
ダニエル・ヴィダルDanièleの「あなたを愛す人を愛して(天使のらくがき)Aime ceux qui t'aiment」の歌詞の冒頭の訳です。
ウクライナ平原では 家々の灰色の壁に 人々は自ら記す
こんな風な言葉で:
「ひとたび友として この扉をくぐった方は お望みならいつでも また戻っていらっしゃい」と
このような心優しいウクライナの人々を遠くから応援したいです。
朝日新聞の「天声人語」にボリス・ヴィアンBoris Vianの「脱走兵Le déserteur」についてこのように書かれていました。

ウクライナの人々が音楽の力を信じ、街頭でピアノを弾いたり歌ったりしている様子が、YouTubeなどで見ることができます、そこで思いつきました。私が訳したシャンソンのなかで、反戦歌および兵士やパルチザンなどを取り上げた曲をリストアップしてご紹介しようと。まずは20曲からスタートし、あとで気が付いた曲を一つずつ加えています。
リシャール・アントニーRichard Anthony「わが心のアランフェスAranjuez, mon amour」
ダニエル・ギシャールDaniel Guichard「アンナに捧げる歌Chanson pour Anna」
ナナ・ムスクーリNana Mouskouri「太陽とそよ風の下でDans le soleil et dans le vent」
ユーグ・オーフレイHugues Aufray「風に吹かれてDans le souffle du vent」
リシャール・アントニーRichard Anthony「風に吹かれてEcoute dans le vent」
ジョルジュ・ムスタキGeorges Moustaki「ヒロシマHiroshima」
ジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassens「幸せな愛はないIl n'y a pas d'amour heureux」
サルヴァトーレ・アダモSalvatore Adamo「インシャラーInch´Allah」
アンナ・プルクナルAnna Prucnal「今夜は帰れないJe ne pourrai pas venir chez toi ce soir」
レオ・フェレLéo Ferré「赤いポスターL'affiche rouge」
ダミアDamia「イゼールの夜哨La garde de nuit à l'Yser」
シャルル・アズナヴールCharles Aznavour「愛と戦争L'amour et la guerre」
アンナ・マルリーAnna Marly「パルチザンの歌Le chant des partisans」
ボリス・ヴィアンBoris Vian「脱走兵Le déserteur」
イヴ・モンタンYves Montand「谷間に眠る人Le dormeur du val」
ピエール・ベンスーザンPierre Bensusan「ルノー王Le roi Renaud」
セルジュ・レジアーニSerge Reggiani「狼たちがパリに入って来たLes loups sont entrés dans Paris」
ディディエ・バルブリヴィアンDidier Barbelivien&アナイスAnaïs「ヴァンデのカップルLes mariés de Vendée」
コラ・ヴォケールCora Vaucaire「桜んぼの実る頃Le temps des cerises」
ジョルジュ・ムスタキGeorges Moustaki「傷心L'homme au cœur blessé」
マリー・デュバMarie Dubas「私の兵隊さんMon légionnaire」
ジャン・フェラJean Ferrat「夜と霧Nuit et brouillard」
フランシス・ルマルクFrancis Lemarque「花はどこへ行った?Où vont les fleurs?」
イヴ・デュテイユYves Duteilの「世界中の子供たちのためにPour les enfants du monde entier」
ジャック・ブレルJacques Brel「愛しかない時Quand on n'a que l'amour」
フランシス・ルマルクFrancis Lemarque「兵隊が戦争に行くときQuand un soldat」
ダリダDalida「花はどうなったの?Que sont devenues les fleurs?」
ジャック・ブレルJacques Brel「涙(友が泣くのを見る) Voir un ami pleurer」
ミレイユ・マチュウMireille Mathieu「幸せの鳩Mille colombes」
ジャック・ブレルJacques Brelの「子供の頃Mon enfance」の歌詞の最後の2節はこのようです。
Et la guerre arriva そして戦争が始まった
Et nous voilà ce soir. そして僕たちは今夜ここにこうしている。
また、同じタイトルのバルバラの「子供の頃Mon enfance」にも、
La guerre nous avait jetés là 戦争がその時私たちを放り出した
という1節があります。
少々広い観点から選んだつもりですが、その選択に漏れて、このように表立って反戦を歌っていなくても戦争を背景とした曲が数多くあり、とても挙げきれません。「愛」が表立ったシャンソンのテーマなら、「戦争」はその裏に隠されたテーマなのかもしれませんね。
なお、竹村淳「反戦歌 戦争に立ち向かった歌たち」(アルファベータブックス2018年刊)は世界中の反戦歌を取り上げていますので参考にされるといいでしょう。
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季刊誌「シャンソンマガジン」では毎号、特集としていろんな歌手を取り上げていますが、ここ何回かは、宇藤カザンがその歌手に関する記事を書き、私は、付録のCDでしゃべっています。今年2023年冬号はジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensの特集号。「わが心の森にはAu bois de mon cœur」などを解説しましたが、隣人から受けた厚情、隣人への思いやりと感謝をテーマとしたこの曲のように、庶民の生活を描写し人と人とのつながりをユーモアを加えて歌うブラッサンスは「フランス版さだまさし」だと私は延べました。
それまでブラッサンスにはあまり関心が持てなかった私がその準備のために参照させていただいたのは、ブラッサンスの曲をすべて訳して紹介しているサイトでした。何人かの研究者の方々が書かれた訳文は原文の味を活かした俗語調で味がありました。先日もう一度開こうとしたら開けませんでした。いつのまにかなくなっていたのです。貴重な文化が消えたのが惜しいです。
今回取り上げる「結婚行進曲La marche nuptiale」は、「わが心の森にはAu bois de mon cœur」にも出てきた「結婚するために市(町、区、村)役所に行く」お話です。1957年のアルバム:Oncle Archibaldに収録されています。
フランスでの結婚は、事前予約の上、当該の役所でおこなわれ、そこには、必ず結婚式を執り行う部屋があるそうです。ここで正式に結婚が認められた後は、結婚パーティーをやってもいいし、教会での宗教的な結婚式をおこなってもいいしと。貧乏のせいでずっと結婚式を挙げられなかった両親。自分という子供も生まれた今、仲間たちや親戚たちに背中を押されやっと結婚式を挙げることになります。折あしく暴風雨となりますが、人々の力強い応援で結婚式は決行されます。この少年はこの結婚式をとても素晴らしいものだと感じているのです。
バルバラBarbaraも歌っています。
La marche nuptiale 結婚行進曲
Georges Brassens ジョルジュ・ブラッサンス
Mariage d'amour, mariage d'argent,
J'ai vu se marier toutes sortes de gens :
Des gens de basse source et des grands de la terre,
Des prétendus coiffeurs, des soi-disant notaires... 注1
Quand même je vivrais jusqu'à la fin des temps,
Je garderais toujours le souvenir content
Du jour de pauvre noce où mon père et ma mère
S'allèrent marier devant Monsieur le Maire. 注2
C'est dans un char à bœufs, s'il faut parler bien franc, 注3
Poussé par les amis,tiré par les parents,
Que les vieux amoureux firent leurs épousailles
Après longtemps d'amour, longtemps de fiançailles.
愛の結婚、お金の結婚、
僕はあらゆる種類の人々が結婚するのを見てきた:
出自の卑しい人々、地上の大物たち、
自称美容師たち、なりすまし公証人たち…
たとえ僕がこの世の終わりまで生きたとしても、
村長閣下の前で結婚した
父と母の貧しい結婚式の日からの
楽しい思い出をいつまでも留めておくだろう。
ありていに言うならば、牛車に乗ってのことだ
それは友人たちに押され、親に牽かれて、
年取った恋人たちが長い愛ののち、長い婚約ののちに
結婚式を挙げたのは。

