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2019
04.15

マドレーヌMadeleine

Jacques Brel Madeleine


前回のジャック・ブレルJacques Brelの「マチルドMathilde」の記事に「ブレルが、Mの字で始まる名前の女性に対する愛を歌った歌はあと二つあります」と書きましたが、そのひとつ「マドレーヌMadeleine」を取り上げましょう。作詞:ブレル、作曲:ジェラール・ジュアネストGerard Jouannest、ジャン・コルティ Jean Corti。1961年にオランピアで創唱。翌62年にシングルリリースされ、アルバム:Les Bourgeoisに収録されました。
マドレーヌは、ブレルが顧客だったブリュッセルの花屋の店主、マリー・マドレーヌ・リゾンMarie-Madeleine Lisonだといわれています。彼女は若い頃に有名な写真家のモデルをしていて、リラの花に囲まれた彼女の当時の写真にブレルはインスピレーションを得てこの曲を作ったといわれます。また別説として、マドレーヌはジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensに紹介された、マドレーヌ・ゼッファ・ビヴェールMadeleine Zeffa Biverだともいわれます。その父親はコミュニストで母親はユダヤ人で、ナチの迫害を逃れ、その後、夫の暴行を逃れて来て、二十歳の頃に美容室のモデルをしていて、サン=ジェルマン・デ・プレSaint Germain des Présの芸術家たちと出会ったと。でも、この曲の舞台はブリュッセルなので、先の説のほうが合っているように思います。

女性の名前を連発する速いテンポの曲としては、ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffの「いとしのヴェロニックChère Véronique」のほうが私個人としては好き。ですが、ブレルのこの曲は、音の響きが聴いていて気持ちがいいですね。繰り返されるj'attends Madeleineに加えてtram trente-trois、またmの音が多いことも効いているのかなと。

ブレルのパフォーマンスが楽しめる動画です。



Madeleine  マドレーヌ
Jacques Brel ジャック・ブレル


Ce soir j'attends Madeleine
J'ai apporté du lilas
J'en apporte toutes les semaines
Madeleine elle aime bien ça
Ce soir j'attends Madeleine
On prendra le tram trente-trois 注1
Pour manger des frites chez Eugène 注2
Madeleine elle aime tant ça
Madeleine c'est mon Noël
C'est mon Amérique à moi
Même qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Joël
Ce soir j'attends Madeleine
On ira au cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aime tant ça

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕はリラの花束を持って来た
 毎週持って来るんだ
 マドレーヌはね、とってもそれが好きなんだ
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕たちは33号の路面電車に乗る
 ウジェーヌの店でポテトフライを食べるために
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ
 マドレーヌは僕のクリスマスだ
 僕のアメリカだ
 いとこのジョエルが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 僕たちは映画に行くんだ
 彼女に言うよ「愛してる」って
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine que j'attends là

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 僕がここで待っているマドレーヌは

Madeleine3.jpg


Ce soir j'attends Madeleine
Mais il pleut sur mes lilas
Il pleut comme toutes les semaines
Et Madeleine n'arrive pas
Ce soir j'attends Madeleine
C'est trop tard pour le tram trente-trois
Trop tard pour les frites d'Eugène
Et Madeleine n'arrive pas
Madeleine c'est mon horizon
C'est mon Amérique à moi
Même qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaston
Mais ce soir j'attends Madeleine
Il me reste le cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aime tant ça

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 だが僕のリラに雨が降ってくる
 毎週と同じに雨が降る
 そしてマドレーヌはやって来ない
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 33号の路面電車に乗るには遅すぎる
 ウジェーヌの店でポテトフライ食べるには遅すぎる
 そしてマドレーヌはやって来ない
 マドレーヌは彼方の地平線だ
 僕のアメリカだ
 いとこのジョエルが言うように
 彼女が僕にもったいないとしてもね
 でも今夜、僕はマドレーヌを待つ
 映画が残っている
 彼女に言うよ「愛してる」って
 マドレーヌはそれがとっても好きなんだ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine qui n'arrive pas

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 やって来ないマドレーヌは

le tram trente-trois2


Ce soir j'attendais Madeleine
Mais j'ai jeté mes lilas
Je les ai jetés comme toutes les semaines
Madeleine ne viendra pas
Ce soir j'attendais Madeleine
C'est fichu pour le cinéma
Je reste avec mes "je t'aime"
Madeleine ne viendra pas
Madeleine c'est mon espoir
C'est mon Amérique à moi
Sûr qu'elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaspard
Ce soir j'attendais Madeleine
Tiens le dernier tram s'en va
On doit fermer chez Eugène
Madeleine ne viendra pas

 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 だが僕はリラを投げ捨てた
 毎週と同じにリラを投げ捨てた
 マドレーヌは来ないだろう
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 映画はおしまいだ
 「愛してる」の言葉とともに僕は残る
 マドレーヌは来ないだろう
 マドレーヌは僕の希望だ
 僕のアメリカだ
 いとこのガスパールが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 今夜、僕はマドレーヌを待つ
 最終路面電車が行ってしまう
 ウジェーヌの店は閉まる
 マドレーヌは来ないんだよ

Elle est tellement jolie
Elle est tellement tout ça
Elle est toute ma vie
Madeleine qui ne viendra pas

 彼女はとってもきれいだ
 彼女はほんとにすべてなんだ
 彼女は僕のいのちのすべてなんだ
 やって来ないマドレーヌは

Madeleine2.jpg


Demain j'attendrai Madeleine
Je rapporterai du lilas
J'en rapporterai toute la semaine
Madeleine elle aimera ça
Demain j'attendrai Madeleine
On prendra le tram trente-trois
Pour manger des frites chez Eugène
Madeleine elle aimera ça
Madeleine c'est mon espoir
C'est mon Amérique à moi
Tant pis si elle est trop bien pour moi
Comme dit son cousin Gaspard
Demain j'attendrai Madeleine
On ira au cinéma
Je lui dirai des "je t'aime"
Madeleine elle aimera ça

 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕はリラの花束を持って来るだろう
 毎週持って来るだろう
 マドレーヌはね、とってもそれが気に入るだろう
 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕たちは33号の路面電車に乗るだろう
 ウジェーヌの店でポテトフライを食べるために
 マドレーヌはそれがとっても気に入るだろう
 マドレーヌは僕のクリスマスだ
 僕のアメリカだ
 いとこのガスパールが言うように
 彼女が僕にはもったいないとしてもね
 明日、僕はマドレーヌを待つだろう
 僕たちは映画に行くだろう
 彼女に言うだろう「愛してる」って
 マドレーヌはそれをとっても喜ぶだろうさ

[注]
1 le tram trente-trois「路面電車33号線」 その時代、ブリュッセルの南西の郊外、ジャック・ブレル駅のあるアンデルレヒトAnderlechtの中心部、ブレルが若い頃住んでいた家の近くのアンリ・レイ広場square Henri Rey と南の郊外ボワフォールBoitsfortをつないでいた路線。1960年からバス路線に換えられた。その後、この曲のおかげでか33号線は復活したが、かつてとは異なり、ブリュッセルを北東から南西へと斜めに縦断する。
2 chez Eugene「ウジェーヌの店」は、ブリュッセルの南の郊外ユックルUccleleに実在する。市の中心から遠くて行くのがたいへんだが、その店のfrites「ポテトフライ」はわざわざ行く価値があるほど美味しいという。



