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2019
02.14

愛のケーキのつくりかたLa recette du cake d'amour

La recette du cake damour


1970年のフランスのミュージカル映画「ロバと王女Peau d’Âne」はシャルル・ペローCharles Perraultの童話「ロバの皮Peau d’Âne」を元にしたものです。監督:ジャック・ドゥミJacques Demy、主演:カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuve。→あらすじ デジタルニューマスター版のDVDで、鮮明な映像で楽しみます。
この映画に出てくる「愛のケーキのつくりかたLa recette du cake d'amour」という曲をご紹介しましょう。作詞・作曲:ミッシェル・ルグランMichel Legrand。明日15日のヴァレンタイン・コンサートでスブリームさんが歌います。チケットがアッという間に売り切れてしまって来られなくなった方ごめんなさい。これはケーキ作りのレシピをそのまま歌詞にしたおしゃれな曲で、映画ではカトリーヌ・ドヌーヴ演ずる王女が、恋の病にかかった王子を癒すためのケーキを作るシーンで歌われます。ロバの皮をかぶった王女の分身がレシピを読む(歌う)わけですが、実際はマリー・オペールMarie Oppertがカトリーヌ・ドヌーヴの吹き替えをしています。
このケーキを実際に作りたい人のために材料の具体的な分量を紹介しているサイトがあります。→こちら 参照して私も作ってみました。恋の病に効くかどうかは試せなかったですが



La recette du cake d'amour 愛のケーキのつくりかた
Marie Oppert       マリー・オペール


Préparez votre
Préparez votre pâte
Dans une jatte
Dans une jatte plate
Et sans plus de discours 注1
Allumez votre, allumez votre four

 用意しましょ
 生地を用意するの
 ボールに
 平たいボールのなかに
 そしてともかくも
 点火するの、オーブンを点火するのよ

cake damour1-1


Prenez de la, prenez de la farine
Versez dans la, versez dans la terrine
Quatre mains bien pesées
Autour d'un puits creux 注2
Autour d'un puits creusé

 お取りなさい 小麦粉をお取りなさい
 入れるの、テリーヌ型に入れるのよ
 手に4杯分ちゃんと量って
 真ん中にくぼみを作って
 くぼみの周りにね

cake damour2


Choisissez quatre
Choisissez quatre œuf frais
Qu'ils soient du matin faits
Car à plus de vingt jours
Un poussin sort
Un poussin sort toujours

 4個選ぶの
 新鮮な卵を4個選ぶのよ
 今朝産んだばかりのね
 だって20日以上過ぎたら
 ひよこが産まれる
 ひよこが産まれちゃうもの

cake damour3


Un bol entier
Un bol entier de lait
Bien crémeux s'il
Bien crémeux s'il vous plaît
De sucre parsemez
Et vous amalga
Et vous amalgamez

 カップ一杯
 カップ一杯のミルク
 脂肪分の多い
 脂肪分の多いミルクよ、いいですか
 砂糖をパラパラっと振り入れるの
 そして混ぜ
 そして混ぜ合わせるの

cake damour4


Une main de
Une main de beurre frais
Un souffle de 注3
Un souffle de levain
Une larme de miel 注4
Et un soupçon de 注5
Et un soupçon de sel !

 ひと握りの
 ひと握りの新鮮なバター
 サラサラっと
 イーストをサラサラっとね
 ハチミツを涙つぶほど
 それと ちょっぴり
 お塩もちょっぴりね!

cake damour5


Il est temps à
Il est temps à présent
Tandis que vous
Tandis que vous brassez
De glisser un présent 注6
Pour votre fi
Pour votre fiancé

 そのときよ
 今がそのときよ
 ちょうど
 生地を捏ねているあいだに
 滑り込ませるのよ
 あなたのフィ
 フィアンセのための贈り物を

cake damour6


Un souhait d'a
Un souhait d'amour s'impose
Tandis que la
Que la pâte repose
Graissez le plat de beurre
Et laissez cuire
Et laissez cuire une heure.

 願いが
 愛の願いが込められるの
 生地を寝かせている
 あいだに
 型にバターを塗って
 そして焼くのよ
 1時間焼くのよ。

cake damour7


[注]
1 discours「無駄話」sans plus de discoursは「ともあれすぐに」といった意味合い。
2 Autour d'un puits creux「井戸型」山高に盛った小麦粉の中央にあけたくぼみ
3 souffleは「息」。un souffle deは「ひと吹き」つまり、パラパラっと振りかけるニュアンス。
4 larme「涙」une larme de「(液体)の一滴」
5 soupçon本義は「疑惑」だが、un soupçon de「少量の」
6 présent「プレゼント」は映画では「指輪」である。



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2019
01.27

心得るべきはIl faut savoir

Charles Aznavour Il faut savoir


シャルル・アズナヴールCharles AznavourのIl faut savoirという曲は、失恋した時に人がとるべきいさぎよい振る舞いをいろいろ述べ、だが君をあまりにも愛している僕にはそれができない、といった内容です。邦題は「それがわかれば」とされていますが、「わかれば」ではなくて「わかってはいるができない」のです。savoirは本来「知っている、わかる」という意味の動詞ですが、不定詞とつながった場合は、「…できる能力を備えている、すべを心得ている」といった意味合いです。アズナヴールは英語でYou've got to learnと歌っており、英語のlearnに当たります。ということで邦題は「心得るべきは」としました。
1961年の同名のアルバムに収録されています。

65年


ジョニー・アリディJohnny Hallydayと



Il faut savoir    心得るべきは
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール


Il faut savoir encore sourire
Quand le meilleur s'est retiré
Et qu'il ne reste que le pire
Dans une vie bête à pleurer 注1

 心得るべきはなおも微笑むこと
 最高のものが去ったとき
 泣きたいほどひどい人生に
 どうしようもないものしか残っていないとき

Il faut savoir, coûte que coûte, 注2
Garder toute sa dignité
Et, malgré ce qu'il nous en coûte, 注3
S'en aller sans se retourner

 心得るべきは、いかなる犠牲を払おうと、
 誇りを保つこと
 そして、たとえそれが辛かろうと、
 踵を返さずに立ち去ること

Il faut savoir1


Face au destin, qui nous désarme,
Et devant le bonheur perdu,
Il faut savoir cacher ses larmes
Mais moi, mon cœur,je n'ai pas su

 士気を削ぐ運命と向き合い、
 失った幸せを前にして、
 心得るべきは涙を隠すこと
 だが僕は、僕の心は、できなかった

Il faut savoir quitter la table
Lorsque l'amour est desservi
Sans s'accrocher, l'air pitoyable,
Mais partir sans faire de bruit

 心得るべきはテーブルを離れること
 恋の料理が下げられたとき
 哀れな態度で居座らずに、
 静かに席を立つことだ

Il faut savoir cacher sa peine
Sous le masque de tous les jours
Et retenir les cris de haine
Qui sont les derniers mots d'amour

 心得るべきは平生の仮面の下に
 苦しみを隠すこと
 恋の終わりの言葉としての
 憎しみの叫びをこらえること

Il faut savoir2


Il faut savoir rester de glace 注4
Et taire un cœur qui meurt déja
Il faut savoir garder la face
Mais moi je t'aime trop

