話において、都市の安全を守るとされた非常に古い像のこと。原子番号46の元素名ともされています。元素記号は Pdで、白金族元素の1つで貴金属にも分類されます。昨今はフランスの靴のブランド名にもなっていて、ネットで画像検索すると靴がいっぱい出てきます。でもこの曲ではディスコの名前のようで、パリにはBus Palladiumというディスコがあります。



Palladium パラディウム
Brigitte  ブリジット


T'es belle même quand tu pleures
T'as l'spleen élégant le blues enchanteur
Il devait être aveugle et sourd
Pour être allé faire un tour

 あなたは泣いていてもきれいよ
 あなたにはエレガントな憂鬱さと魅力的なブルースがある
 彼は目も見えず耳も聞こえなかったに違いない
 そっぽ向いて行っちゃうなんて

C'est pas la peine de faire semblant
Je sais qu'on n'est pas des géants
Viens on pleure on piss'ra moins 注1

 見栄を張ることないわ
 私たちは超人じゃない
 ほら泣いたらおしっこが減るよ

{Refrain :}
Comme toujours ça passera
Ça va ça vient ça s'en va
Dans deux ans on en rira toi et moi
Viens j't'emmène au Palladium
On boira du rock'n'roll 注2
Sur des vieux hits à la gomme 注3

 いつだって過ぎていくことなのよ
 行きつ戻りつして行ってしまうわ
 2年も経ちゃあなたと私は笑える話よ
 さぁパラディウムに連れてったげる
 ダサい懐メロに乗って
 ロックンロールを呑むのよ

Palladium1.jpg


Si c'est la mer à boire 注4
Le grand fiasco
Le Chaos et son cafard
Je t'en ferai des calembours
Et des comptines pour l'histoire 注5

 それが海を飲むみたいに難しくても
 大失敗を
 混沌と憂鬱を
 私はあなたのために冗談に
 作り話のはやし歌にしちゃうわ

Tomber de Charybde en Scylla 注6
Si tu chiales
Je coule avec toi
Viens on danse
Ça s'verra moins 注7

 一難去ってまた一難で
 あなたが泣いたなら
 私はあなたといっしょに涙を漏らすわ
 踊りに行きましょう
 あまり気にならなくなるわ

{Refrain}

Flamme éternelle 注8
Pluie violette
Un gros taxi jaune à Vancouver
Des Amoureux solitaires
L'oiseau noir
La ritournelle
Un hôtel bleu face amour, face amère

 エテルネル・フラム
 パープル・レイン
 黄色い大きいタクシー ヴァンクーヴァー
 孤独な恋人たち
 ブラックバード
 繰り言
 ブルー・ホテル 愛の顔、苦い顔

Palladium3.jpg


S'il faut j'lui casse la gueule 注9
J'lui règle son compte 注10
Il finira tout seul
Ça n'servirait peut-être à rien
Et ça nous f'rait p't'êt' du bien
C'est pas la peine d'être exemplaire 注11
Je sais qu'on s'ra pas les dernières 注12
Viens on chante on l'aim'ra moins

 必要なら私、彼をやっつけるわ
 懲らしめるわ
 彼は勝手に果てる
 それはたぶんなんにもならないけど
 私たちにはたぶんいいことよ
 立派である必要はないわ
 私たちは最悪じゃないわよ
 さあ歌ったら彼への気持ちも薄れるわ