Cortège nuptial hors de l'ordre courant,
La foule nous couvait d'un oeil protubérant :
無秩序な婚礼の行列、
群衆は私たちを目を丸くして見ていた:
Nous étions contemplés par le monde futile
Qui n'avait jamais vu de noce de ce style.
Voici le vent qui souffle emportant, crève-cœur ! 注4
Le chapeau de mon père et les enfants de chœur... 注5
Voici la pluie qui tombe en pesant bien ses gouttes,
Comme pour empêcher la noces, coûte que coûte. 注6
Je n'oublierai jamais la mariée en pleurs
Berçant comme un' poupé’ son gros bouquet de fleurs... 注7
Moi, pour la consoler, moi, de toute ma morgue,
Sur mon harmonica jouant les grandes orgues. 注8
Tous les garçons d'honneur, montrant le poing aux nues, 注9
Criaient : "Par Jupiter, la noce continue !" 注10
Par les hommes décrié’, par les dieux contrariés, 注11
La noce continue et Viv' la mariée !
僕たちは、このスタイルの結婚式を見たことがない
軽薄な人々に見つめられていた。
そこに風が吹いてきてさらったんだ、悲しいことに!
父の帽子とコーラスの子供たちを…
そこに激しい飛沫を叩きつけて雨が降る、
結婚式をなんとしても阻止せんとするように。
大きな花束を「人形」のように抱きあやしつ
涙にくれる花嫁を僕はけして忘れない
僕はね、彼女を慰めるために、僕は、僕のありったけの仰々しさで、
ハーモニカを大オルガンばりに演奏し、
付き添い人たちみんなが拳を突き上げ、
叫んだ:「ジュピターの名にかけて、結婚式は続く!」
辱められた人々の名にかけ、妨げられた神々の名にかけて、
結婚式は続く、花嫁万歳!

Quand même je vivrais jusqu'à la fin des temps,
Je garderais toujours le souvenir content
Du jour de pauvre noce où mon père et ma mère
S'allèrent marier devant Monsieur le Maire.
たとえ僕がこの世の終わりまで生きたとしても、
村長閣下の前で結婚した
父と母の貧しい結婚式の日の
楽しい思い出をいつまでも留めておくだろう。
[注]
1 prétendusとsoi-disantは同義で、名刺の前につき「自称…」。
2 s'allèrent marier ここだけ単純過去であり、本来はallèrent se marier とすべきであろう。devant Monsieur le Maire「市(町、区、村)長閣下」は、maire市(町、区、村)長に尊敬の意味を加えた表現。
3 C'estのceは2行後のque 以下。char à bœufs「牛車」は、立派な「馬車」ではなくて貧乏くさい乗り物だというだけではなく、歩みの遅い乗り物ということで遅い結婚を例えてもいるようだ。
3 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
4 crève-cœur「(胸が張り裂けるような)悲しみ」
5 enfant de choeur「合唱隊の子供」「侍者」
6 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
7 この行以降、別の主語+現在分詞の節が続き、状況の解説となっている。
8 orgueは「パイプオルガン」で、grandes orguesは複数形で「(教会の) 大オルガン」。harmonica「ハーモニカ」は1820年頃に作られたオルガンの調律用の道具が起源といわれており、リードオルガンはharmonium、パイプオルガンはharmonistで語源的につながりがある。
9 les garçons d'honneur「新郎新婦の付き添い」、montrer le poing「こぶしを突き付ける」。nue=nuage「雲」天空の神ジュピター(注10)に向かってのしぐさである。
10 par...「…の名において」請願を示す表現。Jupiter「ジュピター」はローマ神話の雷などの天候を司る天空神で「ユピテル」とも読まれ、ギリシャ神話のゼウスと同一視される。天文学では「木星」を指す。ちなみに妻は結婚を司る女神ジュノン。
11 hommes décrié「辱められた人々」とは教会の(権威的でお金のかかる)結婚式に縁のない人々、dieux contrariés「妨げられた神々」とは、キリスト教の神とは異なる、ジュピターも含めた民間伝説の神々、ということであろう。

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エディット・ピアフÉdith PiafのRien de rienという曲といえば、「いいえ、私は何も悔やまない(水に流して)Non, je ne regrette rien」だと思う方がほとんどでしょう。でもRien de rienというタイトルの別の曲があります。1951年にピアフは、エディー・コンスタンティーヌEddie Constantineと共演した、「かわいいリリーLa p'tite Lili」というミュージカルで歌いました。ミュージカルの筋書きが分からないので、どんな場面で歌われるのか分かりませんが、平凡な毎日が続き、何も特別な出来事が身の回りに起こらないといった歌詞。邦題は「何も起こらない」としましょう。作曲:ピエール・ロッシュPierre Roche、作詞:シャルル・アズナヴールCharles Aznavour。とてもジャズ的なノリのいい曲です。ロッシュとアズナヴールのコンビが作った曲は「酔いしれてJ’ai bu」「それはひとりの男C'est un gars」「五月のパリが好きJ'aime Paris au mois de mai」「雨が降るIl pleut」などを先に取り上げています。聴き直してみると、それぞれ味のある曲です。
なお、エディー・コンスタンティーヌは、「おじさんと子どもL'homme et l’enfant」を以前ご紹介しています。
Rien de rien 何も起こらない
Édith Piaf エディット・ピアフ
Rien de rien… 注1
Il ne se passe jamais rien pour moi 注2
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
全く何も起こらない
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
まったく何も起こらない…!