 心得るべきは冷静なままでいること
 すでに息絶えた心に語らせないこと
 学ぶべきは面目を保つこと
 だが僕は、僕の心は、君を愛しすぎている

Mais moi je ne peux pas
Il faut savoir
Mais moi je ne sais pas

 だが僕には無理だ
 心得るべきだ
 だが僕にはできない

[注]
1 bête à pleurer「泣きたくなるほど愚かしい」
2 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
3 en coûter「費用がかかる」「(…にとって)つらいことである。」の2義。ここでは後者。
4 de glace「冷淡な、無感動の」



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2019
01.20

バルバリーBarbarie

Léo Ferré Le Temps des roses rouges


レオ・フェレLéo Ferréが作詞・作曲した「バルバリーBarbarie」という曲があります。ちょっとわらべ歌を思わせるようなメロディーのワルツで、歌詞内容も大人のためのわらべ歌(形容矛盾ですが…)って感じ。barbarieは一般名詞としては「粗野、野蛮」といった意味ですが、この曲では呼び名です。そういえばバルバラBarbaraの歌を歌うバルバリーBarbarieという歌手がいますね。この曲は1950年に録音され、1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferré に収録され、後年2000年のアルバム:Le Temps des roses rougesに収録されました。このCDアルバムはフェレがピアノで弾き語りしているいい曲がずらっと入っていてお勧めです。そのうち「潜水夫の歌La Chanson du scaphandrier」「ムッシュ・ウィリアムMonsieur William」「芸術家の人生La vie d'artiste」「サン=ジェルマン=デ=プレでÀ Saint-Germain-des-Prés」「サン=ルイ島L'Île Saint-Louis」はすでに取り上げました。ほかの曲も今後少しずつ取り上げていきましょう。

レオ・フェレLéo Ferré



カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageはミッシェル・ルグラン・オーケストラMichel Legrand Orchestraをバックに歌っています。



そしてバルバラBarbaraも。



Barbarie  バルバリー
Léo Ferré   レオ・フェレ


Dans la rue anonyme,
Y a partout des Jésus
Qui vont quêter leur dîme
Avec des yeux battus.
Barbarie, donne lui quelques sous.
Barbarie, ose cet air aigre doux. 注1
Barbarie, après tout, je m'en fous.

 ごくありきたりの通りに
 あちこちにイエスがいて
 おどおどした目をして
 お布施を集めている。
 バルバリー、彼に何スーかおやり。
 バルバリー、とげとげしくも優しいそんな態度をおとり。
 バルバリー、ともかく、俺にはどうでもいい。

Dans la rue où l'on pèche, 注2
Y a des filles d'amour
Qui mettent leur chair fraîche
A l'étal des carrefours.
Barbarie, garde donc ton écu.
Barbarie, c'est toi qui l'a voulu.
Barbarie, le remède est connu.

 ひとが猟色する通りに、
 娼婦たちがいて
 若々しい体を
 四つ角の陳列台に並べている、
 バルバリー、お前の銀貨をお取り。
 バルバリー、それを欲しがったのはお前。
 バルバリー、手立ては知ってのとおり。

Barbarie1.jpg


Dans la rue à nausée,
Y avait un assassin
Qui donna la saignée
Au galant pèlerin.
Barbarie, ce fut accidentel.
Barbarie, en sortant de l'hôtel,
Barbarie, le péché fut mortel.

 吐き気をもよおす通りに
 人殺しがいた
 そいつは慇懃な巡礼者に
 血を流させた。
 バルバリー、それは偶発的なことだった。
 バルバリー、ホテルを出て、
 バルバリー、犯罪は致命的だった。

Dans la rue infernale
Qui nous mène au sapin, 注3
Lave ton linge sale
Mais prend garde aux pépins.
Barbarie, si tu veux de l'amour,
Barbarie, méfie toi des discours.
Barbarie, le bonheur est si court.

 俺たちを棺桶にみちびく
 地獄のような通りで、
 お前の汚い下着を洗うんだ
 でも厄介ごとには気をつけろ。
 バルバリー、お前が恋を望んでいたら、
 バルバリー、おしゃべりには用心しろ。
 バルバリー、幸せはつかの間だ。

Barbarie2.jpg


[注]
1 aigre-douxとつなげて1語の形容詞としても用いられる。「甘酸っぱい」「優しそうでとげを含んだ」
2 pècher「(宗教上の)罪を犯す」「(魚を)釣る」の二つの意味があり、ここでは両者をかけているようだ。
3 sapin「モミの木」はクリスマスツリーに用いられる木だが、「棺桶」の材料でもあり「棺桶」そのものをも意味する。




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2019
01.06

リベルタンゴMoi, je suis tango, tango

Guy Marchand Moi, je suis tango, tango


一昨日、映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴAstor Piazzolla inédito/Piazzolla, The Years of the Shark」を見ました。最終日でやたら混んでいました。アストル・ピアソラAstor Piazzollaに関心のある人がこれほどいたとは…。一人の人間としてピアソラを捉えたドキュメンタリー映画なわけですが、ミーハーならぬミーバーの私としてはただただ、片膝に乗せたバンドネオンを演奏しているピアソラのかっこよさにゾクゾクするばかりでした。慾を言えば、曲名を逐一テロップで出して欲しかったなと。邦題の「リベルタンゴ」とは1974年の彼の名曲の曲名Libertangoで、libertad「自由」とtango「タンゴ」と合わせた造語。ピアソラのタンゴ革命そのものを表します。
ピアソラの曲でフランス語で歌われている曲はこのブログですでにいくつか取り上げています。「忘却J'oublie(Oblivion)」「チェ・タンゴ・チェChe tango che」「ブレヒトとブレルの間でEntre Brecht et Brel」です。また、ピアソラへのオマージュであるクロード・ヌガロClaude Nougaroの「ヴィー・ヴィオランスVie violence」も。
「ピアソラ音の出る図書館」というブログに、ピアソラとその音楽に関する情報が多く載せられていますので、興味のある方はご覧下さい。



その名曲Libertangoにフランス語の歌詞をつけて、1975年にギィ・マルシャンGuy Marchandが歌いました、Moi, je suis tango, tangoというそのタイトルは、直訳すると「僕はタンゴだ、タンゴだ」ということになりますが、邦題は原曲通りの「リベルタンゴ」といたします。ギィ・マルシャンは「運命Destinée」という曲を先に取り上げています。



1981年にグレイス・ジョーンズGrace JonesがI've Seen That Face Beforeというタイトルで英語で歌いました。



そして2007年にはジュリー・ゼナッティJulie Zenattiもフランス語で(Tango) Princesseというタイトルで歌っています。



Moi, je suis tango, tango  リベルタンゴ
Guy Marchand       ギィ・マルシャン


{Refrain :}
Moi je suis tango, tango
J'en fais toujours un peu trop
Moi je suis tango, tango
Je ne connais que des rimes en o 注1
Moi je suis tango, tango
J'ai cette musique dans la peau
Moi je suis tango, tango
Elle me glace jusqu'aux os 注2
Moi je suis tango, tango
Je l'étais dans mon berceau
Moi je suis tango, tango
Je le serai jusqu'au tombeau
Moi je suis tango, tango
Toutes les femmes sont des roseaux 注3
Moi je suis tango, tango
Que je plie dans un sanglot 注4