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2019
04.08

マチルドMathilde

Jacques Brel Ces gens-là


今回はリクエストのあった曲、ジャック・ブレルJacques Brelの「マチルドMathilde」です。1963年のアルバム:Ces gens-làに収録されています。作詞はブレル自身。作曲は、当時のブレルのピアニストで、のちにジュリエット・グレコJuliette Grécoの夫となったジェラール・ジュアネストGérard Jouannest。出て行った妻(恋人)が戻って来た時の喜びをひねった形で表現しています。うまい語り口!私の甥が去年復縁したのですが、こんな気持ちだったのかな。
ブレルが、Mの字で始まる名前の女性に対する愛を歌った歌はあと二つあります。1961年のマリクMariekeとマドレーヌMadeleine。順次取り上げていきましょう。



1974年にクロード・ヌガロClaude Nougaroが歌詞のTon JacquesをTon Claudeに変えてカヴァーしています。



2006年にはジュリエット・グレコJuliette Grécoがカヴァー。



Mathilde    マチルド
Jacques Brel ジャック・ブレル


Ma mère voici le temps venu
D’aller prier pour mon salut 注1
Mathilde est revenue
Bougnat tu peux garder ton vin
Ce soir je boirai mon chagrin
Mathilde est revenue
Toi la servante toi la Maria
Vaudrait peut-être mieux changer nos draps
Mathilde est revenue
Mes amis ne me laissez pas
Ce soir je repars au combat
Maudite Mathilde puisque te v‘là

 母さん、僕の救済のために
 祈りに行く時が来たよ
 マチルドが戻って来たんだ
 ブーニャ、君のワインは残しておけるよ
 今夜、僕は自分の悲しみを飲むから
 マチルドが戻って来たんだ
 召使のマリア、君は
 僕たちのシーツを替えてくれたほうがいいかも
 マチルドが戻って来たんだ
 友たちよ、僕をほうっておくなよ
 今夜また僕は戦いに出るんだ
 いまいましいマチルド、君がいるから

Mon cœur mon cœur ne t’emballe pas 注2
Fais comme si tu ne savais pas
Que la Mathilde est revenue
Mon cœur arrête de répéter
Qu’elle est plus belle qu’avant l’été
La Mathilde qui est revenue
Mon cœur arrête de bringuebaler 注3
Souviens-toi qu’elle t’a déchiré
La Mathilde qui est revenue
Mes amis ne me laissez pas
Dites-moi dites-moi qu`il ne faut pas
Maudite Mathilde puisque te v’là

 僕の心よ僕の心よ夢中になるな
 マチルドが戻って来たなんて
 知らないように装え
 僕の心よ何度も言うな
 彼女が夏の前よりもっときれいだと
 戻って来たマチルドが
 僕の心よ揺れるのはやめろ
 思い出せ彼女がおまえを苦しめたことを
 戻って来たそのマチルドが
 友たちよ、僕をほうっておくなよ
 僕に言ってよ言ってよ、そんな必要はないと
 いまいましいマチルド、君がいるから

Jacques Brel3


Et vous mes mains restez tranquilles
C`est un chien qui nous revient de la ville 注4
Mathilde est revenue
Et vous mes mains ne frappez pas
Tout ça ne vous regarde pas 注5
Mathilde est revenue
Et vous mes mains ne tremblez plus
Souvenez-vous quand je vous pleurais dessus 注6
Mathilde est revenue
Vous mes mains ne vous ouvrez pas
Vous mes bras ne vous tendez pas
Sacrée Mathilde puisque te v’là 注7

 そして僕の両手よ、じっとしてろ
 町から戻ってきたのは犬っころなんだ
 マチルドが戻って来たんだ
 そして僕の両手よ、拍手するんじゃない
 こうしたことはすべておまえらには関係ないんだ
 マチルドが戻って来たんだ
 僕の両手よ、もう震えるな
 思い出せ、僕がおまえらの上に涙を流したときのことを
 マチルドが戻って来たんだ
 僕の両手よ、開くんじゃない
 僕の両腕よ、伸びるんじゃない
 こん畜生のマチルド、君がいるから

Ma mère arrête tes prières
Ton Jacques retourne en enfer
Mathilde m’est revenue
Bougnat apporte-nous du vin
Celui des noces et des festins
Mathilde m’est revenue
Toi la servante toi la Maria
Va tendre mon grand lit de draps
Mathilde m’est revenue
Amis ne comptez plus sur moi
Je crache au ciel encore une fois 注8
Ma belle Mathilde puisque te v’là te v’là

 母さん、祈りをやめろ
 あんたのジャックは地獄に舞い戻る
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 ブーニャ、ワインを僕らに届けてくれ
 婚礼と祝宴のためのやつをな
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 召使のマリア、君は
 僕の大きなベッドにシーツを掛けに行け
 マチルドが僕のところに戻って来たんだ
 友たちよもう僕を当てにするな
 僕はもう一度、天に唾する
 僕の美しいマチルド、君がいる、君がいるから

Jacques Brel4


[注]
1 salut本義は「挨拶」だが、ここでは「救い、救済」の意味。
2 emballerは「梱包する」だが、s’emballerは「熱狂する」。
3 bringuebaler=brinquebaler=brimbaler「続けざまに揺れる」
4 nous=moi+mes mains
5 Ça(Cela) ne vous regarde pas.「あなたがたには関係の無いことだ。」
6 je vous pleurais dessus=je pleurais sur vous(=mes mains)
7 sacré名詞の後で「聖なる」。名詞の前ではmauditと同様「嫌な、いまいましい」。
8=cracher contre le ciel「天に唾する、天を呪う」



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2019
04.04

愛の終わりまで私を踊ってDanse-moi vers la fin de l'amour

Graeme Allwright Dance-moi vers la fin de lamour


加藤登紀子の「哀しみのダンス」という曲。なんだか変わったテイストなのでちょっと興味が出て調べてみると、カナダのシンガー・ソングライター、レナード・コーエンLeonard Cohenが1984年に作り歌ったDance me to the end of loveという英語の曲が原曲だと分かりました。女性歌手マドレーヌ・ペイルーMadeleine Peyrouxのカヴァーはもっとジャズ風にアレンジしていてさらに魅力的です。それらを聴いているうちにますます興味が高まり、フランス語に自分で翻訳して歌おうと思い立ちました。一応、原曲に即した内容でちゃんと韻を踏んだ形で出来上がりましたので、スブリームSublimeさんに歌詞の修正と歌唱の指導をしていただきました。
そのあとで、とっくの昔にニュージーランド生まれのフランスのシンガー・ソングライター、グレアム・オールライトGraeme AllwrightがDanse-moi vers la fin de l'amourというタイトルでフランス語で歌っていてYouTubeに出ていることが分かったのです。な~んだ、原曲の翌1985年にシングル・リリースされていました。上の画像は、コーエンへのトリビュート・アルバムをCDに再録したアルバム:Suzane Vol.3。
英語のタイトルでだけ検索していたので見つからなかった訳ですね。これまた原曲の歌詞を翻訳したものですから、私が作った歌詞と共通したところがかなり多いのは当然のこと。でも韻を踏もうとするところで言葉が分かれたようです。また、私の方は、スブリームさんの提案でユニークな表現に変わったところもあります。このページではグレアム・オールライトの歌詞を取り上げ、せっかく作った自分の歌詞Danse-moi jusqu’à la fin de l’amourも最後にご紹介しましょう。

英語のdance me、フランス語のdanse-moiはちょっと変な表現です。dance with meやdanse avec moiとしないで「私を踊って」と言っている…それは結婚するカップルが愛し合うことのようで、「哀しみのダンス」というよりむしろ「幸せのダンス」です。あ、急に思い出した曲があります。それはクロード・ヌガロClaude Nougaro の「僕の上で踊れDansez sur moi 」、この曲の裏側を表現したような歌詞です。