Du matin à l'heure où je me couche
Tout ici est calme et banal
J'aimerais que 'y se passe quelque chose de louche
De la prime ou du pas normal 注1
朝から床に就くときまで
ここはすべて静かで平穏よ
何か起こってほしいわ、おかしな
特別のあるいは普通じゃないことが
Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
まったく何も起こらない…!
Voici un couple qui murmure
Et dans une chambre veut se glisser…
Je devine une tendre aventure…
Mais ils vont chacun de leur côte!
ここでカップルがささやいていて
そして部屋に滑り込もうとしている…
私は甘いアヴァンチュールを想像する...
でも、彼らはそれぞれ自分の道を行く!

Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien!...
Il ne se passe jamais rien!...
Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
全く何も起こらない…!
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!…
まったく何も起こらない…!
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
まったく何も起こらない…!
Deux hommes parlent à voix basse
Discutant pleins d'animation 注2
Pour écouter, je change de place
Mais hélas je n'entends que "oui, non"
二人の男が低い声で話している
活発に論議しながら
聞こうとして、私は場所を変える
でも悲しいかな「はい、いいえ」しか聞こえない

Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Je me demande pourquoi!
Rien! Rien! Rien!
Il ne se passe jamais rien!...
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も!何も!何も!
まったくなにも起こらない…!
Ce qu'y se passe pas j'aimerais que ça se passe
Que ça se passe ne serait-ce que pour moi.
Comme ça je verrais ce qu'y se passe
Et je pourrais dire que ça se passe pas!
起こっていないことが起こってほしい。
起こることが私だけのものじゃなきゃいい。
そうすれば、何が起こっているかがわかる
そして、私はそれが起こっていないと言うことができる!
Rien de rien…
Il ne se passe jamais rien pour moi
Et je me demande pourquoi!
Rien…
Il ne se passe jamais rien!
何も 何も…
私には全く何も起こらない
なぜだろう!
何も…
全く何も起こらない…!
[注]
1 rien de rien(=deux fois rien)「全く…ない」は「いいえ、私は何も悔やまない(水に流して)Non, je ne regrette rien」の歌詞にもある。タイトルは歌詞の主旨として「何も起こらない」としたが、歌詞中はこの語の繰り返しを活かすため、「何も 何も」と訳した。
2 ne...rien「何も…ない」にplus, jamaisを加えことができ、この場合、二重否定にはならない。
3 primeは形容詞では「最初の、第1の」の意味だが、ここは名詞で、「ボーナス、景品、おまけ」などの意味。
4 discuter pleins d'animation(←discuter avec animation) 「活発に論議する」
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今回は、前回の「鳥と子どもL'oiseau et l'enfant」の作曲者ジャン=ポール・カラJean Paul Cara が歌っている自作の曲「虹の演奏家Le joueur d’arc-en-ciel」です。79年4月~6月のNHKテレビフランス語講座のテキストに「今月のシャンソン」として取り上げられた曲だということで、アミカル・サロンに参加されている方から教えていただきました。歌詞と永滝達治さんの訳が記載されたページを送っていただきましたのでそれを参照いたしました。メルヘンティックで楽しい歌詞です。
Le joueur d’arc-en-ciel 虹の演奏家
Jean Paul Cara ジャン=ポール・カラ
Un bout de ciel sur un pain de sucre 注1
De la musique au bout de sa flûte
En équilibre entre terre et ciel
Il faisait naître des arcs-en-ciel
とんがり山の上の空の隅で
彼のフルートから流れる音楽で
大地と空のあいだでバランスをとって
彼は虹を創りだした

Comme tous les gosses qui jouaient là-haut
Je gambadais parmi le troupeau
Autour de lui on venait danser
Et sans arrêt je lui demandais
山の上で遊んでいた子どもたちみんなのように
僕は仲間にはいって跳びはねた
彼の周りに僕たちは踊りに行った
そして、僕は彼に頼み続けた
Hé! Monsieur fais-moi un arc-en-ciel 注2
Hé! Monsieur joueur de l'arc-en-ciel 注3
Hé! Monsieur donne-moi un arc-en-ciel
Hé! Fais-le chanter
ねぇ! おじさん、僕に虹を作って
ねぇ! おじさん虹の演奏家さん
ねぇ! おじさん、僕に虹をちょうだい
ねぇ! 虹に歌わせて
Du bleu, du vert, du rouge, du blanc, du jaune et du violet 注4
Du rouge, du jaune, du vert, du bleu et puis de l'orangé
Du vert, du bleu, du blanc, du rose et aussi du doré
Rouge, bleu, jaune,vert
Jaune, rouge, bleu, vert
Ouais!
青の、緑の、赤の、白の、黄の、紫の
赤の、黄の、緑、青の、それからオレンジの
緑の、青の、白の、ピンクの、そしてまた金の
赤iい、青い、黄いろい、緑の
黄いろい、赤い、青い、緑の
ワーイ!