 僕はタンゴ、タンゴ
 いつもちょっとやりすぎさ
 僕はタンゴ、タンゴ
 Oで韻を踏むことしか知らない
 僕はタンゴ、タンゴ
 この音楽を皮膚の内側に持つ
 僕はタンゴ、タンゴ
 この音楽は骨の髄まで僕を凍らせる
 僕はタンゴ、タンゴ
 揺りかごにいた時からそうだった
 僕はタンゴ、タンゴ
 墓に入る時までそうだろう
 僕はタンゴ、タンゴ
 女たちはみんな葦だ
 僕はタンゴ、タンゴ
 嗚咽のうちに手折る葦だ

{Refrain}

Astor Piazzolla2


J'aime...
Dire "je vous aime" 注5
Même...
Si c'est un blasphème
J'aime dire
"Je t'aimerai toujours"
Même si...
Ça ne dure qu'un jour

 僕は…
 言いたい「あなたを愛している」と
 たとえ…
 もしもそれが冒涜だとしても
 僕は言いたい
 「君をずっと愛すだろう」と
 たとえもしも…
 それが1日しか続かなくても

Même si...
Je n'ai jamais eu d'humour
Il ne m'en faut pas
Pour te faire l'amour
Je te serai
Toujours fidèle
Comme je le suis
A Carlos Gardel 注6

 たとえもしも…
 僕にまったくユーモアのセンスがなくても
 君を愛するのに
 そんなの必要ない
 僕は君にいつも貞節だろう
 カルロス・ガルデルに対して
 そうであるように

{Refrain×2}

Astor Piazzolla1


[注]
1 tangoを含め、ルフラン部分はすべて‘O’で韻を踏んでいる。
2 elleは前々行のcette musique。すなわちtangoのことだが、tangoは男性名詞。
3 roseau「葦」。フランスの哲学者、自然哲学者であったブレーズ・パスカルBlaise Pascalの「パンセPensées」(1670年)に書かれていた有名な言葉は人間を葦に例えている。L’homme n’est qu’un roseau, le plus faible de la nature; mais c’est un roseau pensant. 「人間はひとくきの葦にすぎず、自然の中で最も弱いものである。しかし、考える葦である」これは、人間は葦のようにひ弱なものであるが、考えるという点で優れている」という事を示している。
4 queの先行詞は前々行のdes roseaux。繰り返されるMoi je suis tango, tangoはいわば合いの手で、それ以外の部分が文脈的につながっている。
5 ピアソラの立場に立った歌詞で、ルフランでは自分がタンゴそのものだと言い、ここでは、vous「あなた」tu「君」すなわちタンゴに愛を語っている。…と解釈する。
6 Carlos Gardel「カルロス・ガルデル」(1890年-1935年)は不世出のタンゴ歌手として知られるアルゼンチンの歌手・作曲家・俳優で、その人気の絶頂期に飛行機事故で急逝した。ここでは昔からのタンゴの代名詞として彼の名を出している。代表曲「想いの届く日El día que me quieras」は彼の末年1935年に主演した同名の映画の主題曲として彼が作曲したが、その映画に少年の頃のピアソラが端役で出演している。


Astor Piazzolla3




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2019
01.02

モントーバンの火Flambée montalbanaise

明けましておめでとうございます。今日は書き初めの日なので1曲取り上げます。去年から引きずっていた厄介な曲なので「恥かき初め」となりそうですが…。

André Minvielle Flambée montalbanaise


ギュス・ヴィズールGus Viseurが作曲し演奏した「モントーバンの火Flambée montalbanaise」はミュゼットの名曲とされる曲で、聴くだけでゾクゾクしてきます。彼はベルギー生まれで、あらゆるジャンルのミュゼットをこなし、初めてジャズを演奏したアコーデオン奏者。ジプシー系ギタリストのジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtとも共演し、エディット・ピアフÉdith Piaf の伴奏も務めました。



Montalbanは、南仏のオック語で「柳の生える丘」を意味する地名(フランス語ではモントーバンMontauban)で、13世紀後半より、ラングドック地方Languedocとアキテーヌ地方Aquitaineを結ぶ交通の要衝として繁栄しました。そして17世紀初め頃はプロテスタントのカルヴァン派ユグノーの根拠地となっていましたが、1621年に、年若きルイ13世がここを崩落させようと包囲し、脅しのために城壁に400発もの砲弾を浴びせましたが効を奏せず、3ヵ月後国王軍は断念し撤退しました。「モントーバンの400発Les quatre cents coups de Montauban」と呼ばれるエピソードです。これが、トリュフォーFrançois Roland Truffautの映画「大人は判ってくれないLes quatre cents coups」(1959年)のタイトルのように、無鉄砲な行動を意味する言葉となりました。

Montauban1.pngこの曲が生まれたのは第2次世界大戦中の1940年、すなわちナチス・ドイツのフランス侵攻とパリ陥落の年。モントーバンは、ヨーロッパ北部から逃れてきた何十万人もの人々の終着点となりました。モントーバンは画家ドミニク・アングルJean-Auguste-Dominique Ingresの生地で別名「アングルの町la Cité d'Ingres」とも呼ばれますが、レオナルド・ダ・ヴィンチLéonard de Vinciのモナ・リザMona Lisaをはじめ、ルーヴルLouvreやヴェルサイユのミュゼmusée de Versaillesの芸術作品の数々も、モントーバンのアングル美術館musée Ingresのなかにかくまわれました。
flambéeは「焚き火、燃える火」のことで、この曲は第2次世界大戦でモントーバンが戦火に見舞われたことを題材にしているといわれますが、そのような記録はなく、また上に見てきたように、モントーバンは1621年にも1940年にも、人々を護りとおした町であるという実績を持ちます。「人々の心を燃やす熱い炎」という意味ではないかと私は勝手に思っています。

これに歌詞をつけてアンドレ・マンヴィエイユAndré Minvielleが1990年に歌いました。彼はパーカッショニストであり、フランス語とオック語にスキャットもまじえて歌うユニークな歌手でもあり、2008年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック賞の最優秀ジャズヴォーカリストに選ばれました。この歌詞はギュス・ヴィズールの音楽活動に対するオマージュ的な内容ですが、正直なところチンプンカンプン。これで精一杯というところで出させていただきます。ほんと、自動翻訳かと思えるような訳文ですが、後日、理解が深まったら適宜修正いたします。



Flambée montalbanaise  モントーバンの火
André Minvielle      アンドレ・マンヴィエイユ


※元の歌詞はもっと細かく行を分けていますが、言葉を詰め込んだ早口の歌唱と照合しやすいようにフレーズに合わせてまとめなおしました。

Oyez la mélodie le fond du soir un café 注1
Écoutez, c'est le blues du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach 注2
Pour une chanson, pucelle aux ailes déployées,
Rame, langue albatros, pique et trame au papier le cap et la falaise, balèze ! 注3
J'écoutais Montalbanaise une envolée de braises,
Noyé, je m'eau de vie-gueur Viseur au cœur, liqueur sœur, 注4
A cloche-pieds, cigarette, une bouffée volée yé
Au vent de la postérité.  注5