レナード・コーエンのDance me to the end of love



マドレーヌ・ペイルーのDance me to the end of love



グレアム・オールライトのDanse-moi vers la fin de l'amour



アメリー&レ・サンジュ・ブルーAmélie & Les Singes Bleusというグループが、私と同じタイトルDanse-moi jusqu’à la fin de l’amourdで歌っていたこともまたあとで分かりました。グレアム・オールライトのと私のと似た箇所がちらほらある歌詞ですが、変わったアレンジ。



Danse-moi vers la fin de l'amour  愛の終わりまで私を踊って
Graeme Allwright            グレアム・オールライト


Danse-moi à ta beauté avec un violon en flammes
Danse-moi dans la panique jusqu'au repos de mon âme
Lève-moi comme un olivier, sois ma colombe de retour 注1
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 燃えるヴァイオリンに乗ってあなたの美しさで私を踊って
 錯乱のうちに私を踊って心安らぐまで
 オリーブの小枝のように私をくわえて、私の帰途の鳩になって
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi1.jpg


Laisse-moi voir ta beauté quand les témoins sont partis
Laisse-moi te sentir bouger comme un Babylone jadis 注2
Révèle-ce dont je vois les limites et le doute
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 見ている人たちがいなくなったらあなたの美しさを見せて
 昔のバビロン人のようにあなたが動くのを感じさせて
 限界と疑惑が見えるものを私に明かして
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi à la noce, oh danse-moi tout le temps
Danse-moi tellement tendrement, danse-moi très longtemps
Tous les deux, nous sommes en dessous, au dessus de notre amour
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 婚礼の宴で私を踊って、おおいつも私を踊って
 とても優しく私を踊って、ずっと長いあいだ私を踊って
 私たち二人は、私たちの愛以下、愛以上よ
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi3.jpg


Danse-moi vers les enfants demandant à naître en paix
À travers les rideaux que nos baisers ont usés
Lève une tente pour s'abriter, les fils déchirés toujours
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 平和のうちに生まれたいと望む子どもたちのために私を踊って
 私たちの口づけが摩りきらしたカーテンを通り抜けて
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi à ta beauté avec un violon en flammes
Danse-moi dans la panique jusqu'au repos de mon âme
Touche-moi avec ta main nue, ou gantée de velours
Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 燃えるヴァイオリンに乗ってあなたの美しさで私を踊って
 錯乱のうちに私を踊って心安らぐときまで
 あなたの手で私に触れて、素手でもしくはビロードの手袋をして
 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

Danse-moi4.jpg


Danse-moi vers la fin de l'amour
Danse-moi vers la fin de l'amour

 愛の終わりまで私を踊って
 愛の終わりまで私を踊って

[注]
1 旧約聖書『創世記』の「ノアの方舟の神話」:40日間の洪水の7日後にノアが鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に戻ってきた。
2 アンリ・サルヴァドールHenri Salvadorの「シラキューズSyracuse」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-44.htmlにも出て来たメソポタミアの古代都市。ジェーン・バーキンJane Birkinの「バビロンの妖精Baby alone in Babylone」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-74.htmlのタイトルにもなっている。ここでは不定冠詞unが付いて「一人のバビロン人の男性」を意味し、男性が歌うのだが女性の立場の歌詞だと判断する。


----------*------------


ノニー作の歌詞もついでにご紹介。歌う場合のメロディーラインやサイズは、松尾明トリオのCD:Alone togetherに入っているDance me to the end of love(i-tuneで買えます)を参照しています。訳は出さないでおきます。音源もまだ練習中なので無し。

Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour ta beauté avec un violon brûlant
Danse-moi tout en panique avant qu’on me cueille doucement
Prends-moi comm’un branche d’olivier, sois ma colombe blan- 注1
che Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Oh ! laisse -moi voir ta beauté pendant qu’il n’ y a personne
Laisse -moi te sentir bouger comm’ on faisait à Babylone
Montre-moi ton geste lent’ment glisse et tourbillonne
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour le mariage, ah oui, danse-moi tout le temps
Danse-moi tellement tendrement et danse-moi très longuement
Sommes-nous au-dessous de l’amour ? non, au-dessus sûrement
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

{Instrumental}

Danse-moi pour les enfants qui ne demandent qu’à naître
Danse-moi à travers les rideaux de nos baisers-fenêtres 注2
Dresse la tente de l’abri, même s’il doit disparaître
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

Danse-moi pour ta beauté avec un violon brûlant
Danse-moi tout en panique avant qu’on me cueille doucement
Touche-moi avec ta main nue ou touche-moi avec ton gant
Oh ! danse-moi jusqu’à la fin de l’amour
Danse-moi jusqu’à la fin de l’amour

[注]
1 colombeは女性名詞でblancはblancheとなり韻を踏めない。スブリームさんはmon oiseau blancに変えることを提案。でも、ノアの方舟の鳩にこだわる私は、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyの「さよならを教えてComment te dire adieu? 」で、exで韻を踏むために単語を切り分けているゲンズブールの手口を真似てみた。
2 baisers-fenêtresは窓越しのキスのこと。




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2019
04.01

アブサンL' absinthe

Barbara La Fleur damour


バルバラBarbaraの「アブサンL' absinthe」という曲、そのタイトルはお酒の名前。アブサンはニガヨモギのほかアニシードなど数々のハーブが配合されたアルコール度数の高いハーブリキュールで、18世紀にスイスで生まれました。独特の風味と香りがあり、「緑の妖精」と呼ばれる美しい緑色、水を入れると白濁することや、アルコール度数が高いため火が付くことなどを活かしたさまざまな飲み方が楽しめるユニークなリキュールです。

アブサンの主原料であるニガヨモギは、苦味があり強壮作用をもつとされる薬草。学名はArtemisia absinthiumで、artemisiaはヨモギ属を意味するギリシャ神話の狩猟を司る女神アルテミスἌρτεμιςに由来し、absinthiumは古代ギリシャ語のἀψίνθιονヨハネの黙示録に登場する「星」を意味するとのことです。ニガヨモギにはツヨンThujoneとカリオフィレンcaryophylleneを主成分とする揮発油が含まれます。ツヨンは向精神作用として幻覚や錯乱を引き起こすとされ、そのためアブサンはこの歌詞に出てくる詩人のヴェルレーヌPaul VerlaineやランボーArthure Rimbaud、そして画家のゴッホVincent van GoghやロートレックToulouse-Lautrecなど非日常的感覚を嗜好する多くの芸術家を虜にしました。
アブサンは、その向精神作用が大麻同様に懸念され、19世紀末以降、多くの国で製造・販売が禁止されましたが、20世紀末に世界保健機関WHOが、ツヨンの残存許容量の基準値を定めたことで各国で製造が再開し、現在では、その銘柄の数は400種類以上にのぼっています。→ウィキペディアの記事

この曲は、1972年のアルバム:La fleur d'amourに収録されています。
作詞:バルバラBarbara&フレデリック・ボトンFrédéric Botton、作曲:バルバラBarbara




L' absinthe アブサン
Barbara   バルバラ


Ils buvaient de l' absinthe
Comme on boirait de l' eau
L' un s' appelait Verlaine
L' autre, c' était Rimbaud
Pour faire des poèmes
On ne boit pas de l' eau
Toi, tu n' es pas Verlaine
Toi, tu n' est pas Rimbaud
Mais quand tu dis "je t' aime"
Oh mon dieu, que c' est beau
Bien plus beau qu' un poème
De Verlaine ou de Rimbaud

 彼らはアブサンを呑んでいた
 ひとが水を飲むように
 ひとりはヴェルレーヌといった
 もうひとり、それはランボー
 詩を作るためには
 ひとは水なんか飲まない
 あなたはね、ヴェルレーヌじゃない
 あなたはね、ランボーじゃない
 でもあなたが「ジュテーム」と言うとき
 おおまぁ、なんと美しいのかしら
 ヴェルレーヌあるいはランボーの
 一篇の詩よりもずっと美しいわ