{Refrain}

Palladium2.jpg


[注] 成句的な言い回しが多くて結構難しいがとりあえず見切り発車。
1 on pleure on pissera moins「泣いたらおしっこが減る」小便になるはずの水分が涙になる。ということで、泣いている子どもを軽くいなす表現。
2 rock'n'roll「ロックンロール」をon the rocks「オン・ザ・ロックにひっかけてboire「呑む」というのか?結局は酒を飲みながら踊るということだろう。boireを「享受する」という意味合いで用いているというご意見もいただいたが、先述の駄洒落的な解釈を残したい。
3 à la gomme「つまらない」
4 Ce n'est pas la mer à boire「大して難しいことではない」という慣用句を肯定形にしているので、逆に困難なことを言う。
5 comptine子どもの遊びで鬼などを決める時に歌う「はやし歌」
6 Charybde「カリュブディス」はイタリアのメッシナ海峡の怪物でそれを避けた船が別の岩礁の怪物Scylla「スキュラ」の餌食になるという伝説から。tomber de Charybde en Scyllaは「一難去ってまた一難、泣き面に蜂」といった意味。
7 se voirは受動態的な意味で「見られる、認められる、目立つ」。Ça se verra moins「あまり目立たなくなるだろう」
8 この節は、この曲をレパートリーとしているデュオ:Com'Ci Com 'Çaのメンバーに指摘していただき。曲名の羅列であることが判明した。
Flamme éternelle=Eternal Flame(The Bangles)
Pluie violette=Purple Rain (Prince)
Un gros taxi Jaune=Big Yellow Taxi (Joni Michell)
Vancouver(Véronique Sanson)
Amoureux solitaires(Lio)
L’oiseau noir=Blackbird(The Beatles)
La ritournelle(Sébastien Tellier)
Un hôtel bleu=Blue Hôtel(Chris Isack)
Face amour face amère(Daniel Balavoine)
9 casser la gueule「やっつける」
10 règle son compte「懲らしめる」
11 Ce n‘est pas la peine de inf.「…するには及ばない」
12 dernièr(e) は名詞として、順位的に「最後の人(物)」あるいは質的に「最下等の人(物)」の意味。



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2018
06.26

小さな靴屋さんLe petit cordonnier

Francis Lemarque Le petit cordonnier


今回は、前回の「カエル」と同じくフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueが作り歌ったメルヘンティックな曲で、「小さな靴屋さんLe petit cordonnier」(1953年)です。歌詞内容は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンHans Christian Andersen作の童話「赤い靴De røde Sko」を元にしているようで、靴を履いたために踊り続けることになったお話。
ちなみに、アンデルセンの父親は貧しい靴屋でした。アンデルセンの異腹の姉 Karen Marie Andersenがこの童話の主人公カーレンKarenの名前の由来で、話自体もアンデルセンの幼少期の出来事:靴屋の父が姉のために丹精込めて作ったダンスシューズ(バレーシューズ)に対して、その姉が言った一言で父が怒り靴を切り裂いたという話がベースになっているとか。
「小さな靴屋さん」というとお店が小さいみたいですが、歌詞では靴屋自身が小柄だということで、そのために相手の美女にバカにされます。アンデルセンは醜男で何度も失恋したそうですが、ルマルクはその意味でもアンデルセンを靴屋のモデルにしたのかもしれませんね。童話ではカーレンが足首を切断するという悲惨な結末ですが、この曲では最後に美女が靴屋の望みを受け入れてめでたしめでたしです。



イヴェット・ジローYvette Giraudはこの曲も歌っています。



Le petit cordonnier 小さな靴屋さん
Francis Lemarque  フランシス・ルマルク


Un petit cordonnier qui voulait aller danser  注1
Avait fabriqué de petits souliers
Une belle est entrée qui voulait les acheter
Mais le cordonnier lui a déclaré :

 小さな靴屋さんがダンスに行きたくて
 小さな靴を作ったよ
 ひとりの美人さんが入ってきてそれを買いたいと言った
 すると靴屋は彼女にはっきり言ったよ

"Ils seront à vous sans qu'ils vous coûtent un sou
Mais il vous faudra danser avec moi" (x2)

 「お代は払わないでもこの靴はあなたのもの
 でもあなたは僕とダンスしなきゃならないんだ」

red shoes2


{Refrain:}
Petit cordonnier t'es bête, bête
Qu'est-ce que t'as donc dans la tête, tête ?
Crois-tu que mon cœur s'achète, chète
Avec une paire de souliers ?

 小さな靴屋さんあんたはバカよ、バカよ
 いったい何を考えてるの、その頭で、頭で?
 思っているの、私の心が買えると、買えると
 靴一足で?

Mais la belle accepta, elle emporta sous son bras
Les petits souliers pour aller danser
L'cordonnier tout réjoui a mis ses plus beaux habits
Et s'est pomponné pour la retrouver

 でも美人さんは承諾した、ダンスに行くために
 彼女は腕に小さな靴をかかえた
 大喜びの靴屋は一番きれいな服を着て
 着飾った 彼女にまた会うために

Mais hélas quand il voulut la faire danser
Elle lui rit au nez d'un p'tit air futé. (x2)

 だけど彼女にダンスしてもらおうとすると
 女はちょっと小ざかしい様子で鼻先で笑う

{Refrain}

Mais à peine la belle avait-elle fait trois pas
Que ses p'tits souliers furent ensorcelés
Elle se mit à tourner comme une toupie déréglée
Et les musiciens n'y comprenaient rien