 聴け!メロディーを夜更けにカフェで
 聴けよ、それはブルースだ 隅っこでギュスがアコーデオンで演奏している バッハがやるように
 ひとつの歌のため、広げた羽を持つ処女、
 怠惰、アルバトロスの言葉、皮肉と紙上のたくらみ突端と断崖、どでかい!
 俺はモントーバンの曲を聴いた真っ赤な火の湧出、
 溺れる、俺は火の酒にど真ん中をねらう奴ヴィズール、酒は妹分
 片足飛び、たばこ、ひと息吐いて、イエィ
 後世の風上に。

Allez vas-y va, chaloupe ta mélopée ma chanson de café,
Charlie passe Parker, et l'Gus au biniou souffle aussi comme black au sax. 注6
Si le be-bop à valser devait sceller vos nuits,  注7
Blues et polka piquée, temps, tu nous réconcilies, m'entends-tu d'accordéon ? 注8
Monteille c'était tout petit le paradis d'été 注9
Sambapathie, dada plouc, on ramait bal d'amour flou 注10
Mais un souffle est dévoilé, une poussée bleue, d'envie,
M'accroche au cœur thank you Viseur.

 行け、それ行け、君の曲はボート 僕のカフェの歌を乗せ、
 チャーリー行けパーカー、そしてギュスもアコーデオンを吹き鳴らす サックスの黒人のように。
 ワルツを踊るのにビバップがあんた方の夜を封じるというのなら
 ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々を融和させる 君は僕の歌にアコーデオンを聴くかい?
 モンテイユ、それはちっぽけな夏の楽園だった
 サンバもどき、田舎っぺの十八番 ゆるやかな愛でダンスホールを漕ぎ渡った
 だが、ひとつの息吹が姿を現した、羨望の青い高まりが、
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

Gus viseur


Et ceux, les "griffe le temps" ont mis les doigts de cordes,
Apaches et Django Mississippi Didi guitare aussi m'a dit 注11
Et Paris loue, Paris prie, le tango bord de Marne
Chavire la valsouze intemporelle et blues 注12

 そして彼ら、「時をひっかく人たち」は弦に指を置く、
 アパッチそしてジャンゴ、ミシシッピ、ディディ、ギターは僕に語る
 そしてパリは賞賛し、パリは祈る、マルヌ川沿いのタンゴは
 時を越えたワルツとブルースを転覆させる

Goutte à goutte ces divines My Lady valsées,
Filles et femmes tam-tam au fil du temps funambules et modernité, 注13
Comme on jette à l'eau du calme un caillou ricochet,
Par ondes d'ondes là passe-passe l'écho des papis d'au-delà du top. 注14
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,  注15
Comme un souffle dévoilé, Une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.

 すこしずつこれらの女神たちマイレディーは放り出され、
 娘たちや女たちのタムタム 時の流れとともに綱渡りと現代性と、
 静かな水に投げ込むように跳ね返る小石
 波の波の手品のような頂点を越えたじいさんたちのエコー。
 メロディーを目覚めさせろ、カフェの歌、
 フランスのボップをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
 ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

André Minvielle


{instrumental+scat}

Oyez la mélodie Le fond du soir un café
Écoutez, c'est du coin l’Gus y joue du biniou comme fait Bach
Si le be-bop à valser devait voler vos nuits,
Blues et polka piquée temps, tu nous réconcilies m’entends-tu d’accordéon ?
Réveillez la mélodie, la chanson des cafés,
Vocalise la bob french, scat et valsez one more, d'oc,
Comme un souffle dévoilé, une poussée bleue d'envie,
Accroche au cœur thank you Viseur.

 聴け!メロディーを夜更けにカフェで
 聴けよ、隅っこでギュスが演奏しているアコーデオンでバッハがやるように
 ビバップダンスが君たちの夜を盗むなら
 ブルースとスタッカートポルカ 今こそ、君は我々と折り合う 君はアコーデオンで僕の声を聴くか?
 目覚めさせろメロディーを、カフェの歌を、
 フランスのボブをヴォカリーズ、スキャットとワルツをもう一度、オック語で、
 ひとつの息吹が姿を現し、羨望の青い高まりが、
 僕の心に引っかかる ありがとう、ヴィズール。

[注]
1 Oyez(=oyes) 古期フランス語で「聞け!, 謹聴!, 静粛に! 」法廷の廷吏や伝令使が通例で3度連呼する。
2作曲者のギュス・ヴィズールGus Viseurのgusは一般名詞として「兵士、あいつ」の意味。biniou「バグパイプ」は「ラッパ」も「アコーデオン」も意味する。
3 rameは「櫂」のほかに「怠惰」。albatros「あほうどり」はドイツ軍の戦闘機の名称でもある。piqueは「槍」のほかに「辛らつな言葉、皮肉」。trameは「横糸、骨組み、脈絡」のほかに「陰謀」。balaize(=balèze, balès)「でっかい、たくましい、力強い、」
4 eau-de-vie「ブランデー」のvieをvigueur「力強さ、活力」に変えて意味をより強めた造語のようだ。ギュス・ヴィズールGus Viseurのviseurは一般名詞として「狙撃者」の意味。liqueur は女性名詞なので「親密な者」の意味でsœur「姉妹」としたのか。
5 postérité「後世」のau vent「風上」に立つ、すなわち後世に影響を与えた。
6 Charlie Parker「チャーリー・パーカー」はアメリカの黒人アルトサックス奏者。passeが間に入っているのが意味不明。
7 be-bop「ビバップ」(英語)1940年代から発達したモダンジャズの演奏形式とそれに合わせて踊るダンスのこと。ギュス・ヴィズールは50年代にビバップを演奏していたという。
8 polka piquée「スタッカートポルカ」。tu「君」はギュス・ヴィズールであろう。
9 Monteilleノルマンディー地域圏、カルヴァドス県に属するコミューン。モントーバンからはほど遠い地。
10 sambapathie=samba+sympathie「サンバもどき」と訳した。dada「ダダイズム」のほかに幼児語の「お馬さん」、話し言葉の「固定観念、十八番」の意味もある。
11 Apaches「アパッチ族」が本義だが、大都会特にパリの「ならず者、無頼漢」の意味もある。Django Reinhardt「ジャンゴ・ラインハルト」は、ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィングの創始者として知られるギタリスト。Mississippiはアメリカ合衆国南部の「ミシシッピ州」。B.B.キングB. B. Kingやエルヴィス・プレスリー Elvis Aron Presleyの出身地。Didiはステファン・グラッペリStéphane Grappelliの影響を受けたというヴァイオリニストのディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodか?
12 valsouze=valse+blues ?
13 tam-tam「タムタム」アフリカの太鼓。
14 passe-passe「手品」。papa→papi「おじいさん」(mama→mamie「おばあさん」)。topは英語。
15 vocaliser「母音唱法で歌う」。辞書にはbobという語が4つあった。「ボブスレー」「釣鐘型帽子」「シリング貨幣、ドル」「さいころ」の意味で、すべて男性名詞なので該当しない。


Montauban2.jpg



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2018
12.14

あなたがいないとSans vous

Alice Dona Mes petites madeleines


アリス・ドナAlice Donaとセルジュ・ラマ& Serge Lamaは、「恋に病んでJe suis malade」の作曲者と作詞者であり、それぞれ歌っていますが、二人がデュオで歌っているすてきな曲を今回ご紹介しましょう。Sans vousという曲です。直訳して「あなたがいないと」という邦題をつけました。そういえば、「恋に病んで」も我流の邦題でした。
作詞:アリス・ドナAlice Dona、作曲:ポール・ミスラキPaul Misraki。アリス・ドナの2013年のアルバム:Mes petites madeleinesに収録されています。

YouTubeに既存の動画がなかったので自分で作って出しました。



Sans vous            あなたがいないと
Alice Dona & Serge Lama  アリス・ドナ&セルジュ・ラマ



Sans vous plus rien ne sourit,
le ciel fait la moue, 
注1
le monde est morose.
Sans vous s'effeuille les roses
et l'oiseau se meurt d'ennui.