Absinthe4.jpg


Pourtant que j' aime entendre
Encore et puis encore
La chanson des amours
Quand il pleut sur la ville 注1
La chanson des amours
Quand il pleut dans mon cœur
Et qu' on a l' âme grise 注2
Et que les violons pleurent 注3
Pourtant, je veux l' entendre
Encore et puis encore
Tu sais qu' elle m' enivre
Comme les bateux ivres 注4
La chanson de ceux-là
Qui s' aiment et qui en meurent
Et si j' ai l' âme grise
Tu sécheras mes pleurs

 でも私は聞くのが好き
 何度も何度も
 愛の歌を
 巷に雨が降るとき
 愛の歌を
 私の心に雨が降るとき
 そして暗い気持ちのとき
 そしてヴァイオリンが泣くとき
 でも、私はそれを聞きたいの
 何度も何度も
 そうよ、それは私を酔わせるのよ
 死ぬほどの想いで愛し合った
 彼らの歌はね
 そして私が暗い気持ちでいたら
 あなたは私の涙を乾かしてくれるわ

Ils buvaient de l' absinthe
Comme l' on boit de l' eau
Mais l' un, c' était Verlaine
L' autre, c' était Rimbaud
Pour faire des poèmes
On ne boit pas de l' eau
Aujourd'hui, les "je t' aime"
S' écrivent en deux mots
Finis, les longs poèmes
La musique des mots
Dont se grisait Verlaine
Dont se saoulait Rimbaud 注5

 彼らはアブサンを呑んでいた
 ひとが水を飲むように
 ひとりはヴェルレーヌといった
 もうひとり、それはランボー
 詩を作るためには
 ひとは水なんか飲まない
 今では「ジュテーム」は
 2語で書かれるわ
 終わったの、長い詩は
 ヴェルレーヌが陶酔した
 ランボーが酩酊した
 言葉の調べはね

Absinthe2.jpg


Car je voudrais connaître
Ces alcools dorés, qui leur grisaient le cœur
Et qui saoulaient leur peine
Oh, fais-les-moi connaître
Ces alcools d' or, qui nous grisent le cœur
Et coulent dans nos veines
Et verse-m' en à boire
Encore et puis encore
Voilà que je m' enivre
Je suis ton bateau ivre
Avec toi, je dérive

 なにせ私は知りたいの
 彼らの心をとろけさせ、
 彼らの苦しみを麻痺させた
 その金色の酒を
 おお、それを私に教えて
 私たちの心をとろけさせ
 私たちの血管を流れる
 その黄金の酒を
 私に呑めよと注いで
 何度も何度も
 もう私は酔っちゃった
 私はあなたの酔いどれ舟よ
 あなたといっしょに、私は漂流するわ

Et j' aime et j' en meurs
Les vapeurs de l' absinthe
M' embrument
Je vois des fleurs qui grimpent
Au velours des rideaux
Quelle est donc cette plainte
Lourde comme un sanglot
Ce sont eux qui reviennent
Encore et puis encore
Au vent glacé d' hiver
Entends-les qui se traînent

 そして私は好きよ、死ぬほどに
 アブサンの香気が
 私を包む
 ビロードのカーテンを
 這い上がる花々が見えるわ
 いったい何なのかしら
 嘆きのように重いこのうめき声は
 戻って来たのは彼らだわ
 何度も何度も
 冬の冷たい風に
 うろついている彼らの声を聴いて

Absinthe1.jpg


Les pendus de Rimbaud 注6
Les noyés de Verlaine
Que la mort a figés
Aux eaux noires de la Seine
J' ai mal de les entendre
Encore et puis encore
Oh, que ce bateau ivre
Nous mène à la dérive
Qu' il sombre au fond des eaux
Et qu' avec toi, je meure 注7

 ランボーの首つり人たち
 ヴェルレーヌの溺死者たち
 死は彼らを閉じ込める
 セーヌ川の黒い水に
 私には彼らの声がよく聴こえない
 何度も何度も
 おお、この酔いどれ舟が
 私たちを漂流させ
 水の底に沈んでくれたら
 そしてあなたといっしょに、死ねたら

On a bu de l' absinthe
Comme on boirait de l' eau
Et je t' aime, je t' aime
Oh mon dieu, que c' est beau
Bien plus beau qu' un poème
De Verlaine ou de Rimbaud...

 私たちはアブサンを呑んだ
 ひとが水を飲むように
 ジュテーム、ジュテーム
 おおまぁ、なんて美しいの
 ヴェルレーヌあるいはランボーの
 一篇の詩よりもずっと美しいわ…

Absinthe5.jpg


[注] 二人の詩人に関してはウィキペディアを参照されたい。→ポール・ヴェルレーヌPaul Marie Verlaine / →アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud
1 Il pleure dans mon cœur/Comme il pleut sur la ville「巷に雨の降るごとく わが心にも涙ふる」(堀口大学訳) ヴェルレーヌがランボーに捧げた詩の冒頭。「雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles」http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-124.htmlのページで少し触れた。
2 que=quand
3 les violons pleurentヴァイオリンが泣く」というのはヴェルレーヌの詩Chanson d'automn「落葉」のLes sanglots longs/Des violonsを念頭に置いた表現であろう。「君に別れを告げに来たJe suis venu te dire que je m'en vais」http://chantefable2.blog.fc2.com /blog-entry-89.htmlのページの最後にその詩を紹介した。
4ランボーの詩集のタイトルLe bateau ivre「酔いどれ舟」
5 saouler=soûler
6 ランボーの詩集のタイトルLe bal des pendus「首つり人の舞踏会」
7 que+接続法は願望を示し、mèneとsombreは直説法と同形だが接続法と判断するが、ここはネット上の歌詞はすべてmeursで直説法。接続法meureに訂正した。


Absinthe3.jpg


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2019
03.10

自叙伝Autobiographie

7 Autobiographie


シャルル・アズナヴールCharles aznavourの「自叙伝Autobiographie」です。1980年の同名のアルバムに収録されました。これは30枚目のスタジオアルバムで、収録曲はすべて彼自身の新作です。自叙伝というタイトルに合わせ書物の形をかたどったジャケットになっています。
アズナヴールのサイトに、biographie(自叙伝)のページがあり、写真がいろいろ出ています。google翻訳にかけながら読まれてもいいでしょう。



Autobiographie  自叙伝
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール


J'ai ouvert les yeux sur un meublé triste
Rue Monsieur Le Prince au Quartier Latin 注1
Dans un milieu de chanteurs et d'artistes
Qu'avaient un passé, pas de lendemain
Des gens merveilleux un peu fantaisistes
Qui parlaient le russe et puis l'arménien

 僕はぼろい家具付きアパルトマンで生まれた
 カルティエ・ラタンのムッシュ・ド・プリンス通りで
 過去を持ち、明日のない
 歌手たちや芸術家たちに囲まれて
 彼らはすばらしくてちょっと不思議な人たちで
 ロシア語やアルメニア語を話した

Si mon père était chanteur d'opérette
Nanti d'une vois que j'envie encore 注2
Ma mère tenait l'emploi de soubrette
Et leur troupe ne roulait pas sur l'or 注3
Mais ma sœur et moi étions à la fête 注4
Blottis dans un coin derrière un décor

 父は僕がいまだにうらやむほどの声を持った
 オペラ歌手だったとはいえ
 母は女中の仕事をしていた
 そして一家はリッチじゃなかった
 だが家具の後ろの片隅で丸まって
 姉と僕は満足していた