Puis un jour il est reparti
En s'en allant tout bas il m'a dit
Ton arc-en-ciel tu le trouveras
Cherche le bien tout au fond de toi
そしてある日彼は行ってしまった
彼は去りながら僕にそっと告げた
自分の虹を君は見つけるだろう
自分の奥深くをよく探してごらん
Et puis le temps, la vie est passée
La grande ville m'a déguisé
Mais le passé n'est pas oublié
Car dans mon cœur je l'entends chanter
そして時が経ち、人生が過ぎていった
大都市が僕を変えた
でも過去のことは忘れていない
だって心のなかで彼が歌うのが聞こえるから
Hé! Monsieur fais-moi un arc-en-ciel
Hé! Monsieur joueur de l'arc-en-ciel
Hé! Monsieur donne-moi un arc-en-ciel
Hé! Fais-le chanter
ねぇ! おじさん、僕に虹を作って
ねぇ! おじさん虹の演奏家さん
ねぇ! おじさん、僕に虹をちょうだい
ねぇ! 虹に歌わせて

Du bleu, du vert, du rouge, du blanc, du jaune et du violet
Du rouge, du jaune, du vert, du bleu et puis de l'orangé
Du vert, du bleu, du blanc, du rose et aussi du doré
Rouge, bleu, jaune, vert
Jaune, rouge, bleu, vert
Ouais!
青の、緑の、赤の、白の、黄の、紫の
赤の、黄の、緑、青の、それからオレンジの
緑の、青の、白の、ピンクの、そしてまた金の
赤iい、青い、黄いろい、緑の
黄いろい、赤い、青い、緑の
ワーイ!
Hé! Monsieur fais-moi un arc-en-ciel
Hé! Monsieur joueur de l'arc-en-ciel
Hé! Monsieur donne-moi un arc-en-ciel
Hé! Fais-le chanter
ねぇ! おじさん、僕に虹を作って
ねぇ! おじさん虹の演奏家さん
ねぇ! おじさん、僕に虹をちょうだい
ねぇ! 虹に歌わせて
[注]
1 pain de sucre「円錐形に固めた砂糖」の意味から「円錐形のもの」を指す。ここでは小さな山の形のようだ。
2 NHKのテキストでは、感嘆詞はHeyとなっており「ヘイ」のようにも聴こえるがHeyは英語。ネットで見つけた歌詞ではHé!となっており、この感嘆詞はフランス語の辞書にある。
3 この行は、NHKのテキストでもネットで見つけた歌詞でもMonsieur joue-moi un arc-en-cielとなっているが、歌を聴いてMonsieur joueur de l'arc-en-cielだと判断した。
4 doréまで、「de+le+色の名前」は「…色の」。そのあと、rouge以後は形容詞として訳した
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今回は「鳥と子どもL'oiseau et l'enfant」というステキな曲です。1977年に当時19歳のマリー・ミリアムMarie Myriamがこの曲をユーロヴィジョン・コンクールで歌って優勝しました。作詞:ジョー・グレイシーJoe Gracy、作曲:ジャン=ポール・カラJean-Paul Cara。
平和への讃歌です。「私」は戦争中の国で悲惨な生活を送っている少女なのでしょうか。暗い日々を送りながら、空を通り過ぎる鳥に希望を託し、世界の美しさを信じ、国境のない愛の国を夢見ています。のちに、この歌は子どもの権利連盟のシンボルとなりました。
L'oiseau et l'enfant 鳥と子ども
Marie Myriam マリー・ミリアム
Comme un enfant aux yeux de lumière
Qui voit passer au loin les oiseaux
Comme l'oiseau bleu survolant la Terre
Vois comme le monde, le monde est beau 注1
鳥たちが遠くを通り過ぎるのを見る
光る目をした子どものように
大地の上を飛ぶ青い鳥のように
見てよ、世界が、世界がどんなに美しいか
Beau le bateau, dansant sur les vagues
Ivre de vie, d'amour et de vent
Belle la chanson naissante des vagues
Abandonnée au sable blanc
美しいわ船は、波の上で踊っている
生命と愛と風に酔って
美しいわ歌は、波間に生まれ
身を委ねる白い砂に

Blanc l'innocent, le sang du poète 注2
Qui en chantant, invente l'amour
Pour que la vie s'habille de fête
Et que la nuit se change en jour 注3
白いわ無垢な人は、詩人の血は
歌いながら、愛を創りだすのよ
生命が晴れ着をまとうようにと
そして夜が朝に変わるようにと
Jour d'une vie où l'aube se lève
Pour réveiller la ville aux yeux lourds
Où les matins effeuillent les rêves
Pour nous donner un monde d'amour
人生の朝、黎明がおとずれる
瞼の重い街を目覚めさせようと
夜明けが夢をはぎ取る
私たちに愛の世界を与えようと

L'amour c'est toi, l'amour c'est moi
L'oiseau c'est toi, l'enfant c'est moi
愛それはあなた、愛それは私
鳥それはあなた、子どもそれは私
Moi je ne suis qu'une fille de l'ombre
Qui voit briller l'étoile du soir
Toi mon étoile qui tisse ma ronde
Viens allumer mon soleil noir 注4
私、私はただの日陰の少女
宵の明星が輝くのを見る
あなた、私の輪舞を織りなす私の星よ
輝かせに来て私の黒い太陽を
Noire la misère, les hommes et la guerre 注5
Qui croient tenir les rênes du temps
Pays d'amour n'a pas de frontière
Pour ceux qui ont un cœur d'enfant
黒いわ貧困は、男たちと戦争は
時を支配していると信じている男たちは
愛の国に国境はない
子どもの心を持った者にとって

Comme un enfant aux yeux de lumière
Qui voit passer au loin les oiseaux
Comme l'oiseau bleu survolant la terre
Nous trouverons ce monde d'amour
鳥たちが遠くを通り過ぎるのを見る
光る目をした子どものように
大地の上を飛ぶ青い鳥のように
私たちは愛の世界を見いだす
L'amour c'est toi, l'amour c'est moi
L'oiseau c'est toi, l'enfant c'est moi
L'oiseau c'est toi, l'enfant c'est moi
L'oiseau c'est toi, l'enfant c'est moi
愛それはあなた、愛それは私
鳥それはあなた、子どもそれは私
鳥それはあなた、子どもそれは私
鳥それはあなた、子どもそれは私