 あなたがいないと何も微笑みかけてくれない、
 空はふくれっつらをし、
 世界はむっつりする。
 あなたがいないとバラは花びらを散らし
 小鳥は退屈で死んでしまう。


Sans vous la plus belle nuit,
c'est un tout à coup,
le charme s'achève.
Sans vous s'efface mes rêves
et tout mon bonheur s'enfuit.

 あなたがいないと この上なく美しい夜だって、
 たちまち、
 その魅力が潰える。
 あなたがいないと僕の夢は消え
 僕の幸せはすべて逃げ去る

Alice Dona Serge Lama1


Votre voix, vos yeux, vos sourires,
pour moi signifient le bonheur
et l'amour ne veut plus rien dire
sans votre image dans mon cœur.


 あなたの声、あなたの瞳、あなたの微笑みは、
 僕には幸せの象徴なんだ
 そして愛はもう何も語ろうとはしない
 私の心のなかのあなたのイメージがなければ。


Sans vous plus rien ne sourit,
je suis las de tout,
le monde est morose.
Sans vous s'effeuille les roses
et l'oiseau se meurt d'ennui.

 あなたがいないと何も微笑みかけてくれない、
 僕はすべてにうんざりし、
 世界はむっつりする。
 あなたがいないとバラは花びらを散らし
 そして小鳥は退屈で死んでしまう。

Sans vous, la plus belle nuit
c'est un tout à coup,
le charme s'achève.

Sans vous s'effacent mes rêves
et tout mon bonheur s'enfuit.
 
 あなたがいないと、この上なく美しい夜だって
 たちまち、
 その魅力が潰える。

 あなたがいないと僕の夢は消え
 僕の幸せはすべて逃げ去る。

Alice Dona Serge Lama3


J'écoute le vent qui pleure,
j'entends partout votre voix,

sans fin je compte les heures
quand vous êtes loin de moi.
 
 泣いている風の音を聴くわ、
 あちらこちらにあなたの声が聴こえるのよ、

 僕はいつまでも時を数える
 あなたが遠いところにいるときは。

Sans vous, tout bas je redis,
les mots les plus doux,

mais nul ne m'écoute.
Sans vous j'ai perdu ma route,
je vous cherche en vain partout,
 
 あなたがいないと、私はそっと繰り返す、
 一番すてきな言葉を、

 でも誰も僕の声を聞いてくれない。
 あなたがいないと僕は道に迷ってしまう、
 私はむなしくあなたをあちこち探すわ、

Car,
je ne suis plus rien
sans vous, 注2
Sans vous  

 だって、
 私はもう駄目なの、
あなたがいないと、
 あなたがいないと

[注]
1 ネット上に出ている歌詞はすべてfait la mouとなっているが、mouは「柔らかいもの、(食肉用の)肺、脳みそ」を意味する男性名詞であり、「口をとがらすこと」を意味する女性名詞moueの間違いであろう。faire la moueは「ふくれっつらをする」という成句。
2 n’être rien「無価値である、無力である」




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2018
12.05

大きくならないでGrandis pas

Michel Polnareff Enfin


昨年末にデビュー51年の総決算として、ほぼすべてのスタジオ録音と未発表音源を含む全430曲を収録した23枚組のCDをリリースしたミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffが今年11月30日に新譜のアルバムを出しました。1990年の「カーマ・スートラKâmâ Sutrâ」以来28年ぶりということで、タイトルもEnfin!(ついに!)です。発売に先立ち同アルバムより1曲だけフルコーラスで動画配信されています。「大きくならないでGrandis pas」という、わが子の成長に対する親の思いを表現した曲。作詞・作曲はもちろんポルナレフ自身。情報とリクエストをいただき、取り上げます。



Grandis pas   大きくならないで
Michel Polnareff ミッシェル・ポルナレフ


Grandis pas, n'oublie pas
Ce que tu sais
Grandis pas, t'es déjà
Ce que tu es
Chaque centimètre

Est comme un kilomètre
Ne laisse pas le temps
Faire de tes pas ceux d'un géant

 大きくならないで、忘れないで
 君が分かっていることを
 大きくならないで、君はすでに
 君そのものなんだ
 1センチずつが

 まるで1キロメートルのよう
 時間に
 君の歩みを巨人の歩みにさせないで

Laisse tes jouets, rester là
Que près de toi
Laisse ton prince, ne quitte pas 注1
Ce royaume là
Dis-moi qu'tu nous aimes
Avec des poèmes
Apprends de ma main
Allons marcher dans tes dessins

 君のおもちゃを、そこに残して
 君のそばに
 君の王子様を残しておいて、去らないで
 この王国を
 僕たちを愛していると言って
 詩心をもって
 僕の手で学び
 君のデッサンのなかを歩きに行こう

Grandis pas1


Et quand tu te tenais
À moi face à l'inconnu
J'aimais tellement te rassurer
Maintenant c'est moi qui suis perdu
Ma main
Ma main sans ta main

 そして君が
 僕の手につかまって知らない人に会ったとき
 僕はどれほど君を安心させたかったことか
 今じゃ迷子になったのは僕だ
 僕の手
 君の手をなくした僕の手

Quand ils parlent
Laisse les grands
Seuls dans leur monde
Ne vise pas ton enfance 注2
À la fronde
Ne va pas où les songes 注3
Deviennent des mensonges
Ne quitte pas ton lit
Pourquoi devient-il si petit ?

 大人たちが話しているときは
 彼らの世界に
 放っておくんだ
 君の幼年期を
 パチンコ玉の標的にするな
 空想が空言になってしまうところには
 行くんじゃない
 君のベッドを離れるな
 ベッドはなぜこんなに小さくなったんだろう?