 だけど美人さんが3歩踏み出すやいなや
 靴は魔法にかけられて
 彼女は狂った独楽のように回り始め
 ミュージシャンたちにはさっぱり訳が分からなかった

red shoes1


Elle tourna, tourna jusqu'au petit matin
Et toute épuisée se mit à pleurer (x2)

 彼女は回った、回った夜明けまで
 そしてすっかりくたびれて泣き始めた

Petit cordonnier arrête, rête
Tu me fais tourner la tête, tête
Tu ne dois pas être bête, bête
Pour m'avoir ensorcelée

 小さな靴屋さんやめて、やめて
 あんたはくらくらさせる私の頭を、頭を
 あんたはバカなはずがないわ
 私を魔法にかけたんだから

Petit cordonnier arrête, rête
Que ta volonté soit faite, faite
Toute ma vie le cœur en fête, fête
Dans tes bras je vais danser
Gentil petit cordonnier

 小さな靴屋さんやめて、やめて
 あんたの思い通りになるわ、なるわ
 一生のあいだ心うきうき、うきうき
 あなたの腕のなかで私はダンスするわ
 優しい小さな靴屋さん


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2018
06.15

カエルLa grenouille

Francis Lemarque La grenouille


「カエルLa grenouille」というメルヘンティックな曲は、「兵隊が戦争に行くときQuand un soldat」や「ア・パリÀ Paris」を作詞・作曲したフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueが1955年に作詞・作曲しました。
「三つの願いを叶えてもらう」という設定はグリム童話の「三つの願い」を思わせますが、これは、貧乏な人が神さまを家に泊めてもてなし、お礼として三つの願いを叶えてもらい幸せになった。それを知った金持ちは自分も神さまに三つの願いを叶えてもらったが、欲張ったために願い方を失敗してたいへんな目にあったというお話。また、グリム童話には「かえるの王様」という変身譚があります。王子がカエルに変身させられていて、王女がそのカエルを壁に叩きつけたことで人間に戻り、二人は幸せになったというお話。
この歌は、この二つのグリム童話を合体したような内容です。男の子が捕まえたカエルを逃がしてあげて、三つの願いを叶えてもらいます。二つはお金と権力。それでも幸せにならない彼は三つ目の願いとして「愛」を望んだところ、カエルが美しい娘に変身して恋人になったというお話。カエルgrenouilleは女性名詞なので女性にしたのでしょう。でも人間の娘がカエルに変身させられていたのが人間にカエるのではなく、カエルは自身の姿をカエることで彼の願いを叶えたわけです。めでたしめでたし!
なお、私が時々参照するネット上の隠語辞書Bobによると、カエルgrenouilleは娼婦を意味する隠語でもあります。「猫の歌Chanson du chat」と同様、エリック・サティErik Satieの歌曲集「潜水人形Ludions」に入っている「アメリカの蛙La grenouille américaine」に描かれているカエルはそのようです。蛇足でした…



イヴェット・ジローYvette Giraudの歌でも知られています。



La grenouille    カエル
Francis Lemarque フランシス・ルマルク


Un garçon part en vadrouille
Au bord d'un étang
Il attrape une grenouille
Qui dit en tremblant :
"Laisse-moi m'en aller
Et je te promets
De réaliser
Trois de tes souhaits"

 ある男の子が池のほとりに
 散歩に行った
 彼は一匹のカエルをつかまえた
 するとカエルは震えながら言った
 「私を逃がして
 そうしたらあなたに約束するわ
 あなたの願いを
 三つ叶えるって」

La grenouille1


"Fais un vœu, mon bonhomme
Car je peux, mon bonhomme
Si tu veux, mon bonhomme
Te donner le bonheur"

 「ひとつ願いごとをなさい、あなた
 だってわたしはね、あなた
 あなたが望むなら、あなた
 しあわせをあげることができるのよ」

Tout surpris par ce langage
Il lui dit : "Je veux
Beaucoup d'or dans mes bagages
Des habits soyeux."
Mais au bout d'un mois
Il revint la voir
Et lui demanda :
"Donne-moi la gloire."