[注]
1 すべての節の末の語が次の節の頭に用いられる。それらを太字で示した。
2 blancはここでは「清い」の意味合いだが、le sable blancに合わせて「白い」とした。
3 jourは、次節の文脈とのつながりで「朝」と訳した。
4 バルバラBarbaraの「黒い太陽Le soleil noir」(1968年)を踏まえているのか。あるいはその記事に書いた、さらに古いジェラール・ド・ネルヴァルGérard de Nerval のétoile「星」の語の入った一節を踏まえているのか。
5 noireはここでは「暗い、汚い」の意味合いだがle soleil noirに合わせて「黒い」とした。
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前回、「人生が嫌いだJe déteste ma vie」を取り上げたピエール・ラポワントPierre Lapointeの曲をもう1曲ご紹介しましょう。「異次元の花 Les fleurs d'une autre dimension」。メロディーも歌詞もとても美しい曲です。2022年のアルバム:L'heure mauveに収録されています。このアルバムは、スイスのアーティスト、ニコラス・パーティNicolas Partyの、2022年春のモントリオールのミュージアムMMFAでのエキシビション「Nicolas Party: L’heure mauve」に合わせて作られたものです。同年、エキシビションの内容のペーパーバックも出版されています→。アルバムのジャケット、下の動画の映像もニコラス・パーティの作品です。
Les fleurs d'une autre dimension 異次元の花
Pierre Lapointe ピエール・ラポワント
Toutes les fleurs qui poussent reviennent comme les saisons
Même si on les coupe, elles refleuriront
Quand par amour on donne leurs cadavres jolis
Toujours elles nous pardonnent de leur enlever la vie
咲く花たちはみな季節のように戻ってくる
ひとが切り取っても、花たちはまた咲く
ひとが愛をこめて、彼らのかわいい死体を贈るとき
花たちはいつも私たちが命を取り上げたことを許してくれる
Leurs parfums angéliques de tout temps nous séduisent
Illusions alchimiques qui jamais ne s’épuisent
Elles pleurent souvent les choix que nous faisons
Et rêvent que l’on soit un jour un peu moins cons
太古の昔からの天使のような彼らの香りが僕らを誘う
尽きることのない錬金術の幻覚
花たちはしばしば僕らのなす選択を嘆く
そして、僕らがいつの日か、もう少し愚かでなくなるよう夢見る

Peut-être qu’elles sont là simplement pour rappeler
Le décevant constat de notre humanité
Un jour elles sont belles, mais sitôt contrariées
Elles battent de l’aile, abdiquent sans batailler
たぶん花たちは思い起こさせるためにそこにいるだけだ
僕らの人間性の期待はずれな事実を
ある日には花たちは美しいが、すぐに身を翻す
花たちは羽ばたき、戦わずに退く
Ne sommes-nous pas les fleurs d’une autre dimension
Fleurissant quelques heures le temps d’une chanson
Accumulant amours, guerres et trahisons
Pour oublier le jour où tous nous fanerons
僕らは異次元の花じゃないだろうか
僕らがみな消えゆくだろう日を忘れるために
1曲の歌のいくばくかの時間に花ひらいて
愛と戦争と裏切りを積み重ねて

Je n’offre pas de fleurs aux gens que j’aime bien
Elles me font trop peur, me rappellent la fin
Je préfère des yeux les voir sans les toucher
Laisser les vents joyeux abîmer leur beauté
僕は大好きな人たちには花をあげない
花たちはとても僕を怖がらせ、終わりを思い起こさせる
僕は花たちに触れずに花たちを目にする方が好きだ
喜ばしい風がその美しさを損なうに任せよう
Le jour où sur la terre elles auront disparu
Je sais, du moins j’espère, que nous n’y serons plus
Que régnera en maître un silence grandiose
Et qu’enfin pourront naître sans désordre les choses(×2)
花たちが地上から消える日には
僕は知っている、少なくとも僕は願う、僕らはもうそこにいないんだと
荘厳な沈黙が君臨するんだと
そして最後には混乱もなく物事が生まれるんだと

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カナダのケベック州のシンガー・ソングライター、ピエール・ラポワントPierre Lapointe(1981年-)の「人生が嫌いだJe déteste ma vie」を取り上げます。扉のページのコメント欄にこの曲の歌詞に関する質問があったので、訳してみることにしました。2020年のアルバム:Paris Tristesseに収録されています。
ウィキペディアのフランス語記事によりますと、彼が影響を受けた歌手として、レオ・フェレLéo Ferré、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourg、バルバラBarbara、マシュー・シェディMatthieu Chédid、ヴァンサン・ドレルムVincent Delerm、ロベール・シャルルボワRobert Charlebois、アバABBA、フランス・ガルFrance Gallなどが挙げられます。
彼の曲作りに関してはこのように解説されています。
「失敗した人間関係」は、しばしば彼の歌のテーマとなるけれど、ある程度のあいまいさを維持し、解釈の多様性を許している。彼の作品で繰り返されるもう1つのテーマは「死」であり、愛や幸福よりも音楽においてはるかに大きな存在感を持つと彼は信じる。通常、聴衆を動かすのは「悲しみ」と「失恋の感情」であり、ステージ上で優しくてメランコリックな雰囲気を作り出すよう努め、歌を通して物語を語るのではなく、イメージや感情を引き出すことを目指す。自らの作品を象徴的、神秘的、超現実的であると同時に、抽象的で前衛的であると考え、セクシュアリティを扱ったその挑発的な言葉は、音楽業界への挑戦となったが、その要求は、礼儀正しく受け入れられる音楽の文化をもたらしたと彼は信じる。彼自身が視覚芸術の素養があリ、その作品は、視覚芸術と振り付けが重要な役割を果たす。特にミュージック ビデオの制作では、ダンサーや多くの現代アーティストをステージに含めることがよくある…。
「失敗した人間関係」は、しばしば彼の歌のテーマとなるけれど、ある程度のあいまいさを維持し、解釈の多様性を許している、という解説は、この歌詞にも当てはまるでしょう。
いただいた質問は、歌詞のなかに《J’ai embrassé trois fois la main de Lucifer》というフレーズがあるが、「悪魔の手に三度キスをする」ことの意味は?ということでした。
ルシフェールLuciferとは「光を掲げる者」という意味のラテン語で「明けの明星」を指す名称でした。その名を冠された、位の高い熾天使は天界大戦争を引き起こして神に反逆して敗れ、天界から追放されて堕天使となり、悪魔サタンSatanと同一視されるようになりました。このフレーズは固定的な意味を持つものでは無いようですが、手にキスをするという行為は本来、「尊敬」や「敬愛」を示します。戦争、戦いというのは寓意なのかどうか分かりませんが、本意ならぬ生き方をして人生を厭う身として、堕天使ルシフェールへの共感や追従の意を示しているように思われます。これはあくまでも一つの解釈です。
Je déteste ma vie 人生が嫌いだ
Pierre Lapointe ピエール・ラポワント
J'ai volé dans le ciel les mains pleines de rêves
Poussé par la chaleur du soleil et des vents doux
J'ai laissé les distractions se tuer entre elles
Et j'ai volé au loin, au bien trop loin de toi
両手を夢でいっぱいにして空を飛んだ
太陽の熱と甘い風に押されて
僕は彼女たちのあいだで気晴らしを費やした
そして僕は君から遠く離れて、あまりにも遠く離れて飛んだ
J'ai parcouru du regard nos liens de l'Est à l'Ouest
Pour finir par laisser tous nos bonheurs en reste 注1
J'ai tenu mes envies de revenir en laisse 注2
Et j'ai pleuré au loin, au bien trop loin de toi
東から西までの僕たちの絆を見渡した末
僕たちの幸せをすべてお預けにしてしまった
僕は綱につなげられて戻って行きたいという衝動を抑えた
そして僕は君から遠く離れて、あまりにも遠く離れて泣いた

Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
Je sais trop que ma place est dans tes bras
Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
Je sais trop que ma place est dans tes bras
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
僕の居場所は君の腕の中だとよく分かっている
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
僕の居場所は君の腕の中だとよく分かっている
J'ai crié comme j'ai pu que j'avais ma place
Sur la terre comme au ciel voulu laisser ma trace
J'ai joué mes bonheurs faciles à pile ou face 注3
Et j'ai perdu au loin, ô bien trop loin de toi
私は地上に自分の居場所を持っていたんだと力の限り叫んだ
空に足跡を残したかったのと同様に
僕はコインを投げて安易な幸福を選んだ
そして、僕は君から遠く離れて、あまりにも遠く離れて道に迷った
Et depuis les éclairs me rappellent à la guerre
Comme si au combat mes convictions redevenaient fières
J'ai embrassé trois fois la main de Lucifer
Et j'ai brûlé au loin, ô bien trop loin de toi
そして閃光が僕を戦争に引き戻し
戦いにあるかのように信念がまた高まった
僕はルシファーの手に3回キスした
そして、僕は君から遠く離れて、あまりにも遠く離れて燃えた

Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
Je sais trop que ma place est dans tes bras
Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
Je sais trop que ma place est dans tes bras
Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
僕の居場所は君の腕の中だとをよく分かっている
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
僕の居場所は君の腕の中だとをよく分かっている
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
Je sais trop que ma place est dans tes bras
Je déteste ma vie, c'est long ma vie sans toi
Je sais trop que ma place est dans tes bras
僕の居場所は君の腕の中だとをよく分かっている
僕は自分の人生が嫌いだ、君がいない人生は長い
僕の居場所は君の腕の中だとをよく分かっている
[注]
1 finir par…「…することによって終わる、借りがある」
2 en laisse 「綱につながれた」
3 à pile ou face 「コインを投げて表か裏か当てる」
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コクシネルCoccinelleとはテントウムシのこと。黒い水玉模様の赤いドレスが好きでそれを芸名とした女優・歌手がいました。1931年生まれで、2007年に亡くなりました。この人は実はフランスで公式に性別を変えた最初の有名人です。以前、「毛皮のマリーLa Marie-Vison」のページで彼女のYouTube動画を出していますが、あらためてご紹介いたしましょう。
1963年、彼女はオランピアで、ブルーノ・コカトリクス Bruno Coquatrixが脚本と監督を務めたショー「女を探せChercher la femme」に主役として出演しました。同年、そのショーの4曲を収録したCoccinelle - 4 chansons de la Revue de l'Olympia « Chercher la femme » がリリースされました。そのなかのタイトルナンバーを今回ご紹介します。後年、2004年に20曲収録したCDがリリースされています。作詞:André Hornez、作曲:M. L. Bernard。
Chercher la femmeすなわち「女を探せ」という文言は、ことわざとして「犯罪の陰に女あり」という意味で用いられますが、歌詞では彼女の個人的な特性を表しているようなので、邦題は「女を探して」といたしましょう。
歌詞データは一つだけ見つかりました。バックコーラスの部分が不完全ですが、聞き取れないのでとりあえずはそのまま用い、後日の修正を心づもりにいたします。
彼女が元男性だったとは…
ステージでの歌唱
Cherchez la femme 女を探して
Coccinelle コクシネル
En me voyant je sais ce que vous vous dites
Que je ne suis pas vraiment ce dont j'ai l'air
Vous me jugez comment dire "insolite"
Alors regardez moi en long, en large et en travers
私を見ながらあなたが思うことは分かっているわ
私が見せかけとは本当は違うっていうこと
あなたは私をいわば「異様」だと感じている
さぁ、私をあらゆる角度から見てよ

Cherchez, cherchez la femme
Voyez je ne cache rien, cherchez bien
En moi tout le proclame
Que le mot féminin, vraiment me convient
Je n'ai qu'un seul programme
Ce soir c'est de tout faire pour vous plaire
Cherchez, cherchez la femme
Vous verrez que je n'ai pas que l'air d'en avoir l'air 注1
探して、女を探して
ほら私は何も隠していないわ、よく探して
私のすべてがそれを示しているわ
女らしいという言葉が、私にふさわしいと
私にはひとつだけ予定があるの
今夜あなたに気に入られるためになんでもするってこと
探して、女を探して
私が見せかけ以上のものを持っているってあなたは分かるわ
Quand un cycliste perd les pedales
(Forcement ça fait du scandale)
Quand un jockey n'est plus dans la course
(On se dis...)
Quand un coiffeur boucle ses valises
(On dois faire...ses valises)
Quand un pompier a le feu quelque part
(On s'etonnes d'un evenement de ci de ça)
自転車乗りがペダルを外したとき
(当然…)
騎手がコースを逸れたとき
(ひとは思う…)
床屋が旅支度をし終えたとき
(ひとは…しなきゃ)
消防士がどこかの火事を知ったとき
(ひとはあれこれの出来事に驚く)