Garde l'âge des nuages
Tendres et légers
Ce visage, paysage
Tellement parfait
Fais attendre cet homme 注4
Cet homme qui est en toi
Qui nous séparera
Malgré toi, malgré nous
Malgré moi

 優しく軽やかな
 雲のような年ごろを保つんだ
 こんなにも完璧な
 この面影、風景は
 その男を待たせる
 君のなかにいるその男を
 彼は私たちを引き裂くだろう
 君の意に、僕たちの意に
 僕の意に反して

Et quand tu te tenais
À moi face à l'inconnu
J'aimais tellement te rassurer
Maintenant c'est moi qui suis perdu

Ma main
Ma main sans ta main

 そして君が
 僕の手につかまって知らない人に会ったとき
 僕はどれほど君を安心させたかったことか
 今じゃ迷子になったのは僕だ

 僕の手
 君の手をなくした僕の手

Grandis pas4


Et si on se ressemble
C'est de grandir ensemble
Attrape ma main
Allons marcher dans tes dessins

Grandis pas
Grandis pas

 そしてもし僕たちが似ているとしたら
 それはいっしょに大きくなるからだ
 僕の手につかまって
 君のデッサンのなかを歩きに行こう

 大きくならないで
 大きくならないで

[注]
1 ton prince「君の王子様」とあるので、この子は女の子かと思ったが、「君の王子様のような様子」ともとらえられるし、あとで男の子の用いる玩具のfronde「ぱちんこ」(注2)が出てくるので男の子と判断した。
2 石を飛ばす玩具のfronde「ぱちんこ」でton enfance「君の幼年時代」をviser「ねらい撃つ」つまり「幼年時代をやっつける」こと。それを否定している。
3 songe「夢想、空想」とmensonge「嘘」が韻を踏んでいるので、訳語は1文字を合わせ「空想」と「空言(そらごと)」とした。
4 cet homme qui est en toi「君のなかにいるその男」とは、「君が将来なるはずの男」という意味だろう。注1の判断がこれで確定した。



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2018
11.25

家族のスキャンダルScandale dans la famille

Dalida Scandale dans la famille


ダリダDalidaが歌った「家族のスキャンダルScandale dans la famille」は、もともと、ジャック・ターナーJacques Tourneurがシャロット・ブロンテCharlotte Brontëの小説「ジェーン・エアJane Eyre」をもとに(内容は全く異なるが)制作したアメリカ映画「私はゾンビと歩いたI Walked with a Zombie」(1943年。フランス語のタイトル:Vaudou)のためにサー・ランスロットSir Lancelotが作詞・作曲し映画の中で歌ったShame and Scandal in the Familyというカリプソcalypsoスタイルの曲です。
その後、アレンジを加えられたり、翻案されたりして世界中で歌われヒットしました。
ダリダDalidaの歌ったフランス語版は1965年にモーリス・テゼMaurice Tézéが作詞。サッシャ・ディステルSacha Distelなども歌いました。ダリダはイタリア語でも歌っています。
11月10日の《大阪ヴォーカルコンクール》で大西千夏さんが「オーパパ」と題して日本語で歌い、歌唱賞を受賞しました。

カリプソは20世紀に生まれた音楽のスタイルのひとつで、アフリカ人奴隷たちがお互いに言葉が通じず音楽でコミュニケーションをしたのが始まりで、イギリス領、フランス領のカリブの島々、特にトリニダード・トバゴTrinidad and Tobago(フランス語ではTrinité-et-Tobago)のカーニバルで発達し、レゲエのルーツの一つとなりました。トリニダード・トバゴは23の島々からなり、その主島トリニダード島Trinidadの名前が歌詞に出てきます。ちなみに、日本でも有名になったハリー・ベラフォンテHarry Belafonteの「バナナ・ボートBanana Boat Song」はトリニダードの労働者がバナナを船に積み込むときに歌う労働歌を元に作られた曲で、ジャマイカ民謡のメントの曲ですが、当時のアメリカではメントの知名度が低く、より有名なジャンルであるカリプソとして売り出されたそうです。どんどんわき道に逸れていきそうなのでこれくらいに。

ダリダ




サッシャ・ディステル



Scandale dans la famille 家族のスキャンダル
Dalida            ダリダ


Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

À Trinidad, tout là-bas aux Antilles 注1
À Trinidad vivait une famille

 アンティル諸島の、トリニダードに
 トリニダードに、ある家族が住んでいた

Scandale3.jpg


La mama et le papa et leur grand fils aîné
Qui à 40 ans n'était pas encore marié
Un jour il trouva la fille qu'il voulait
Il dit à son père : "Je voudrais l'épouser"
Hélas mon garçon, hélas tu n'peux pas
Car cette fille est ta sœur et ta mère ne le sait pas

 ママとパパとお兄ちゃん
 彼は40歳でまだ未婚
 ある日彼は好みの娘を見つけた
 彼は父親に言った「彼女と結婚したい」と
 アアお前、アアそれはできないよ
 だってこの娘はお前の妹だ ママは知らないが

Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

Scandale1-2.jpg


À Trinidad, tout là-bas aux Antilles
À Trinidad, woh woh quelle famille

 アンティル諸島の、トリニダードに
 トリニダードに、ウォーウォーどんな家族が

Deux ans passèrent puis le garçon un soir
Vînt trouver son père et lui dit plein d'espoir
La maîtresse d'école veut bien m'épouser
Mais le pauvre père prit un air accablé
Mon fils tu n'peux pas, tu n'peux pas faire ça
Car cette fille est ta sœur et ta mère ne le sait pas 注2

 2年が経ち息子はある晩
 父親をつかまえて期待を込めて言った
 学校の先生が僕と結婚したいってさ
 でも哀れな父親は困った様子
 お前、ああそれはできないよ
 だってこの娘はお前の姉だ ママは知らないが

Waoh papa !
Quel malheur, quel grand malheur pour moi
Waoh papa !
Quel scandale si maman savait ça

 オーパパ!
 なんという不運、僕にとってなんという大きな不運
 オーパパ!
 なんというスキャンダル、もしママが知ったら

À bout de patience, il courut écœuré
Raconter à sa mère toute la vérité
La mère se mit à rire et lui dit : "Ne t'en fais pas !" 注3
Ton père n'est pas ton père et ton père ne le sait pas 注4

 たまらなくなり、彼はがっかりして
 母親に真実を全部告げに走った
 母親は笑って言った「心配しないで!」
 父さんはおまえのお父さんじゃなくて父さんはそれを知らないのよ

Scandale5.jpg


Waoh mama !
Quel bonheur, quel grand bonheur pour moi
Waoh mama ! quel scandale, si papa savait ça
Waoh mama ! quel scandale, si papa savait ça
Waoh mama ...