Aznavour5.png


Tous ces comédiens chargés de famille
Mais dont le français était hésitant
Devaient accepter pour gagner leur vie
Le premier emploi qui était vacant
Conduire un taxi ou tirer l'aiguille
Ça pouvait ce faire avec un accent

 所帯持ちのこの役者たちはともに
 フランス語の語力はあやしげで
 生活費を稼ぐために
 最初に見つかった空きのある仕事を受け入れねばならなかった
 タクシーを運転するとか針仕事をするとか
 それはなまりがあってもできる仕事だった

Après le travail les jours de semaine
Ces acteurs frustrés répétaient longtemps 注5
Pour le seul plaisir un soir par quinzaine
De s'offrir l'oubli des soucis d'argent
Et crever de trac en entrant en scène 注6
Devant un public formé d'émigrants

 週日の労働のあと
 欲求不満ゆえの俳優業が長いあいだ繰り返された
 お金の心配を忘れ
 そして移民たちからなる聴衆の前で
 舞台に上りつつアガって死にそうになるという
 2週に一晩の唯一の楽しみとして

Aznavour4.png


Quand les fins de mois étaient difficile
Quand il faisait froid, que le pain manquait
On allait souvent honteux et fébrile
Au Mont de piété où l'on engageait
Un vieux samovar, des choses futiles 注7
Objet du passé, auxquels on tenait

 月末がピンチだったとき
 寒いとき、パンが無いとき
 僕たちは恥じつつも熱に浮かされて
 モン・ド・ピエテに行き
 愛着のある、古いサモワールや、取るに足りない物品や
 昔の品々を質に入れた

On parlait de ceux morts près du Bosphore 注8
Buvait à la vie, buvait aux copains
Les femmes pleuraient, et jusqu'au aurores
Les hommes chantaient quelques vieux refrains
Qui venaient de loin, du fond d'un folklore
Où vivaient la mort, l'amour et le vin
La la di la la la...

 みんなはボスポラス海峡付近で死んだ人たちのことを話した
 人生のため呑み、仲間のため呑んだ
 女たちは泣いた、そして夜明けまで
 男たちは古い歌を唄っていた
 彼らは遠くから、フォークロアの源から来た
 そこでは死が、愛が、ワインが生きていた
 ララディラララ…

Nous avions toujours des amis à table
Le peu qu'on avait on le partageait
Mes parents disaient: "Ce serait le diable 注9
Si demain le ciel ne nous le rendait"
Ce n'était pas là geste charitable:
Ils aimaient les autres, et Dieu nous aidait

 僕たちのテーブルにはいつも友がいた
 自分たちの持つわずかなものを分け合っていた
 僕の両親は言っていた
 「明日、天が見返りをくれるかどうか問題だ」
 その言いは思いやりのある態度じゃなかったが
 両親は他の人たちを愛し、神は僕たちを助けてくれた

Aznavour8.jpg


Tandis que devant poêles et casseroles
Mon père cherchait sa situation 注10
Jour et nuit sous une lampe à pétrole
Ma mère brodait pour grande maison
Et nous avant que d'aller à l'école
Faisions le ménage et les commissions

 フライパンとキャセロールの前で
 父が料理に取り組もうとしているあいだ
 夜も昼も灯油ランプのもとで
 母は大邸宅用の刺繍をしていた
 そして僕たちは学校にあがる前に
 家事や買い物をしていた

Ainsi j'ai grandi sans contrainte aucune 注11
Me soûlant la nuit, travaillant le jour
Ma vie a connu diverses fortunes
J'ai frôlé la mort, j'ai trouvé l'amour
J'ai eu des enfants qui m'ont vu plus d'une
Fois me souvenir le cœur un peu lourd

 かくして僕はなにも強いられることなく成長した
 夜には酔っ払い、昼には働きつつ
 僕の人生はいろんな巡り合わせに出会った
 僕は死にかけもしたし、愛も見つけた
 僕は子どもたちに恵まれ彼らは一度ならず
 ちょっと暗い気持ちで想い出に浸る僕を見た

Aznavour9.jpg


La la di la la la...
Rue Monsieur Le Prince au Quartier Latin
Dans un milieu de chanteurs et d'artistes
Qu'avaient un passé, pas de lendemain
Des gens merveilleux un peu fantaisistes
Qui parlaient le russe et puis l'arménien

 ララディラララ…
 カルティエ・ラタンのムッシュ・ド・プリンス通りで
 過去を持ち、明日のない
 歌手たちや芸術家たちに囲まれて
 彼らはすばらしくてちょっと不思議な人たちで
 ロシア語やアルメニア語を話した

[注]
1 Rue Monsieur Le Prince「ムッシュ・ド・プリンス通り」パリのカルティエ・ラタンQuartier latinにある通り。メトロのオデオン駅Odéonとリュクサンブール公園Jardin du Luxembourgのあいだ。オデオン座Théâtre de l'Odéonの近く。
2 nanti de「(…を)所有している」
3 rouler sur l'or「大金持ちである」
4 être à la fête「楽しく、満足している」
5 frustrés「欲求不満の、失望した」はces acteursを修飾するが、週日の労働で欲求不満になって「俳優」になる訳だ。répéterは他動詞で目的語があるはずでlongtempsを名詞と捉えるしかない。
6 crever de「…で死にそうである」。trac「(緊張のため)あがること、舞台負け」
7 samovar「サモワール」ロシアの湯沸かし器
8 Bosphore「ボスポラス海峡」別名「イスタンブール海峡」トルコのヨーロッパ部分とアジア部分を隔てる海峡。
9 C’est le diable.「それが問題だ、難しい」
10 chercher sa situation「地位を求める」。ここでは、台所仕事をしようとしていることを言う。
11 sans contrainte「強制されずに、遠慮なしに」


Aznavour7.jpg




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2019
02.28

リリー・マルレーンLily Marlène

Suzy Solidor Lily Marlène


リリー・マルレーンLili Marleenは1915年にロシアへの出征を前にドイツの詩人ハンス・ライプHans Leipが、ベルリンのある兵営の営門に歩哨に立った時に創作した詩集「港の小さな手風琴Das Lied eines jungen Soldaten auf der Wacht」に収録されていた詩を原典として、第二次世界大戦直前の1938年に、作曲家ノルベルト・シュルツェNorbert Schultzeが曲をつけたドイツ語の歌。歌手のララ・アンデルセンLale Andersenが1939年に録音したレコードが、ドイツ軍放送局から流され、ドイツ兵のみならずイギリス兵の間にも知れ渡りました。マレーネ・ディートリッヒMarlene Dietrichがカバーして米軍を慰問したこともあり、アメリカにも広まり、世界中でいろんな言語で歌われるようになりました。(以上の内容はウィキペディアを参照しました。ドイツ語の歌詞と邦訳も出ています。)
フランス語では、シュジィ・ソリドールSuzy solidorが知られています(1942年Disqus Pathé版)。彼女に関しては「ネイチャー・ボーイEtrange garçon(Nature boy)」のページで少し紹介しています。また、マリー・ラフォレMary Laforêtも、それを少し変えた形で歌っています。こちらは1973年のアルバム:Viens, viensに収録。ともに、もとのドイツ語歌詞と近い内容です。
日本語では、加藤登紀子が自訳の歌詞で歌い、佐々木秀美、佐良直美ほかも同じ歌詞で歌っています。また、梓みちよが片桐和子の訳詞で、戸川昌子や佐久間良子がなかにし礼の訳詞で歌っています。それぞれ内容がまったく違います。(個人的には梓みちよが気に入りました。歌詞が一番原曲に近いし。)


マレーネ・ディートリッヒ




以下に、シュジィ・ソリドールとマリー・ラフォレの動画と歌詞をご紹介します。
まずはシュジィ・ソリドール



Lily Marlène リリー・マルレーン
Suzy solidor シュジィ・ソリドール


Devant la caserne quand le jour s'enfuit
La vieille lanterne soudain s'allume et luit.
C'est dans ce coin là que le soir on s'attendait remplis d'espoir
Tous deux, Lily Marlène, tous deux, Lily Marlène.