Cherchez, cherchez la femme
Son charme est dangereux, oui messieurs
(Bah dah bah dooh wouahhh)
Partout dans tous les drames
Toujours cet une femme qui mène le jeu
Elle a (elle a) tout un programme
(Bah dah bah dooh wouahhh)
De truc qui rende fou méfiez vous
Cherchez, cherchez la femme
C'est elle uniquement la cause de tout
探して、女を探して
その魅力は危険よ、そうよ紳士方
(バ ダ バ ド ウアー)
あちこちですべての事件で
いつもゲームをリードするのは一人の女
彼女は(彼女は)一つの計画だけ持っている
(バ ダ バ ド ウアー)
人を狂わせる方策のね 用心なさい
探して、女を探して
すべての原因はただただ彼女なのよ
(Cherchez, cherchez la femme)
C'est un "altom" programme 注2
(C'est la notre soucis, Dieu merci)
Et notre joie aussi
(Son père...notre âme)
Ce n'est pas un drame
(De notre prochain...)
Et même ceux qui nous blâment
(Chère madame)
Un jour changent d'avis, c'est la vie
(Et les gens sont ravis)
Cherchez, cherchez la femme
(De toute votre âme)
Et si vous la trouvez, et si vous la trouvez,
Et si vous la trouvez, vous en serez ravis
(探して、女を探して)
それはアルトム・プログラム
(それは私たちの懸念、神に感謝)
そして私たちの喜び
(その父..私たちの魂)
それはドラマじゃない
(私たちの次の…)
そして、私たちを非難する人々でさえ
(親愛なるマダム)
いつか意見が変わる、それが人生
(そして人々は喜ぶ)
探して、女を探して
(魂を込めて)
そしてあなたが彼女を見つけたら、そして彼女を見つけたら、
そして彼女を見つけたら、あなたは大喜びよ

[注] 括弧内はバック・コーラス。
1 ne pas que..「…だけじゃない」 ne...queの否定。
2 altomという語は分からないので、読みをカナ表記した。情報が得られれば訂正したい。
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前回、スリマヌ& ヴィタアSlimane et Vitaaの「あなたに逢うまでAvant toi」をご紹介しましたが、二人がデュオで歌うようになったのは、ヴィタアのÀ fleur de toiという曲を、スリマヌがThe Voiceの第 5 シーズンのブラインドオーディションで歌い、彼の解釈が評価されたのがきっかけでした。同じ曲がこんなに違う表現になるのかと驚かされます。今回は、その曲を取り上げましょう。ヴィタアが2006年に創唱し、翌2007年の同名のアルバムに収録されています。作詞:ヴィタア自身。作曲:ムーニール・マールフMounir Maarouf。彼女の名前の日本語表記はヴィターともされますが、aをダブらせているので、このブログではヴィタアと表記することにしました。
歌詞は雄弁に状況を物語りますが、タイトルは易しい言葉ながらちょっと悩みます。fleurは一般的には女性名詞で「花」の意味ですが、「表面」の意味の女性名詞も別にあり、文語で用いられる「匂い」の意味の男性名詞もあります。「表面」の意味の語にはà fleur de...「…とすれすれの、…とほぼ同じ水準の」という熟語があります。このタイトルは、この熟語を用いており、à fleur de toiは、あなたにくっついていて、あなたから離れられない状態を表しているのでしょうが、翻訳しにくいです。英語への翻訳のタイトルをYou're under my skinとしているページが見つかり、これは同じ解釈の延長でしょう。邦題はこれを参考に「私のなかのあなた」としました。
ヴィタア
スリマヌ
ヴィタア&スリマヌ
À fleur de toi 私のなかのあなた
Vitaa ヴィタア
Les jours passent mais ça ne compte pas
J'ai tant de mal à vivre, ivre
De ce parfum si différent du tien, pire
J'ai compté chaque minute qui me retient à lui
Comme si j'étais ma propre prisonnière
日々が過ぎるけれど、それは問題じゃない
あなたのとはまるで違うこの香りに
酔って生きるのがつらい
さらに悪いことに、私は彼に身を委ねる毎分毎分を
まるで私が自分自身の囚人であるかのように数えた
Ça fait bientôt un an qu'il m'a sauvé de toi
Souvent je me demande où j'en serai pour toi
Souvent je me demande ce que tu fais
Où tu es, qui tu aimes
Sors de mes pensées !
彼があなたから私を救ってからほぼ1年経った
しばしば私はあなたを離れてどこに行くのかと思う
しばしばあなたは何をしていて、どこにいて、誰を愛しているのかと思う…
私の頭から出て行ってよ
J'ai changé d'adresse, de numéro, même si 注1
J'ai balancé tes lettres et des défauts, même si
J'ai fait semblant d'avoir trouvé la force
Je garde au plus profond de moi
Tout ce que tu m'as laissé 注2
私は住所を変えた、電話番号も
あなたの手紙も難点も放り出したけれど
力を得たふりをしたけれど
あなたが私に残したことがすべて私の奥深くに残る

J'essaye de t'oublier avec un autre
Le temps ne semble pas gommer tes fautes
J'essaye mais rien n'y fait je ne peux pas, je ne veux pas,
Je n'y arrive pas, je ne l'aime pas comme toi
J'essaye de me soigner avec un autre
Qui tente en vain de racheter tes fautes
Il semble si parfait mais rien n'y fait
Je capitule, je ne peux pas
Je ne l'aime pas comme toi
私は別の人であなたを忘れようとする
時間はあなたの過ちを消してくれないようだ
やってみるけれど、何の役にも立たない できない、したくない、
私はそれをすることはできない、私は彼をあなたのように愛していない
私は別の人で自分を癒そうとする
その人は空しくもあなたの過ちを償おうとする
それはとても完璧なようだけれど、役立つものは何もない
私は降伏する、私はできない
私は彼をあなたのように愛していない
Lui, il a tenté de me consoler, même si
Il n'a pas tes mots ni ton passé, c'est vrai
Mais il n'a pas ton goût pour la fête
Pour la nuit pour les autres, pour tout ce que je hais
彼は私を慰めようとした
あなたの言葉や過去を持たないながらも、そうよ
でも彼はあなたのような嗜好を持たない、お祭り騒ぎや、
夜や他の人たちや、私が嫌いなすべてに対する嗜好を