 この言葉にとっても驚いて
 彼はカエルに言った「僕は欲しいな
 この荷物にたくさんの金を
 たくさんの絹の服を。」
 だがひと月後
 彼はカエルにまた会いに行った
 そして頼んだ
 「栄光を与えておくれ。」と

"Fais un vœu, mon bonhomme
Car je peux, mon bonhomme
Si tu veux, mon bonhomme
Te donner le bonheur"

 「ひとつ願いごとをなさい、あなた
 だってわたしはね、あなた
 あなたが望むなら、あなた
 しあわせをあげることができるのよ」

La grenouille2


De tous les puissants sur Terre
Il devint le roi
Mais dans son cœur solitaire
Y avait pas de joie
Il revint un jour
Triste et malheureux
"Donne-moi l'amour
C'est mon dernier vœu."

 地上を制する諸力のすべてで
 彼は王になった
 だが孤独な心のなかには
 喜びはなかった
 彼はある日またやって来た
 悲しくて不幸な様子で
 「愛を与えておくれ
 僕の最後の願いだ。」

"Ce vœu-là, mon bonhomme
Tu l'auras, mon bonhomme
Et cela, mon bonhomme
Sera le vrai bonheur"

 「その願い、あなた
 叶えてあげるわ、あなた
 それはね、あなた
 本当の幸せになるわ」

Poussant une plainte étrange
La grenouille alors
Devant lui soudain se change
En fille aux cheveux d'or
La main dans la main
Ils s'en sont allés
Et sur leur chemin
Les oiseaux soufflaient :

 奇妙なうめき声を上げて
 カエルは
 彼の前で突然に変身した
 金色の髪の娘に
 手に手を取って
 彼らは行った
 彼らの行く道には
 小鳥たちがさえずっていた

La grenouille3


"Sois heureux, mon bonhomme
Car ton vœu, mon bonhomme
Pour toujours, mon bonhomme
T'a donné le bonheur"

 「幸せになってよ、あなた
 だってあなたの願いはね、あなた
 いつまでも、あなた
 あなたに幸せを与えてくれるわ。」


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2018
06.03

なおも君に愛をJ'te l'dis quand même

Patrick Bruel Jte ldis quand même


今回はパトリック・ブリュエルPatrick Bruelの「なおも君に愛をJ'te l'dis quand même」です。ブリュエル自身の作詞・作曲で、1989年のアルバム:Alors regardeに収録されています。タイトルを直訳すると「それでも僕は君にそれを言う」ですが、「それ」とはJe t’aimeという言葉のことです。今までも「それ」を言い過ぎたけれど、別れたのちも「それ」を言い続けるよ、と。邦題は新たにつけました。



イスラエル系のシンガー・ソングライターのアミールAmir Haddadがこの曲をカヴァーしています。これは、ブリュエルといっしょにステージで歌っている動画です。



J'te l'dis quand même なおも君に愛を
Patrick Bruel      パトリック・ブリュエル


On aurait pu se dire tout ça
Ailleurs qu'au café d'en bas 注1
Que t'allais p't être partir
Et p't être même pas revenir
Mais en tout cas, ce qui est sûr
C'est qu'on pouvait en rire

 僕たちはそうしたことをすべて話し合うこともできた
 君がたぶん去ることになり
 そしてたぶん戻って来ることもなくなるだろう
 下のカフェ以外のところでね
 だがいずれにせよ、確かなのは
 笑ってすませられたということだ

Alors on va s'quitter comme ça
Comme des cons devant l'café d'en bas
Comme dans une série B 注2
On est tous les deux mauvais
On s'est moqué tellement d'fois
Des gens qui faisaient ça 注3

 僕たちはこうして別れようとしている
 下のカフェの前にいるバカなやつらのように
 B級映画に見るように
 僕たちはふたりとも愚か者だ
 こんな風に破局を迎えた人たちを
 僕たちは何度もバカにしてたのに

Patrick Bruel4


Mais j'trouve pas d'refrain à notre histoire
Tous les mots qui m'viennent sont dérisoires
J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 だが僕たちの恋物語にリフレインはない
 浮かんでくる文句はすべて取るに足りないものだ
 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

J'voulais quand même te dire merci
Pour tout le mal qu'on s'est pas dit 注4
Certains rigolent déjà
J'm'en fous, j'les aimais pas
On avait l'air trop bien
Y en a qui n'supportent pas