 日が暮れるとき兵舎の前で
 古いランタンが突然灯されて輝く
 それはその片隅でのこと 僕たちが夜に希望に胸ふくらませ待っていたのは
 ふたりして、リリー、リリー・マルレーン、ふたりして、リリー・マルレーン。

Et dans la nuit sombre nos corps enlacés
Ne faisaient qu'une ombre lorsque je t'embrassais
Nous échangions ingénument joue contre joue bien des serments
Tous deux, Lily Marlène, tous deux, Lily Marlène.

 そして夜の暗闇で僕たちの体はからみ合い
 一つの影しか成さなかった僕が君に口づけしたとき
 僕たちは頬と頬を寄せて率直に誓いを交し合った
 ふたりして、リリー、リリー・マルレーン、ふたりして、リリー・マルレーン。

Lily Marlène5


Le temps passe vite lorsque l'on est deux !
Hélas ! on se quitte voici le couvre-feu...
Te souviens-tu de nos regrets lorsqu'il fallait nous séparer ?
Dis-moi, Lily Marlène, Dis-moi, Lily Marlène ?

 しあわせなとき時間は速く過ぎる
 ああ!僕たちは別れる もう消灯だ…
 君はつらい気持ちを思い出すかい、僕たちが別れなきゃならなかったときの?
 ねえ、リリー・マルレーン、ねえ、リリー・マルレーン?

La vieille lanterne s'allume toujours
Devant la caserne lorsque finit le jour
Mais tout me parait étranger, aurais-je donc beaucoup changé ?
Dis-moi, Lily Marlène, dis-moi, Lily Marlène ?

 日が暮れるとき兵舎の前で
 古いランタンはいつも灯されて輝く
 けれど僕にはすべてが変わってしまったようだ、僕はすごく変わったんだろうか?
 ねえ、リリー・マルレーン、ねえ、リリー・マルレーン?

Lily Marlène4


Cette tendre histoire de nos chers vingt ans
Chante en ma mémoire malgré les jours, les ans
Il me semble entendre ton pas et je te serre entre mes bras
Lily ... Lily Marlène, Lily... Lily Marlène.

 僕の懐かしい青春のこの甘い物語は
 年月を経ても僕の記憶のなかで歌いつづける
 君の足音が聞こえて僕は君を抱きしめるような気がする
 リリー…リリー・マルレーン、リリー…リリー・マルレーン



Lily Marlène リリー・マルレーン
Mary Laforêt マリー・ラフォレ


Derrière la caserne
Quand le jour s'enfuit
La vieille lanterne
Soudain s'allume et luit

 日が暮れるとき
 兵舎の後ろで
 古いランタンが
 突然灯されて輝く

C'est dans ce coin là que le soir
Il attendait rempli d'espoir
Lily, Lily Marlène
Lily, Lily Marlène

 それはその片隅でのこと 夜に
 彼が希望に胸ふくらませ待っていたのは
 リリー、リリー・マルレーン
 リリー、リリー・マルレーンを

Lily Marlène7


Et dans la nuit sombre
Leurs corps enlacés
Et ne faisait qu'une ombre
Quand tous deux s'embrassaient

 そして夜の暗闇で
 彼らの体はからみ合い
 一つの影しか成さなかった
 二人が口づけしたとき

Une joie douce illuminait
Tes grands yeux clairs quand il disait
Lily, Lily Marlène
Lily, Lily Marlène

 甘美な喜びが
 君の大きな澄んだ瞳を輝かせた 彼が言ったとき
 リリー、リリー・マルレーン
 リリー、リリー・マルレーンと

Lily Marlène3-2


Le temps passe vite
Quand on est heureux
Il faut qu'on se quitte
À l'heure de couvre-feu

 しあわせなとき
 時間は速く過ぎる
 別れなきゃならない
 消灯時には

Te souviens-tu de tes regrets
Lorsque sa voix te murmurait
Adieu, Lily Marlène
Auf wiedersehen, Lily Marlène

 君はつらい気持ちを思い出すかい?
 彼がそっとつぶやいたときの
 さよなら、リリー・マルレーン
 サヨナラ、リリー・マルレーンと

Lily Marlène2


Amour de romance 注1
Amour de vingt ans
Garde souvenance de ce lointain printemps
Pour t'avoir fait cette chanson
Le monde entier connait ton nom
Lily, Lily Marlène
Lily, Lily Marlène
Lily, lélé, lélé
Lélé, lélé, lélé.

 恋歌のような恋
 若き日の恋が
 この遠い春の日を記憶にとどめる
 君にこの歌をささげたから
 世界中が君の名を知った
 リリー、リリー・マルレーン
 リリー、リリー・マルレーン
 リリー、レレ、レレ
 レレ、レレ、レレ

[注] 歌詞の区切りはあえてそろえなかった。シュジィ・ソリドールの歌詞の1行分がマリー・ラフォレの歌詞では2行になっている。
1 romance日本で「ロマンス」というと「恋愛」の意味だが、本来は音楽用語では甘美な旋律の短くて素朴な声楽または器楽曲をいう。「恋歌」といった軽い意味でも用いられる。




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2019
02.14

愛のケーキのつくりかたLa recette du cake d'amour

La recette du cake damour


1970年のフランスのミュージカル映画「ロバと王女Peau d’Âne」はシャルル・ペローCharles Perraultの童話「ロバの皮Peau d’Âne」を元にしたものです。監督:ジャック・ドゥミJacques Demy、主演:カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuve。→あらすじ デジタルニューマスター版のDVDで、鮮明な映像で楽しみます。
この映画に出てくる「愛のケーキのつくりかたLa recette du cake d'amour」という曲をご紹介しましょう。作詞・作曲:ミッシェル・ルグランMichel Legrand。明日15日のヴァレンタイン・コンサートでスブリームさんが歌います。チケットがアッという間に売り切れてしまって来られなくなった方ごめんなさい。これはケーキ作りのレシピをそのまま歌詞にしたおしゃれな曲で、映画ではカトリーヌ・ドヌーヴ演ずる王女が、恋の病にかかった王子を癒すためのケーキを作るシーンで歌われます。ロバの皮をかぶった王女の分身がレシピを読む(歌う)わけですが、実際はマリー・オペールMarie Oppertがカトリーヌ・ドヌーヴの吹き替えをしています。
このケーキを実際に作りたい人のために材料の具体的な分量を紹介しているサイトがあります。→こちら 参照して私も作ってみました。恋の病に効くかどうかは試せなかったですが



La recette du cake d'amour 愛のケーキのつくりかた
Marie Oppert       マリー・オペール


Préparez votre
Préparez votre pâte
Dans une jatte
Dans une jatte plate
Et sans plus de discours 注1
Allumez votre, allumez votre four

 用意しましょ
 生地を用意するの
 ボールに
 平たいボールのなかに
 そしてともかくも
 点火するの、オーブンを点火するのよ

cake damour1-1


Prenez de la, prenez de la farine
Versez dans la, versez dans la terrine
Quatre mains bien pesées
Autour d'un puits creux 注2
Autour d'un puits creusé

 お取りなさい 小麦粉をお取りなさい
 入れるの、テリーヌ型に入れるのよ
 手に4杯分ちゃんと量って
 真ん中にくぼみを作って
 くぼみの周りにね

cake damour2


Choisissez quatre
Choisissez quatre œuf frais
Qu'ils soient du matin faits
Car à plus de vingt jours
Un poussin sort
Un poussin sort toujours

 4個選ぶの
 新鮮な卵を4個選ぶのよ
 今朝産んだばかりのね
 だって20日以上過ぎたら
 ひよこが産まれる
 ひよこが産まれちゃうもの

cake damour3


Un bol entier
Un bol entier de lait
Bien crémeux s'il
Bien crémeux s'il vous plaît
De sucre parsemez
Et vous amalga
Et vous amalgamez

 カップ一杯
 カップ一杯のミルク
 脂肪分の多い
 脂肪分の多いミルクよ、いいですか
 砂糖をパラパラっと振り入れるの
 そして混ぜ
 そして混ぜ合わせるの

cake damour4


Une main de
Une main de beurre frais
Un souffle de 注3
Un souffle de levain
Une larme de miel 注4
Et un soupçon de 注5
Et un soupçon de sel !

