
今回は、セルジュ・レジアーニSerge Reggianiの「イタリア人の男L’Italien」という曲です。作詞:Dabadie Jean Loup/Datin Jacques Jean Marie 作曲:Bernheim Francois Pierre Camille。 1971年のアルバム:Ruptureに収録されています。
この曲に似た曲があったような気がして…そうだ、セルジュ・ラマSerge Lamaの「赤い風船Lesballonsrouges」かな、声も似ているし、とまず思いました。でもあとで、いや、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourの「彼らが言うようにComme ils disent」のほうが似ている、と思い始めました。皆さん、いかがですか?
ふらりといなくなった男が18年も経って帰って来た。家がまだあって、女がまだそこに住んでいたとしても、待っていてくれた可能性は限りなく少ない。犬の鳴き声が聞こえた。でも、当然ながら昔いた犬ではなかった。
L’Italien イタリア人の男
Serge Reggiani セルジュ・レジアーニ
C'est moi, c'est l'Italien
Est-ce qu'il y a quelqu'un ?
Est-ce qu'il y a quelqu'une ? 注1
D'ici, j'entends le chien
Et si tu n'es pas morte
Ouvre-moi sans rancune
Je rentre un peu tard, je sais
Dix-huit ans de retard, c'est vrai
Mais j'ai trouvé mes allumettes 注2
Dans une rue du Massachussetts
Il est fatigant, le voyage
Pour un enfant de mon âge
僕だよ、イタリア人だよ
誰かいないの?
誰かさんいないの?
ここから、犬の吠えるのが聞こえる
もし君が死んでないなら
恨みっこなしで僕にドアを開けてよ
僕は帰るのがちょっと遅れた、分かってるよ
18年遅れたよ、ほんとに
だけど僕は男の気概を見つけた
マサチューセッツの通りで
たいへんなんだよ、旅は
僕の歳のガキにとっちゃね
Ouvre-moi, ouvre-moi la porte
Io non ne posso proprio più 注3
Se ci sei, aprimi la porta
Non sai come è stato laggiù
開けてよ、僕にドアを開けてよ
もう耐えられない
君がそこにいるなら、僕にドアを開けて
あっちがどうだったのか君にゃわからない

Je reviens au logis
J'ai fait tous les métiers
Voleur, équilibriste
Maréchal des logis
Comédien, braconnier
Empereur et pianiste
J'ai connu des femmes, oui mais
Je joue bien mal aux dames, tu sais 注4
Du temps que j'étais chercheur d'or
Elles m'ont tout pris, j'en pleure encore
Là-dessus, le temps est passé
Quand j'avais le 注5dos tourné
僕は家に戻って来た
僕はあらゆる仕事をした
泥棒、軽業師
軍曹
役者、密猟者
帝王、そしてピアニスト
僕は女たちと付き合った、だが
チェッカーゲームは下手なんだ、知ってるだろう
僕が金の採掘者だったとき
彼女たちは僕を身ぐるみ巻き上げ、僕はそれをいまだに嘆いている
あっちで、時が過ぎていたんだ
僕がきびすを返したときには
Ouvre-moi, ouvre-moi la porte
Io non ne posso proprio più
Se ci sei, aprimi la porta
Diro come è stato laggiù
開けてよ、僕にドアを開けてよ
もう耐えられない
君がそこにいるなら、僕にドアを開けて
あっちがどうだったか教えてあげるよ

C'est moi, c'est l'Italien
Je reviens de si loin
La route était mauvaise
Et tant d'années après
Tant de chagrins après
Je rêve d'une chaise 注6
Ouvre, tu es là, je sais
Je suis tellement las, tu sais
Il ne me reste qu'une chance
C'est que tu n'aies pas eu ta chance
Mais ce n'est plus le même chien 注7
Et la lumière s'éteint
僕だよ、イタリア人だよ
とても遠いところから帰って来たんだよ
悪路だったよ
そして何年も経て
幾多の悲しみを経て
僕は一つの安楽椅子を夢見る
開けてよ、君がそこにいるって、僕にはわかっている
僕はこんなにも疲れている、分かるだろう
僕には一つのチャンスしか残っていない
それは、君が新たなチャンスをまだ得ていないということだ
だがこれはもう昔いた犬ではない
そして明かりが消える
Ouvrez-moi, ouvrez une porte
Io non ne posso proprio più
Se ci siete, aprite una porta
Diro come è stato laggiù
開けてよ、僕にドアを開けてよ
もう我慢できないよ
君がそこにいるなら、僕にドアを開けて
あっちがどうだったか教えてあげるよ

[注]
1「誰か」という時は男女の別なくquelqu'unでいいが、2行あとのmorteが女性形であり、女性の相手を想定しているので女性形quelqu'uneに言い換えている。うまい訳し分けは思いつかず、「誰か」と「誰かさん」とした。
2 allumette「マッチ」はアルゴ辞典によるとsexe masculin「男性の性」
3 ここから3行はイタリア語。
4 jouer aux dames 「チェッカーをする」
5 tourner le dos 「体を回転させる」は「きびすを返す」と訳したほうが自然だろう
6 chaise「椅子」は「体を休める場所、落ち着く場所」という意味合い。
7 1節目に「犬の吠えるのが聞こえる」とある。その犬は昔いた犬とは違う犬だ。18年も経ったのだから。
Comment:4
コメント
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コメントありがとうございます。
お役に立ててなによりです。
Je serai lは、訳してみましょう。
気長にお待ちください。
お役に立ててなによりです。
Je serai lは、訳してみましょう。
気長にお待ちください。
朝倉ノニー
2021.09.12 08:59 | 編集

2001年頃、20才位から聞いていたシャンソンの13曲程、自分の訳詞で録音していました。その頃Litarien は、イタリア語の箇所の意味がわからず、訳詞は諦めていました。今、朝倉さんの訳の助けで全体の意味が分かり、やっと訳詞ができそうです。
感謝いたします。
ところで、Ginette Reno、Je serai la は、未来形の語が
日本語に訳すとどんなになるのか悩んでおり、何かご教授いただければと思います。
小笠原良輔(京都府相楽郡在住、s28年生)
感謝いたします。
ところで、Ginette Reno、Je serai la は、未来形の語が
日本語に訳すとどんなになるのか悩んでおり、何かご教授いただければと思います。
小笠原良輔(京都府相楽郡在住、s28年生)
小笠原良輔
2021.09.11 17:53 | 編集

この歌、友人(20歳の時、大学を中退して、横浜から貨物船に乗りアメリカへ、それから世界中を放浪して、33歳で帰国しました)が好きな歌です。
友人とはリヨンで知り合いました。
日本で、一緒に車に乗るとよく聞きいています。
友人とはリヨンで知り合いました。
日本で、一緒に車に乗るとよく聞きいています。
あき
2021.04.15 08:25 | 編集