 それでもなお君にありがとうと言いたい
 僕たちが何も悪い言葉をぶつけ合うことがなかったことを
 あるやつらはもうせせら笑っている
 僕は気にしない、そんなやつらは嫌いだ
 僕たちはあまりにもいい感じだった
 それが鼻持ちならないってやつらがいたのさ

Patrick Bruel3


Mais j'trouve pas d'refrain à notre histoire
Tous les mots qui m'viennent sont dérisoires
J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 だが僕たちの恋物語にリフレインはない
 僕に浮かんでくる文句はすべて取るに足りないものだ
 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

J'sais bien que j'l'ai trop dit
Mais j'te l'dis quand même, je t'aime

 僕はあまりにもこの言葉を言い過ぎたことは分かっている
 それでもなおこの言葉を君に言いたい、ジュテーム

Je t'aime

 ジュテーム

[注]
1 d'en bas「階下の」。上の階のアパルトマンに住んでいるということか。
2 (film de) série B「B級(低予算)映画」
3 この行は意訳した。
4 この行も意訳した。
5 j'l'ai trop ditと次行のj'te l'disのleは、冒頭の解説に書いたように、je t'aimeという言葉。




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2018
05.20

悲しみよさようならAdieu tristesse

John William Adieu tristesse


1959年の映画「黒いオルフェOrfeu negro」には、先にご紹介したダリダDalidaが歌った「オルフェの歌La chanson d'Orphée」と同様、フランス語版を多くの歌手が歌っている曲がもうひとつあります。「フェリシダードA Felicidade」(作曲:アントニオ・カルロス・ジョビンAntônio Carlos Jobim、作詞(スペイン語):ヴィニシウス・ド・モラエスVinicius de Moraes)です。フランス語版のタイトルは「悲しみよさようならAdieu tristesse」です。YouTubeでは、グロリア・ラッソGloria Lassoティノ・ロッシTino Rossiイヴェット・ジローYvette Giraudイザベル・オーブレIsabelle Aubretが聴けますが、映画の主人公と似た、黒人系の歌手ジョン・ウィリアムJohn William(1922-2011)を選ぶことにいたしました。ギタリストのジョン・ウィリアムズJohn Williamsではありません。彼は、ゴスペルや黒人霊歌をフランスで初めて紹介した歌手として知られます。第2次大戦中はレジスタンス運動に身を投じ、1950年代から70年代中心にかけて歌手として活動し、350曲以上録音し、2005年にはレジョン・ドヌール勲章を授与されました。

映画のなかのアゴスティーニョ・ドス・サントスAgostinho dos Santosの歌。スペイン語




ジョン・ウィリアム



Adieu tristesse 悲しみよさようなら
John William   ジョン・ウィリアム


Tristesse, adieu tristesse un soir de carnaval
Oui mais le bonheur n'est qu'une larme
Qui tremble sur le bord de chaque fleur
Brillant dans l'ombre, à la fin elle tombe
Ce sont les premiers pleurs de notre cœur

 悲しみよ、悲しみよさようなら カーニヴァルの夜に
 ああ、だが幸せはひとつぶの涙にすぎない
 その涙は花の縁で震え、
 陰できらめきつ、ついには落ちる
 それは僕たちの心が初めて流す涙だ

Adieu tristesse1


Le bonheur du pauvre est vraiment dans l'ivresse
Que va lui donner le carnaval
Le pauvre travaille sans cesse, sans cesse,
Pour oublier sa misère, au milieu de la lumière
Il est comme un prince à l'allure fière
Mais son bonheur finit après la nuit

 貧しい者の幸せはまさしくカーニヴァルがもたらす
 酩酊のなかにある
 貧しい者は休みなく、休みなく働く、
 わが身の惨めさを忘れるために、光のただなかで
 彼は威厳ある王子のようだ
 だが彼の幸せは夜が過ぎると終わる

Adieu tristesse2


Tristesse, adieu tristesse un soir de carnaval
On doit profiter de sa jeunesse
Pour rire et pour s'aimer tout simplement
Il faut bien vivre avant que disparaisse
L'envie de s'amuser quand il est temps
L'envie de s'amuser quand il est temps
Tristesse, adieu tristesse...

 悲しみよ、悲しみよさようなら カーニヴァルの夜に
 自分の青春を役立てねば
 ただ笑い愛し合うために
 時が来て楽しみたい欲求が
 時が来て楽しみたい欲求が
 費えるまでは生きるんだ
 悲しみよさようなら…



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