 ひと握りの
 ひと握りの新鮮なバター
 サラサラっと
 イーストをサラサラっとね
 ハチミツを涙つぶほど
 それと ちょっぴり
 お塩もちょっぴりね!

cake damour5


Il est temps à
Il est temps à présent
Tandis que vous
Tandis que vous brassez
De glisser un présent 注6
Pour votre fi
Pour votre fiancé

 そのときよ
 今がそのときよ
 ちょうど
 生地を捏ねているあいだに
 滑り込ませるのよ
 あなたのフィ
 フィアンセのための贈り物を

cake damour6


Un souhait d'a
Un souhait d'amour s'impose
Tandis que la
Que la pâte repose
Graissez le plat de beurre
Et laissez cuire
Et laissez cuire une heure.

 願いが
 愛の願いが込められるの
 生地を寝かせている
 あいだに
 型にバターを塗って
 そして焼くのよ
 1時間焼くのよ。

cake damour7


[注]
1 discours「無駄話」sans plus de discoursは「ともあれすぐに」といった意味合い。
2 Autour d'un puits creux「井戸型」山高に盛った小麦粉の中央にあけたくぼみ
3 souffleは「息」。un souffle deは「ひと吹き」つまり、パラパラっと振りかけるニュアンス。
4 larme「涙」une larme de「(液体)の一滴」
5 soupçon本義は「疑惑」だが、un soupçon de「少量の」
6 présent「プレゼント」は映画では「指輪」である。



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2019
01.27

心得るべきはIl faut savoir

Charles Aznavour Il faut savoir


シャルル・アズナヴールCharles AznavourのIl faut savoirという曲は、失恋した時に人がとるべきいさぎよい振る舞いをいろいろ述べ、だが君をあまりにも愛している僕にはそれができない、といった内容です。邦題は「それがわかれば」とされていますが、「わかれば」ではなくて「わかってはいるができない」のです。savoirは本来「知っている、わかる」という意味の動詞ですが、不定詞とつながった場合は、「…できる能力を備えている、すべを心得ている」といった意味合いです。アズナヴールは英語でYou've got to learnと歌っており、英語のlearnに当たります。ということで邦題は「心得るべきは」としました。
1961年の同名のアルバムに収録されています。

65年


ジョニー・アリディJohnny Hallydayと



Il faut savoir    心得るべきは
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール


Il faut savoir encore sourire
Quand le meilleur s'est retiré
Et qu'il ne reste que le pire
Dans une vie bête à pleurer 注1

 心得るべきはなおも微笑むこと
 最高のものが去ったとき
 泣きたいほどひどい人生に
 どうしようもないものしか残っていないとき

Il faut savoir, coûte que coûte, 注2
Garder toute sa dignité
Et, malgré ce qu'il nous en coûte, 注3
S'en aller sans se retourner

 心得るべきは、いかなる犠牲を払おうと、
 誇りを保つこと
 そして、たとえそれが辛かろうと、
 踵を返さずに立ち去ること

Il faut savoir1


Face au destin, qui nous désarme,
Et devant le bonheur perdu,
Il faut savoir cacher ses larmes
Mais moi, mon cœur,je n'ai pas su

 士気を削ぐ運命と向き合い、
 失った幸せを前にして、
 心得るべきは涙を隠すこと
 だが僕は、僕の心は、できなかった

Il faut savoir quitter la table
Lorsque l'amour est desservi
Sans s'accrocher, l'air pitoyable,
Mais partir sans faire de bruit

 心得るべきはテーブルを離れること
 恋の料理が下げられたとき
 哀れな態度で居座らずに、
 静かに席を立つことだ

Il faut savoir cacher sa peine
Sous le masque de tous les jours
Et retenir les cris de haine
Qui sont les derniers mots d'amour

 心得るべきは平生の仮面の下に
 苦しみを隠すこと
 恋の終わりの言葉としての
 憎しみの叫びをこらえること

Il faut savoir2


Il faut savoir rester de glace 注4
Et taire un cœur qui meurt déja
Il faut savoir garder la face
Mais moi je t'aime trop

 心得るべきは冷静なままでいること
 すでに息絶えた心に語らせないこと
 学ぶべきは面目を保つこと
 だが僕は、僕の心は、君を愛しすぎている

Mais moi je ne peux pas
Il faut savoir
Mais moi je ne sais pas

 だが僕には無理だ
 心得るべきだ
 だが僕にはできない

[注]
1 bête à pleurer「泣きたくなるほど愚かしい」
2 coûte que coûte「どんな犠牲を払っても」
3 en coûter「費用がかかる」「(…にとって)つらいことである。」の2義。ここでは後者。
4 de glace「冷淡な、無感動の」



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2019
01.20

バルバリーBarbarie

Léo Ferré Le Temps des roses rouges


レオ・フェレLéo Ferréが作詞・作曲した「バルバリーBarbarie」という曲があります。ちょっとわらべ歌を思わせるようなメロディーのワルツで、歌詞内容も大人のためのわらべ歌(形容矛盾ですが…)って感じ。barbarieは一般名詞としては「粗野、野蛮」といった意味ですが、この曲では呼び名です。そういえばバルバラBarbaraの歌を歌うバルバリーBarbarieという歌手がいますね。この曲は1950年に録音され、1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferré に収録され、後年2000年のアルバム:Le Temps des roses rougesに収録されました。このCDアルバムはフェレがピアノで弾き語りしているいい曲がずらっと入っていてお勧めです。そのうち「潜水夫の歌La Chanson du scaphandrier」「ムッシュ・ウィリアムMonsieur William」「芸術家の人生La vie d'artiste」「サン=ジェルマン=デ=プレでÀ Saint-Germain-des-Prés」「サン=ルイ島L'Île Saint-Louis」はすでに取り上げました。ほかの曲も今後少しずつ取り上げていきましょう。

レオ・フェレLéo Ferré



カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageはミッシェル・ルグラン・オーケストラMichel Legrand Orchestraをバックに歌っています。



そしてバルバラBarbaraも。



Barbarie  バルバリー
Léo Ferré   レオ・フェレ


Dans la rue anonyme,
Y a partout des Jésus
Qui vont quêter leur dîme
Avec des yeux battus.
Barbarie, donne lui quelques sous.
Barbarie, ose cet air aigre doux. 注1
Barbarie, après tout, je m'en fous.

 ごくありきたりの通りに
 あちこちにイエスがいて
 おどおどした目をして
 お布施を集めている。
 バルバリー、彼に何スーかおやり。
 バルバリー、とげとげしくも優しいそんな態度をおとり。
 バルバリー、ともかく、俺にはどうでもいい。

Dans la rue où l'on pèche, 注2
Y a des filles d'amour
Qui mettent leur chair fraîche
A l'étal des carrefours.
Barbarie, garde donc ton écu.
Barbarie, c'est toi qui l'a voulu.
Barbarie, le remède est connu.