 オーママ!なんという幸運、僕にとってなんという大きな幸運
 オーママ!なんというスキャンダル、もしパパが知ったら
 オーママ!なんというスキャンダル、もしパパが知ったら
 オーママ…

[注] タイトルおよび歌詞中のscandaleはスキャンダルとカナで書くともっぱら「醜聞」の意味となるが、フランス語としては「ひんしゅく、物議、大問題」などの意味合いももつ言葉。ここでは「大問題」くらいがふさわしいのだが、「スキャンダル」のほうが言葉として面白いのであえて用いた。
1.Antilles「アンティル諸島」は中央アメリカに位置し、西インド諸島の主要部を構成する諸島。そのなかの小アンティル諸島のまたそのなかのウィンドワード諸島にトリニダード・トバゴTrinidad and Tobagoがあり、その主島Trinidad「トリニダード島」がある。
2 sœurは「姉」「妹」のいずれか特定できないが、先の娘を「妹」とし、la maîtresse d'école 「学校の女教師」であるこちらを「姉」としてみた。
3 s'en faire「心配する、気にする」
4 ton père はton père ではなくて、ton père はそれを知らない。1番目と3番目のton père は「あなたが父親だと思っている人」で、2番目のton père は「あなたの実の父親」。「父さん」と「お父さん」に訳し分けた。


Scandale6.jpg



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2018
11.20

彼女からのお返事D'elle à lui

Barbara La chanteuse de minuit


バルバラBarbaraが歌った「彼女からのお返事D'elle à lui」は1934年にポール・マリニエPaul Marinierが作詞・作曲した古い曲で、アンナ・チボーAnna Thibaudが創唱し、後に、イヴェット・ギルベールYvette Guilbertが歌っていました。「結婚するから俺と別れてくれ」という手紙に対する彼女からの返事。相手の男性にあらたな恋人ができて別れを持ち出された立場の曲としてまず浮かぶのは「ボン・ヴォワヤージュBon voyage」ですが、それよりずっと生々しくて、「恋は切なくEmportez mon amour」の一歩手前。相手がどんな男なのかもよく分かります。

バルバラの歌は2001年のアルバム:La chanteuse de minuitに収録されています。



D'elle à lui  彼女からのお返事
Barbara   バルバラ


Tu me dis, Léon, qu'il faut que je t'oublie,
Parce que dans quelques jours, tu vas te marier.
Ce qu'tu demandes là,
Mais c'est de la folie,
Car il y a des amours qu'on ne peut oublier.

 あんたは私に、レオン、あんたを忘れろと言うのね
 近々、あんたが結婚するからと。
 あんたの要求は、
 とんでもないことよ、
 だって忘れられない恋ってものがあるのよ。

Delle à lui7


Je te l'ai toujours dit :
Tu fus le premier homme
Qui m'ait, chaste et pure, tenue dans ses bras.
Oui, ça te fait sourire.
Ben souris, mon bonhomme,
Mais ça, c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas.

 私、あんたにいつも言っていた:
 あんたが、私を、貞節で清純な私をその腕に抱いた
 最初の男だって。
 ええ、あんたを笑わせることよね。
 さぁ笑いなさいよ、私のいい人、
 でもそれは、それはね
 女には忘れないことなの。

Ah oui, j'étais pure !
C'était ridicule.
Des choses de la vie,
J'savais rien de rien,
A ce point que toi,
Pourtant, qu'est pas un hercule, 注1
Ben, ce que tu m'faisais,
J'trouvais ça très bien.

 ああそうよ、私は清純だった!
 おかしな話よ。
 人生のいろんなことを、
 私はまったくもって分かっていなかった、
 その時は、あんたが
 英雄ヘラクレスじゃないってことを、
 ま、あんたが私にしてくれたことはね、
 私はとても快く受け止めていたのよ。

Ah ! t'aurais tout de même pas
Fait comme ce colosse
Des choses épatantes
Entre les deux repas.
Mais non, mon ami,
Non je ne suis pas rosse.
Y a tout de même des choses
Qu'une femme n'oublie pas.

 ああ!あんたはやっぱり
 この巨人のようには
 派手なことはしなかったわ
 2回の食事のあいだに。
 でもね、あんた、
 いいえ、私は性悪じゃないの。
 でもね、やっぱりあるのよ
 女には忘れられないことが。

En ce temps là, t'étais pas vêtu comme un prince.
Tu gagnais quelque chose
Comme cent francs par mois.
Quand on a le ventre creux, on a la taille mince.
J'aime pas les gros hommes,
Ben, t'étais de mon choix.
Je menais une vie sobre tout autant que rangée.

 あの頃、あんたは王子様みたいには装っていなかった。
 あんたはなにがしかは稼いでいた
 月に100フランとか。
 ひとはお腹が満ち足りないと、スリムな体型になる。
 私は太った男は好きじゃないの、
 ええ、あんたは私の好みだった。
 私は相応の質素な生活を送っていたわ。

Delle à lui1


Ah ! Tu te souviens pas de ça,
Maintenant que tu es gras !
Ce que j'en ai bouffé, d'la vache enragée 注2
Et ça c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas,
Ce qui t'empêchait pas de faire
Des p'tites bombances 注3
Et chercher ailleurs un autre bien que le tien.

 ああ!あんたは覚えていないの、
 おデブさんになっちゃった今!
 私が食うや食わずの暮らしをしていたこと
 それは
 女が忘れないことなのよ、
 そしてあんたがちょっとご馳走を食べたり
 自分のとは違うほかのいいものを欲しがるのは
 邪魔しなかったわ。

Ah ! Tu m'en as fait voir 注4
De toutes les nuances
Et tu prétendais même que le jaune m'allait bien... 注5
Et quand je pense que moi,
Moi, j'étais fidèle.
Dans la vie d'une femme, ça compte.
En tout cas, le cas est assez rare
Pour que j'me le rappelle
Et ça, c'est une chose que j'n'oublierai pas.

 ああ!あんたは私を辛い目にあわせた
 いろんな風にね
 あんたは黄色が私に似合うとさえ言い張ったわ…
 わが身を振り返るに、
 私は、従順だったわ。
 女の人生では、それって貴重なこと。
 いずれにせよ、たぐい稀なケースよ
 思い出してみるとね
 そして、それは私が忘れられないことよ。

Et le jour où je t'appris
Que j'allais être mère,
Un enfant à nous,
Mais c'était fabuleux...
Tiens :
Je l'ai ta voix, dans le creux de mon oreille :
"Ah non, pas d'enfant !
On est assez de deux !"

 そして私が母親になるだろうって
 あんたに告げた日、
 私たちの子どもよ、
 でもそれは作り話…
 ほら
 あんたの声が、私の耳に
 「ああいや、子どもはだめだ!
 僕たちは二人で充分だ!」と

Ah ! Tu te fiches bien
De ma vie, de ma souffrance,
Ce qui prouve, mon ami,
Que si t'es mufle, au fond,
C'est pas d'aujourd'jui
Que j'en fais l'expérience
Car il y a des choses
Qu'une femme n'oublie pas.

