
街の様変わりに心を痛め、古き良き時代を懐かしむ内容のシャンソンは数多く、コラ・ヴォケールCora Vaucaire の「モンマルトルに帰りてRetour à Montmartre」もそのひとつです。1955年に、コラの夫のミッシェル・ヴォケールMichel Vauclaireが作詞、作曲はジョルジュ・ヴァン・パリスGeorges Van Parys。
YouTubeに動画がなくて、自分で作成しました。
Retour à Montmartre モンマルトルに帰りて
Cora Vaucaire コラ・ヴォケール
J'ai r 'monté la rue Lepic 注1
Après tant et tant d'années
J'ai cherché les vieilles boutiques
Mais je n'ai rien retrouvé
Des buildings brillaient dans l'ombre
Sous un tas d'publicités
Et des cars grimpaient en nombre
Bourrés d'étrangers
わたしはルピック通りをふたたび登った
何年も何年もののち
昔あったいくつかのブティックを探した
でもどれも見つからなかった
夜の闇のなかでビルの群が輝いていた
たくさんの広告を掲げて
そしてクルマが何台も登って来た
外国人たちを乗せて

Montmartre, mon vieux 注2
Dis-moi donc un peu
Dis-moi donc pourquoi
En r'venant chez toi
Montmartre, mon vieux
Dis-moi donc pourquoi
Je n'reconnais plus
L'aspect de tes rues
モンマルトル、ねぇあなた
ちょっとわたしに言ってよ
言ってよいったいなぜなの
あなたのところに帰って来たけど
モンマルトルよ、あなた
言ってよいったいなぜなの
わたしにはもう見知らぬものだったわ
通りの様子は
Utrillo vendait ses toiles 注3
Deux litres de rouge au bougnat 注4
Et y avait plus de cigales
Que de fourmis en c'temps-là
Au-dessus d'un mur en planches
Où chacun gravait son cœur
Des lilas tendaient leurs branches
Pour porter bonheur
ユトリロは絵を売っていた
炭屋に2リットルの赤ワインと交換で
そしてあの頃 もうセミはいなくて
アリだけが
わたしたちが自分の心を刻み込んだ場所の
壁から床まで這いまわっていた
リラは幸福を支えるために
枝を伸ばしていた

Montmartre, mon vieux
Dis-moi donc un peu
Dis-moi donc pourquoi
En r'venant chez toi
Montmartre, mon vieux
Dis-moi donc pourquoi
Je n'retrouve pas
Mon cœur d'autrefois
モンマルトル、ねぇあなた
ちょっとわたしに言ってよ
言ってよいったいなぜなの
あなたのところに帰って来たけど
モンマルトル、ねぇあなた
言ってよいったいなぜなの
わたしにはもう見いだせないわ
昔のわたしの心が
Les durs portaient rouflaquettes 注5
Et frocs à pattes d'éléphant 注6
Mais respectaient les poètes
Et savaient chanter Bruant 注7
La vie nous semblait facile
On vivait au jour le jour
On s'fichait des billets d'mille
Seul comptait l'amour
与太者たちは頬髭を生やし
象の脚みたいなズボンを穿いていたが
詩人たちを敬っていて
ブリュアンの歌を歌うことができた
生きていくことは楽に思えた
わたしたちはその日暮らしをし
札束に目もくれず
愛だけをよすがにしていた

Montmartre, mon vieux
Si j't'en veux un peu
C'est qu'en revenant
Flâner comme avant
C'est qu'en revenant
Chercher mes vingt ans
J'ai compris soudain
Qu'ils étaient bien loin
モンマルトル、ねぇあなた
あなたにちょっと望むとしたら
戻って来たときに
昔みたいにぶらつきたい
戻って来たときに
わたしの青春を探したい
突然わたしは気づいた
青春はずっと遠くに過ぎ去ったことを
[注]
1 la rue Lepic「ルピック通り」は、ムーラン・ルージュの横手から丘に上がって行く道で、途中に「アメリAmélie」の映画で知られるカフェ「レ・ドゥー・ムーランLes deux moulins」と、二つの風車、ムーラン・ド・ラ・ギャレットMoulin de la Galetteとラデの風車Moulin Radetがある。
2 mon vieux「ねぇ君」といった呼びかけ。
3 Utrillo 画家の「ユトリロ」はモンマルトルの風景画をよく描いた。飲酒癖があったといわれる。ここでは、テルトル広場で絵を売っている貧乏な画家たちの代表のようなニュアンス。
4 bougnat「石炭商、炭屋」でしばしば飲料販売を兼ねる。原義は「オーヴェルニュの人」。
5 dur ここでは「怖いもの知らず」「与太者」の意味の名詞。rouflaquette「(愛嬌毛を作る)こめかみの巻き毛」「(男の)短い頬髭」ここでは後者。
6 froc「(修道士の)頭巾」が原義だが、俗語で「ズボン」のこと。
7 Aristide Bruant「アリスティード・ブリュアン」歌手・俳優・ナイトクラブのオーナーで、ロートレックに描かれている赤いマフラーの男である。
Comment:2
コメント
今度バンビーノを歌うことになり、私も今、ダリダに関心が向いています。Parlez-moi de luiはすてきですね。アルディーの歌で聴いたことがあります。取り上げたいし歌いたいです。
朝倉ノニー
2016.04.08 11:13 | 編集

コラ・ヴォケール 素敵ですね^^
格調の高さでは、きっと一番でしょうか。けれど、最近の私は
突然ダリダに捕まってしまって、あらまぁ今ごろになってダリダと笑っています。最近のお気に入りはParlez moi De Lui
です^^
格調の高さでは、きっと一番でしょうか。けれど、最近の私は
突然ダリダに捕まってしまって、あらまぁ今ごろになってダリダと笑っています。最近のお気に入りはParlez moi De Lui
です^^
mimiha
2016.04.08 01:17 | 編集