 ひとが猟色する通りに、
 娼婦たちがいて
 若々しい体を
 四つ角の陳列台に並べている、
 バルバリー、お前の銀貨をお取り。
 バルバリー、それを欲しがったのはお前。
 バルバリー、手立ては知ってのとおり。

Barbarie1.jpg


Dans la rue à nausée,
Y avait un assassin
Qui donna la saignée
Au galant pèlerin.
Barbarie, ce fut accidentel.
Barbarie, en sortant de l'hôtel,
Barbarie, le péché fut mortel.

 吐き気をもよおす通りに
 人殺しがいた
 そいつは慇懃な巡礼者に
 血を流させた。
 バルバリー、それは偶発的なことだった。
 バルバリー、ホテルを出て、
 バルバリー、犯罪は致命的だった。

Dans la rue infernale
Qui nous mène au sapin, 注3
Lave ton linge sale
Mais prend garde aux pépins.
Barbarie, si tu veux de l'amour,
Barbarie, méfie toi des discours.
Barbarie, le bonheur est si court.

 俺たちを棺桶にみちびく
 地獄のような通りで、
 お前の汚い下着を洗うんだ
 でも厄介ごとには気をつけろ。
 バルバリー、お前が恋を望んでいたら、
 バルバリー、おしゃべりには用心しろ。
 バルバリー、幸せはつかの間だ。

Barbarie2.jpg


[注]
1 aigre-douxとつなげて1語の形容詞としても用いられる。「甘酸っぱい」「優しそうでとげを含んだ」
2 pècher「(宗教上の)罪を犯す」「(魚を)釣る」の二つの意味があり、ここでは両者をかけているようだ。
3 sapin「モミの木」はクリスマスツリーに用いられる木だが、「棺桶」の材料でもあり「棺桶」そのものをも意味する。




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2019
01.06

リベルタンゴMoi, je suis tango, tango

Guy Marchand Moi, je suis tango, tango


一昨日、映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴAstor Piazzolla inédito/Piazzolla, The Years of the Shark」を見ました。最終日でやたら混んでいました。アストル・ピアソラAstor Piazzollaに関心のある人がこれほどいたとは…。一人の人間としてピアソラを捉えたドキュメンタリー映画なわけですが、ミーハーならぬミーバーの私としてはただただ、片膝に乗せたバンドネオンを演奏しているピアソラのかっこよさにゾクゾクするばかりでした。慾を言えば、曲名を逐一テロップで出して欲しかったなと。邦題の「リベルタンゴ」とは1974年の彼の名曲の曲名Libertangoで、libertad「自由」とtango「タンゴ」と合わせた造語。ピアソラのタンゴ革命そのものを表します。
ピアソラの曲でフランス語で歌われている曲はこのブログですでにいくつか取り上げています。「忘却J'oublie(Oblivion)」「チェ・タンゴ・チェChe tango che」「ブレヒトとブレルの間でEntre Brecht et Brel」です。また、ピアソラへのオマージュであるクロード・ヌガロClaude Nougaroの「ヴィー・ヴィオランスVie violence」も。
「ピアソラ音の出る図書館」というブログに、ピアソラとその音楽に関する情報が多く載せられていますので、興味のある方はご覧下さい。



その名曲Libertangoにフランス語の歌詞をつけて、1975年にギィ・マルシャンGuy Marchandが歌いました、Moi, je suis tango, tangoというそのタイトルは、直訳すると「僕はタンゴだ、タンゴだ」ということになりますが、邦題は原曲通りの「リベルタンゴ」といたします。ギィ・マルシャンは「運命Destinée」という曲を先に取り上げています。



1981年にグレイス・ジョーンズGrace JonesがI've Seen That Face Beforeというタイトルで英語で歌いました。



そして2007年にはジュリー・ゼナッティJulie Zenattiもフランス語で(Tango) Princesseというタイトルで歌っています。



Moi, je suis tango, tango  リベルタンゴ
Guy Marchand       ギィ・マルシャン


{Refrain :}
Moi je suis tango, tango
J'en fais toujours un peu trop
Moi je suis tango, tango
Je ne connais que des rimes en o 注1
Moi je suis tango, tango
J'ai cette musique dans la peau
Moi je suis tango, tango
Elle me glace jusqu'aux os 注2
Moi je suis tango, tango
Je l'étais dans mon berceau
Moi je suis tango, tango
Je le serai jusqu'au tombeau
Moi je suis tango, tango
Toutes les femmes sont des roseaux 注3
Moi je suis tango, tango
Que je plie dans un sanglot 注4

 僕はタンゴ、タンゴ
 いつもちょっとやりすぎさ
 僕はタンゴ、タンゴ
 Oで韻を踏むことしか知らない
 僕はタンゴ、タンゴ
 この音楽を皮膚の内側に持つ
 僕はタンゴ、タンゴ
 この音楽は骨の髄まで僕を凍らせる
 僕はタンゴ、タンゴ
 揺りかごにいた時からそうだった
 僕はタンゴ、タンゴ
 墓に入る時までそうだろう
 僕はタンゴ、タンゴ
 女たちはみんな葦だ
 僕はタンゴ、タンゴ
 嗚咽のうちに手折る葦だ

{Refrain}

Astor Piazzolla2


J'aime...
Dire "je vous aime" 注5
Même...
Si c'est un blasphème
J'aime dire
"Je t'aimerai toujours"
Même si...
Ça ne dure qu'un jour

 僕は…
 言いたい「あなたを愛している」と
 たとえ…
 もしもそれが冒涜だとしても
 僕は言いたい
 「君をずっと愛すだろう」と
 たとえもしも…
 それが1日しか続かなくても

Même si...
Je n'ai jamais eu d'humour
Il ne m'en faut pas
Pour te faire l'amour
Je te serai
Toujours fidèle
Comme je le suis
A Carlos Gardel 注6

 たとえもしも…
 僕にまったくユーモアのセンスがなくても
 君を愛するのに
 そんなの必要ない
 僕は君にいつも貞節だろう
 カルロス・ガルデルに対して
 そうであるように

{Refrain×2}

Astor Piazzolla1


[注]
1 tangoを含め、ルフラン部分はすべて‘O’で韻を踏んでいる。
2 elleは前々行のcette musique。すなわちtangoのことだが、tangoは男性名詞。
3 roseau「葦」。フランスの哲学者、自然哲学者であったブレーズ・パスカルBlaise Pascalの「パンセPensées」(1670年)に書かれていた有名な言葉は人間を葦に例えている。L’homme n’est qu’un roseau, le plus faible de la nature; mais c’est un roseau pensant. 「人間はひとくきの葦にすぎず、自然の中で最も弱いものである。しかし、考える葦である」これは、人間は葦のようにひ弱なものであるが、考えるという点で優れている」という事を示している。
4 queの先行詞は前々行のdes roseaux。繰り返されるMoi je suis tango, tangoはいわば合いの手で、それ以外の部分が文脈的につながっている。
5 ピアソラの立場に立った歌詞で、ルフランでは自分がタンゴそのものだと言い、ここでは、vous「あなた」tu「君」すなわちタンゴに愛を語っている。…と解釈する。
6 Carlos Gardel「カルロス・ガルデル」(1890年-1935年)は不世出のタンゴ歌手として知られるアルゼンチンの歌手・作曲家・俳優で、その人気の絶頂期に飛行機事故で急逝した。ここでは昔からのタンゴの代名詞として彼の名を出している。代表曲「想いの届く日El día que me quieras」は彼の末年1935年に主演した同名の映画の主題曲として彼が作曲したが、その映画に少年の頃のピアソラが端役で出演している。


Astor Piazzolla3




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