Il a séché toutes mes larmes, tu sais
Il a ramassé tes pots cassés 注3
Et il a réglé tous tes impayés, tes impostures, tes ratures
Tout ce que tu m'a laissé
Il m'aime comme un fou
Il me connait par cœur
Il me dit je t'aime parfois durant des heures 注4
Mais il ne sent pas ton odeur
Pourquoi je te respire dans ses bras
Sors de mes pensées
彼は私の涙を全部乾かした、そうよ
彼はあなたの尻拭いをし、あなたの未払いの請求書、詐欺、消去をすべて解決した
あなたが私に残したすべてを
彼は私を狂ったように愛し
私を心から分かってくれる
彼は時には何時間も「あなたを愛している」と私に言う
でも彼はあなたの匂いがしない
なぜ私は彼の腕の中であなたを呼吸するのか
私の頭から出て行ってよ
J'essaye de t'oublier avec un autre
Le temps ne semble pas gommer tes fautes
J'essaye mais rien n'y fait je ne peux pas, je ne veux pas,
Je n'y arrive pas, je ne l'aime pas comme toi
J'essaye de me soigner avec un autre
Qui tente en vain de racheter tes fautes
Il semble si parfait mais rien n'y fait je capitule,
Je ne peux pas
Je ne l'aime pas comme toi
私は別の人であなたを忘れようとする時間はあなたの過ちを消してくれないようだ
やってみるけれど、何の役にも立たない できない、したくない、
私はそれをすることはできない、私は彼をあなたのように愛していない
私は別の人で自分を癒そうとする
その人は空しくもあなたの過ちを償おうとする
それはとても完璧なようだけれど、私が降伏するのに役立つものは何もない
私にはできない
私は彼をあなたのように愛していない

[注]
1 merciとしている歌詞がほとんどだが、次行と同様même siだと確認した。
2 ヴィタアはソロではtu m'as aiméと歌っているようだが、スリマヌとデュオではtu m'as laisséで、妥当性からこちらを選んだ。
3 ramasser tes pots cassés→payer les pots cassés 「損害の償いをする」
4 je t'aimeは彼が私に言う言葉である。
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スリマヌ Slimaneはアルジェリア系の血筋で1989 年生まれのシンガー・ソングライター&俳優です。ヴィタアVitaaは1983年生まれの歌手で、ディアムDiam'sと歌った「夜の告白Confessions nocturnes」をはじめ、他のアーティストとのコラボレーションでいくつかの成功を収めました。スリマヌとヴィタアは、2019年にデュオのアルバム:VersuS をリリースしました。そのなかから「あなたに逢うまでAvant toi」をご紹介しましょう。タイトルは直訳すると「あなたの前に」ですが、邦題は歌詞内容から「あなたに逢うまで」としました。作詞・作曲はCharlotte Gonin, Slimane Nebchi, Renaud Rebillaudらの共同。
Avant toi あなたに逢うまで
Slimane et Vitaa スリマヌ& ヴィタア
Y’avait pas d’image, y’avait pas d’couleur
Y’avait pas d’histoire, mon âme sœur 注1
Y’avait pas les fêtes, y’avait pas l’cœur
Aucun sourire, mon âme sœur
イメージはなかった、色はなかった
物語はなかった、わが心の友よ
祭りはなかった、心はなかった
いかなる笑いも、 わが心の友よ
Tu sais le monde ne tournait pas rond 注2
J’avais les mots mais pas la chanson
Tu sais l’amour, tu sais la passion
Oui c’est écrit, c’était dit 注3
Oui c’est la vie
知っての通り世界はうまく回っていなかった
私は言葉は持っていたが歌は持っていなかった
あなたは愛を知っている、あなたは情熱を知っている
そう、それは定められ、告げられていた
そう、それが生だ

Avant toi, je n’avais rien
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
Je sais le Ciel ne m’en veut pas 注4
D’avoir posé les yeux sur toi
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh
あなたに逢うまで、私は何も持っていなかった
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
私は天が私を咎めないと分かっている
あなたに目を向けたことを
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
オー オー オー オー オー オー オー オー
Y’avait pas d’maison, y’avait pas l’bonheur
J’avais pas d’raison, mon âme sœur
Y’avait pas de rire, mais y’avait pas d’pleurs
J’étais seule ici, mon âme sœur
住み処はなかった、幸せはなかった
私は分別がなかった、わが心の友よ
笑いはなかった、だが涙もなかった
私はここで一人だった、わが心の友よ

Tu sais le monde ne tournait pas rond
J’avais les mots mais pas la chanson
Tu sais l’amour de toutes les façons
Oui c’est écrit, c’était dit
Oui c’est la vie
知っての通り世界はうまく回っていなかった
私は言葉は持っていたが歌は持っていなかった
あなたはともあれ愛を知っている
そう、それは定められ、告げられていた
そう、それが生だ
Avant toi, je n’avais rien
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
Je sais le Ciel ne m’en veut pas
D’avoir posé les yeux sur toi
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh
あなたに逢うまで、私は何も持っていなかった
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
私は天が私を咎めないと分かっている
あなたに目を向けたことを
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
オー オー オー オー オー オー オー オー

Avant toi, je n’avais rien
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
Avant toi, je n’avais rien
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
Je sais le Ciel ne m’en veut pas
D’avoir posé les yeux sur toi
Avant toi, on ne m’a pas montré le chemin
ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh ooh
あなたに逢うまで、私は何も持っていなかった
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
あなたに逢うまで、私は何も持っていなかった
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
私は天が私を咎めないと分かっている
あなたに目を向けたことを
あなたに逢うまで、私には道は示されなかった
オーオーオーオー オーオーオーオー
[注]
1 âme sœurロワイヤル仏和中辞典には 「理解し合える異性の友、伴侶、心の友」とある。女性名詞のâmeに合わせて、当人の性の如何に拘らずsœur「姉妹」である。
2 tu sais「ねぇ、…でしょう」。tourner rond「うまく運ぶ」
3 c’est écrit「それは定めだ」。c’est ditも同様の意味。
4 en vouloire à qn. de inf.「…することで…を恨む、非難する。」
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