 ああ!あんたはないがしろにする
 私の人生を、私の苦しみを、
 それは示すのよ、あんた、
 あんたが実は、粗野な人間かどうか、
 それは今のことじゃない
 私がその経験をしたのは
 だってあるのよ
 女には忘れられないことが。

Delle à lui3-2


Ah ! Puis tiens, tu me rendrais méchante.
Si je remue tout ça,
C'est que j'ai tant de peine.
J'croyais qu'on vivrait toujours, tous les deux...
Mais non ! J'irai pas chez toi
Faire des scènes. 注6
Tu veux t'en aller ? Va t'en, sois heureux,

 ああ!だからさ、あんたは私を意固地にした。
 こんなこといろいろ持ち出すのは、
 とても辛いからなのよ。
 私たちはずっと二人で生きて行くと信じてた…
 でもいいえ!わたしはあんたんちに
 喧嘩を売りに行かないわ。
 あんたは行きたいの?行ってよ、しあわせになってよ、

Mais t'oublier, non.
Je t'avoue ma faiblesse.
Songeant au passé, je pleurerai parfois
Car ce temps-là, vois-tu,
C'est toute ma jeunesse
Et ça, c'est une chose
Qu'une femme n'oublie pas

 でもあんたを忘れるなんて、できない。
 私は自分の弱さをあんたにさらけた。
 昔のことを思うと、ときどき泣けてくるわ
 だってあの時代は、ねえあんた、
 私の青春のすべてよ
 そしてそれはね、
 女には忘れられないことなのよ。

[注]
1 Herculeギリシャ神話の英雄「ヘラクレス」。ここでは普通名詞として「英雄、逞しい男」の意味。次の節でce colosse「この巨人」と言い換えている。
2 manger de la vache enragée「窮乏生活を送る」bouffer=manger
3 faire bombance「ご馳走を食べる」
4 en faire voir à qn.「…を辛い目にあわせる」
5 jaune「黄色」は屈辱の色。aller bien「似合う」。
6 scèneは「舞台、シーン」が本義だが、「(現実生活の)場面」の意味に用いられ、その延長で、faire une scène / faire des scènesは「喧嘩を売る」、子どもだと「駄々をこねる」の意味に。



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2018
11.07

甘い言葉Les mots tocs

Zaza Fournier La vie à deux


今回は、以前「マドモワゼルMademoiselle」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-691.htmlを取り上げたザザ・フルニエZaza Fournierの「甘い言葉Les mots tocs」。「マドモワゼルMademoiselle」と同様、2008年のファーストアルバム:Zaza Fouriner(La vie à deuxとも呼ばれています)に収録されています。
Les mots tocsというタイトルのtocとは、もともと「こつん」といった物がぶつかる音をあらわす擬音語でしたが、「まがい物の、偽の、価値の無い」という意味の形容詞として用いられます。逆説的な意味を込めて「甘い言葉」と訳しました。最初はJe t'aimeなどと言ってもらわなくて結構よと強がりを言っていますが、それが変わっていき、最後に本音が出てきます。なかなかおもしろい歌詞ですが、口語的な言い回しが多くて訳すのはちょいとたいへんでした。



Les mots tocs  甘い言葉
Zaza Fournier  ザザ・フルニエ


Tu me dis "Je t'aime"
Je te dis "Toi même"
Je n'suis pas de celles-la
Qui disent des mots tendres
Qui se laissent prendre 注1
Par un mâle de surcroît 注2

 あなたはわたしに言う「君を愛してる」
 わたしはあなたに言う「あなたはね」
 わたしは違うのよ
 やさしい言葉を言って
 それで男にだまされる
 女たちとはね

Zaza Fournier1


Tu me dis "Je t'aime"
Je te dis "La ferme" 注3
On ne m'aura pas comme ça 注4
Aux grands sentiments
J'préfère un amant
Un de ceux qui n'parlent pas

 あなたはわたしに言う「君を愛してる」
 わたしはあなたに言う「黙ってよ」
 こんなことで私を騙せないわ
 崇高な感情よりも
 わたしは好きなの
 無口な恋人がね

J'aime pas les caresses
Et les mots qui blessent
Je les donne à qui mieux mieux 注5
Je suis pas une tendre
J'préfère les esclandres
Aux chichis des amoureux 注6

 愛撫は好きじゃないわ
 傷つける言葉を
 わたしはどんどんぶつけるの
 わたしは優しい女じゃないの
 はゴタゴタが好きなの
 恋人たちのもったいぶりよりもね

Tu me dis "J'ai mal"
Je te dis "Normal"
La vie c'est pas qu'du bonheur
On fait comme tu veux
Les yeux dans les yeux
Mais tu n'auras pas mon cœur

 あなたはわたしに言う「僕はつらいよ」
 わたしはあなたに言う「当然だわ」
 人生っていいことばかりじゃない
 あなたが望むみたいに
 みんなは目と目で見つめ合うけど
 あなたはわたしの心をつかまえられないわ

Je suis pas méchante
Juste un peu méfiante
Les poilus je connais ça 注7
Toi et ton sourire
Je vous vois venir 注8
Je ne mange pas de ce pain-là 注9

 わたしは意固地じゃない
 ちょっぴり用心深いだけ
 男たちのこと、わたしは分かってる
 あなたが微笑みを浮かべつつ
 やってくるのが見える
 わたしはそんなのいただけないわ

Zaza Fournier2


J'aime pas les poèmes
Les lettres qui traînent
Je suis pas une littéraire 注10
Les glaces à deux boules 注11
Les mélos qui coulent
Tout cet amour m'exaspère

 わたしは好きじゃないわ、詩や
 だらだらした手紙は
 わたしは文学少女じゃない
 ダブルアイスクリーム
 流れるメロドラマ
 こうした愛はみなわたしをいらだたせるわ

Je suis pas morose
J'vois la vie en rose
J'suis pas du tout déprimée
J'veux pas qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc 注12
A l'oreille toute la journée

 わたしは陰気じゃない
 バラ色の人生が見えるの
 わたしはまったく落ち込んじゃいない
 わたしは望まないわ
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを

Je suis pas morose
J'vois la vie en rose
Et je pleure toute la journée
Je veux qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc
Ou je sens que j'vais craquer

 わたしは陰気じゃない
 バラ色の人生が見えるの
 そしてわたしは一日中泣いてるの
 わたしは望んでいるの
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを
 でないと、わたし壊れてしまいそう

Zaza Fournier3


Je veux qu'on m'chuchote
Des mots bleus en toc
Ou je sens que j'vais craquer
Je veux qu'on m'bécote
Je veux qu'on m'tripote
J'veux d'l'amour à en crever (x3) 注13

 わたしは望んでいるの
 誰かが耳元で一日中
 いつわりのきれいな言葉をささやくことを
 でないと、わたし壊れてしまいそう
 誰かがわたしにキスをして欲しいの
 誰かがわたしに触って欲しいの
 わたし恋がしたいの、ものすごく

[注]
1 se laissent prendre「つかまる、だまされる]
2 de surcroît「そのうえ、おまけに」
3 La ferme=Ferme-la「黙れ」
4 avoire qn.「…を騙す」
5 à qui mieux mieux「競って、われ勝ちに」
6 chichi「気取ること、もったいぶること」
7 poilu形容詞「毛むくじゃらの」から、名詞としてhomme quelconque「平凡な男」あるいは「兵隊さん」
8 toiとton sourireでvous「あなた方」となる。
9 Je ne mange pas de ce pain-là「そんな仕事に加わるわけにはいかない」
10 une littéraire形容詞→名詞「文科系の教授(学生)、文学好き」
11•à deux boules=à trois balles「安物の」 という成句があるが、glace à deux boulesは、二つ盛られた「ダブルアイスクリーム」らしい。
12 Des mots bleus:クリストフChristopheの「青い言葉Les mots bleus」では、「青い瞳が語る言葉」だったが、ここでは「ロマンティックな、美しい」という意味合い。en toc「まがい物の」、タイトルは逆説的に「甘い言葉」とした。
13 à creverは「過度に、異常に」だが、en=de cela「そのために」があいだに入っているので、「そのために死にそうなくらい」という意味合い。




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